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地味に過ごしたかったのにヤンデレ王太子に囲われた  作者: 水瀬みずか


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第16話 王太子執務室

――静かに下される采配

 王太子の言葉に、側近は一切の動揺を見せなかった。

 ただ、深く一礼する。

「承知いたしました、殿下。

 学園内外の動線、交友関係、再確認いたします。」

「うん。特に――」

 王太子は視線を落とす。

 報告書の文字ではなく、その向こうにある未来を見据えるように。

「彼女が頼りそうな相手を中心に。」

 側近は一瞬だけ理解のために呼吸を置き、すぐに頷いた。

「第二王子殿下、ならびに辺境伯家嫡男レオンハルト卿ですね。」

「そう。」

 否定も、強調もない。

 それがすでに決定事項であることを示していた。

「弟は……まあいい。あいつは自滅の芽を自分で育てている。」

 淡々と告げられる評価。

 兄としての情は、そこにはない。

「問題は、レオンハルトだ。」

 王太子は、初めて指先を止めた。

「彼は賢い。慎重で、忠義も理解している。辺境伯家の立場もあるから余計にだ。だからこそ――」

 ふっと、笑う。

「やってはいけないことを、ぎりぎりで選べる。」

 露骨な接触は避け、彼女を守る立場に回る。

 正義を装えば、彼女は罪悪感を抱く。」

 まるで、既に見た光景を語るように。


「……だから、先に道を塞ぐ。」

「どのように?」

 側近の問いに、王太子は即答した。

「選択肢を減らし時間を奪う。偶然を装って、距離を離す。」

 すべて、穏やかな声。

「そして――」

 王太子はゆっくりと顔を上げた。

「頼らなくていい状況を作る。守り、囲い、孤立させないようにし、孤立させる。それが私のやり方だ。」

 

「シャーロットには、くれぐれも気づかせないように。」

 それだけは、はっきりとした命だった。

「彼女は、何も知らなくていい。」

 知らないまま、自分の意思で選んだと思わせ未来へ進ませる。

 それが、王太子なりの愛。



一方、その頃――シャーロット

 放課後。

 シャーロットは、学園の廊下で小さく首を傾げていた。

(……あれ?)

 いつもなら、自然に現れる護衛の気配が少し増えている。

 距離は遠い。

 視線も露骨ではない。

 けれど、確実に――いる。

「気のせい、よね……?」

 最近、何に対しても疑心暗鬼になっている自覚はあった。

 王太子殿下は、相変わらず優しい。

 手紙の文面も、口調も、何一つ変わらない。

 なのに。


 ……なぜか息苦しい。その理由は分からない。

 レオンハルト様と話す機会は、確かに減った。

 偶然が、ことごとく重ならなくなった。

 第二王子殿下も、今日は姿を見せない。

 静かすぎる。


 シャーロットは胸元を押さえ、小さく息を吐いた。

(私、何か――間違えた?)

 答えは、出ない。

 ただ、見えない歯車が

 音もなく回転数を上げていることだけは、なぜかはっきりと感じられた。


 どうしよう。

 こんな展開、ゲームでも無かったはず。

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