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6/6

6 学園探索と目標決め 2

更新期間が開いてしまって申し訳ないです‥‥‥。

後、いつもより字数が少し少ないかもです。

ラデン学園は超難関校だ。

そんな動機でこの学園に入る人なんているのか‥‥‥?

いまいちラルカの言葉を信じきれない男子二人だったが、「うち嘘言ってないからね!?」と、自分たちからの疑いの眼差しに動揺するラルカを見て、半信半疑で実行することにした男子たちだった。

一方、そんなことになっているとは露とも知らず、レイルは‥‥‥

(戻りたくない。戻りたくない! 戻りたくないぃ~!)

トイレの中で頭を抱えていた。

(でも流石にそろそろ帰らなきゃだよねぇ‥‥‥! 心配してるかも、だし)

レイルもわかってはいるのだ。あの男子二人が、超いい奴であろうことも、自分と仲良くしたいと思ってくれていることも。


レイルは覚悟を決めてトイレから出ると、柱に隠れて三人の様子をうかがう。

本人的には完璧に隠れているつもりだったのだが‥‥‥。

「なぁ、レイルさん何やってんだ‥‥‥?」

「ど、どうしたんだろうね?」

「レイル的には隠れてるつもりなんだろうけど‥‥‥やっぱレイル、抜けてるなぁ」

バレバレであった。

だが、それもそのはず。

レイルの体の二分の三以上が柱からはみ出している&ギンッギンの視線で三人を見ているのだから、気づくのも当たり前だ。


「レイル~、何やってんのー! 早く他の場所もまわろーよー!」

ラルカが呼びかけると、レイルはびくっと一瞬固まってから、大人しくすごすごと柱の陰から出てきた。

「レイルさん、行きたいとこないか?」

「僕たち、もう行きたいとこないからさ、レイルさんが決めてくれるとありがたいな、なーんて‥‥‥」

ピキッ

まるでせきぞうのようにレイルの全身が固まった。

「‥‥‥完全にレイル像だわぁ」

ぴくりともしないレイルの様子を見て、三人は視線を合わせる。

((( 今こそ、あの作戦をするとき!! )))


「レ、レイルさん、実は俺、メッチャ読書ガ好キデサ、えーっと、ま、まぁ本大好キナンダ」

(( うっわ、ひっどい演技‥‥‥。もう無理だろこれ‥‥‥ ))

ライルの下手すぎる演技に若干ひく二名であったが、当のライル本人はやり切ったと満足感あふれる顔で額の汗をぬぐっていた。

そして、肝心のレイルは‥‥‥。

「きゃー! ライルも本好きなんだ! 何の本が好き!? ちなみに私は魔法使いリゼルっていう本がお気に入りで、十八巻あるシリーズなんだけど知ってるかなっ?」

‥‥‥ものすっごい食いついた。

しかも、さりげなく呼び捨てである。

(( なぜ!? なぜこんな下手くそな演技に騙されるの!? ))

驚きのあまり石化しているラルカとランのことなんて全く気にせず、レイルは尚もライルにぐいぐい迫っていた。

「あのね、ちなみにグロウ博士シリーズもお勧め! 動物好きにはたまらない本でね、ほんと面白いの! あ、本だけに? なんちゃって☆」

興奮のあまり親父ギャグまで言うレイルであった‥‥‥。


ライルは呆気にとられ、口がポカーンと開いた表情で固まっていた。

(まずいな‥‥‥ラン、ライルを助けてあげな)

(了解‥‥‥)

ラルカに目線で指示され、きちんと指示を理解したランは、ライルとレイルの間に割って入った。

「僕も本が好きなんだ! 魔法使いリゼルシリーズも知っているよ!」

「えええええっ、ほんと!? じゃ、じゃあっ、主人公のドジなところ、いいと思わない!?」

‥‥‥大興奮のレイルであった。

その後、必死に会話に食らいついていくランを見かね、ラルカが二人を引き離した。

「はいはい、そこまでだよお二人さん」

「んもーラルカ! いいとこだったのに、邪魔しないでよ~!」

むくれるレイルだったが、次の瞬間放たれたラルカの言葉にピキンと凍り付く。

「でもよかった! レイルの男子恐怖症?的なのは治ったんだね!」

「‥‥‥‥‥いや、治ってないかもだぞ。白目向いてるし‥‥‥」

泡を吐きながら床に倒れていくレイルを慌てて支え、困ったようにライルが言った。


「いやあああ!! レイル、死なないでー!! うちの初めての友達だったのに~!!」

「いや勝手に殺さないでくれる!? あと過去形なの地味に傷つくんだけど!」

跳ね起きたレイルがラルカを睨むと、「うわあああんっ」とラルカがレイルに思いっきり抱き着く。

「ちょっ、ラルカ!」

「レイルぅぅぅぅ! ごめんねぇぇぇぇ、うちがレイルの気持ちちゃんと考えてなかったから、こんなことに‥‥‥!」

ラルカの言葉にハッとした男子二人組。

「お、俺‥‥‥ラルカが言うまで、気づけなかった。ごめん、レイル‥‥‥!」

「僕も‥‥‥レイルの気持ち考えてなかったよ。ごめん‥‥‥」

三人に謝罪されたレイルは、パチパチと二度瞬きをしてから、首を横に傾けた。

「えっと‥‥‥どういうこと?」

三人は気まずそうに視線を合わせてから、話し出した。

「「「じ、実は‥‥‥‥‥‥‥‥‥」」」



「えーっ、そうだったの!? じゃじゃじゃじゃあ、ランとライルの本好きは嘘ってことぉぉぉぉ!?」

説明を聞き終わったレイルが絶叫すると、ラルカは神妙な顔で頷いた。

「ごめんね、レイル‥‥‥」

ガックリと床に膝をついたレイルに向かって、ランが慌てたように声をかける。

「いやいや、僕は正真正銘の本好きだよ! だって、レイルの話についていけてたでしょ!?」

「た、確かに‥‥‥!!」

喜びの表情でガッツポーズするレイル。

それを苦笑交じりに眺めるライルとラルカ。

そして自分も嬉しそうな顔をするラン。

いつの間にか、自分が男子たちとすっかり打ち解けられていることに、レイルは気づいていないのだった。

閲覧ありがとうございました。

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