7 魔法 1
学園探索と目標決めを終え、すっかり打ち解けたレイルたち。
なんと、ランもライルも寮生だったので、ラルカの部屋でジャマパーティーをすることになった。
もちろん言い出しっぺはラルカである。
流石に異性と一緒に寝るのはまずいだろうとレイルはしり込みしたのだが、ラルカの「だいじょーぶだって!」という根拠のない自信で言いくるめられ、無理やり部屋に押し込まれたのだ。(ちなみに男子二人は喜々として部屋に入っていった)
「うぅぅ、やっぱりラルカ、流石にさ、一緒に寝るのは‥‥‥」
「んも~、大丈夫だって」
「‥‥‥私帰っちゃダメ?」
「だ~め! レイルはいないとだめ!」
女子二人が言い合う中、男子たちは‥‥‥。
「ここが女子の部屋‥‥‥。すごっ‥‥‥!」
「僕初めて女の子の部屋来たかも‥‥‥」
と、二人してラルカの部屋を見て感動していた。
そして男子たちがのんびり感動している間も女子の中で言い合いは続いていたのだが、結局レイルが折れることとなり、ラルカは意見を押し通すことに成功したのだった。
こうなったらもうヤケくそ、とレイルはさっさとお風呂に入り、パジャマに着替えた。
その時知ったのだが、別にランとライルはラルカの部屋に泊まったりお風呂に入ったりはしないつもりだったという。
( あ~よかった‥‥‥ )
ホッとして胸をなでおろすレイルとは逆に、ラルカはガックリと肩を落としていた。
「じゃあ‥‥‥乾ぱ~い!」
「「「 乾ぱーいっ! 」」」
お酒は飲めないので、ジュースで乾杯である。
「さぁ、今日は食べまくるぞー!」
「「「 おー!! 」」」
と、いうわけで。
先ほど机に並べた豪華なお菓子たち、ジュース。
お菓子だけだと甘すぎるので、肉料理などの脂っこいものも混ざっている( ランが胃もたれしそうだといったので、野菜系もある )。
四人は、それぞれお喋りを楽しみながら、さらに絆を深めていった。
余談だが、「たくさん食べたぁ‥‥‥」とお腹をさするレイルに、ラルカが「これは太るね(ニヤニヤ)」と余計な一言を言い、軽いパンチを食らっていた。
そして、翌日。
男子二人は宣言通り自分の部屋に戻っていったので、部屋に泊まっていったのはレイルだけだ。
「レイル~、早く起きて~!」
「んにゃ‥‥‥らる‥‥かぁ、お‥や‥‥すみ‥‥‥」
「おやすみしちゃダメぇぇぇぇぇぇ!!」
朝からラルカの大声が部屋に響き、後でレイルたち近くの部屋の生徒たちに平謝りすることとなった。
寝ぼけながらも朝食を食べ終え、教室に向かったレイルとラルカ。
「おはよ!」
「おはよう」
偶然ランとライルと会い、四人でワイワイはしゃぎながら教室へ入ると、何故か入った瞬間に四人に視線が集まった。
「え? え? なに、どうしたの?」
と、レイルが頭に?を浮かべていると、言いづらそうに一人の女子生徒が声をかけてきた。
「あの、ラミレスさん、ラルカさん‥‥‥。ちょっと、お話ししたいことが」
女子生徒がトイレの方を指さすのを見て、レイルとラルカは不思議そうに目線を合わせてから、トイレへ向かう女子生徒についていった。
そして‥‥‥そこで待っていたのは、大量の女子生徒たち。
ついレイルが
( まさかよくある「〇〇様に近寄らないでくださいませ!」系かなぁ‥‥‥ )
と思ってしまったのも、無理はないだろう。
が、
「お二人とも、どうやって男子たちと仲良くなったのですか!?」
「ぜひ、私たちにも教えてくださいませんか!?」
鼻息荒く詰め寄ってくる女子たちを見て、レイルは大体呼び出された事情を察した。
( そういえば、このクラス、異性に耐性がない人たちばっかだったよなあ‥‥‥ )
女子たちのターゲットとならなかったことに安心して、知らず知らずのうちに入っていた肩の力を抜いたものの、ギラン! と、まるで狩りをする肉食獣が獲物を見るような目で女子たちが自分たちを見ていることに気づき、ついヒクリと口元が引きつってしまうレイルだった。
そして、このままではホームルームに遅れるということで、大慌てで女子たちは解散、レイルたちは解放され、無事に(?)教室へ戻ることに成功。
やれやれ、と椅子の上でぐったりしていると、ちょうど教室に担任のドイルが入ってきたので、慌てて居住まいを正す。
「みんな、聞いてくれ! なんとな、今日は‥‥‥」
そこでドイルは言葉を止め、ぐるりと教室全体を見渡す。
生徒たちの期待の目線を受け取り、期待の気持ちが高まっていく中、ドイルは口を開いた。
「今日は、なななななんと! 待ちに待った、魔法練習の日だ!!」
ワアアアアア!!
教室がいっきに沸き上がり、レイルも目を輝かせる。
( わああっ、嬉しすぎる! この目で魔法を見られるのかぁ‥‥‥! )
そして‥‥‥。
「はい、皆さん初めまして~」
魔法練習のため、外に出たレイルたちを待ち構えていたのは、ぽやぽやした優しい雰囲気がにじみ出ている若い女教師だった。
どうやら、魔法はドイルの担当ではなく、この女教師の担当らしい。
「私の名前は、リミル・エルメスです~。これから一年間、皆さんに魔法について教えま~す。よろしくね~」
のんびりとした口調。
「わあ、優しそうな先生だね。これなら、魔法とか失敗しても怒られなさそう!」
レイルが嬉しそうに言うと、ライアは渋い顔をする。
「いやぁ‥‥‥。あの女教師、学園一怖がられてる先生って噂だぜ?」
「「「‥‥‥‥‥‥え?」」」
綺麗に声が三つ揃った。
そう、昨日パジャマパーティーをしたことで、四人の絆はさらに深まり、今では四人で行動するようになっていたのである。
「え、でもあんな優しそうな先生が‥‥‥!?」
「まあでも、噂だから‥‥‥本当にそうかどうかはわからないしな」
ライルの疑問に困ったようにライアは言う。
ちょうどその時、リミルが口を開いた。
「はい、では皆さん~。まず、私の魔法を見てもらいましょうか~」
リミルは手を顔の前に持ってきて、ふぅっと息を吹きかける。
すると、手の上でぼわっと炎の塊が燃え上がった。
それは徐々に形を変えていき‥‥‥十数秒後、立派な竜の形になった。
「すごい‥‥‥!!」
目を輝かせて言うレイルだったが、ふと炎の近くに浮かぶそれを視界にとらえ、目を凝らしてじっと見つめる。
( あれは‥‥‥。そうだ、教材を準備しているときに見た、光‥‥‥!? )




