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第44話『久々にじっくり休める一日……だったらよかったね』

 カーテンの隙間から差し込む日差しでいつも通り目を覚ます。

 今日はまともに休める安息日……休日だ。週に六日、一日は完全に学院が閉鎖される日。この日は正門も裏門も開いていないから、学院敷地内に入ることすらできない。ひとまず、ぼくたちを取り巻く噂を考えると、何とタイミングが良かったのか。

 ゆっくりと休んで明日に備えるつもりだったんだけど、今日は予定が入っている。

 かくいうぼくも、その予定に胸躍らせているわけで、太陽の角度を見るに、少し早く目が覚めてしまったらしい。


「……セナ、起きてる?」


 部屋の反対側に設置されたセナのベッドに声をかけるけど、返事がない。

 セナはあの決闘の後、余程恥ずかしかったのか寮に戻ってくるなり一言も会話を交わすことなく布団に潜り込んで寝てしまっていた。

 まぁ、ぼくも同じ勘違いをしたら恥ずかしさで死んでしまいたくなるかもしれない。穴があったら入りたい、埋めてもらって一生出てこない。セナの今の心情を語るとしたら、そんなところだろうか。


 もぞもぞ、とセナのベッドから反応があった。一応、目は覚めているらしい。


「今日、軽く街に出ようと思うんだけど……セナも来る?」

「行きません……今の私はイヴに合わせる顔がありません……」


 いつも活発で快活で自身に満ちたセナとは思えないほど沈んだ声が、布団の中から聞こえてくる。これは結構重傷だ、セナがここまで傷ついているのはいつ以来だろう、もしかすると初めてかもしれない。


「あーえっと……ぼくは、気にしてないからさ、大丈夫だよ?」


 一体何が大丈夫なのだろうか。むしろセナからすれば、気にしていない方がショックなんじゃないかと、口に出してから失言だったかもしれないと後悔する。

 案の定、布団がもぞもぞと動いて、セナの顔がひょっこりと出てきた。

 綺麗な白い長髪はボサボサとしていて、ずっと枕に顔を押しつけていたのか、前髪は逆立ち、真っ赤に腫れた黄金の瞳がうるうると揺れ、ぼくを見る。

 セナは布団を被ったままゆっくりと立ち上がると、ベッドに座るぼくの膝の上に頭突きする勢いで自分の頭を置いた。

 痛い……結構痛い。


「うぅ……うぅぅぅぅ……っ」


 セナが額をぐりぐりとぼくの膝に押しつける。


「私はイヴの友達失格です……イヴに恋人ができるかもしれないと分かった瞬間、何が何だか分からなくなって、頭が真っ白になって、内側から黒い感情が渦巻いてきて、イヴの気持ちをこれっぽっちも考えず突っ走ってしまいました……こんなダメな私を叱ってください……」

「叱らないよ。セナは大切な友達じゃないか」


 ぼくがそう言っても、セナのちょっと特殊な形の謝罪が止むことはなかった。むしろより一層強く額を押しつけてくるものだから、こっちの脚まで痛くなってきた。

 これほど卑屈になってしまったセナを元に戻す方法をぼくは知らない。試行錯誤して対応するべきなんだろうけど……そうだなぁ、これならどうだろう。


「でも、あまり卑屈でいるとセナのこと嫌いになっちゃうよ? ぅッ!?」


 対応を間違えたらしい、ドスッとセナの頭突きの対象がぼくの膝から腹に代わる。

 そうだなぁ……ここは食べ物で釣ってみるか。

 冷静に考えてみたら、そういう話題これっぽっちも知らないや。

 どうしよう……この後人に会う予定なのに、こんな状態のセナを放っておけない自分がいる。何とか立ち直らせないと、なんとか……うーん。


「あのさ、セナ。元気な君に、戻ってくれないかな? ぼく、このままだと用事に遅刻して怒られちゃうんだけど……」

「イヴは私とその人、どっちが大事なんですか!!」

「どっちも同じくらい大事だよ。だから、その、君が元気になってくれないと、ぼくまで落ち込んじゃう」

「うぅ……イヴは聖人です、こんな私にも優しくしてくれるなんて、神様みたいな人です……そんな神様に気を遣わせて、私はやっぱりダメな人間です……」


 この勇者、めんどくせぇぇぇぇぇえええええええええええええ!!

 だけど、沈んだ様子のセナというのもまた新鮮で、ちょっと面白い。本当は面白がっちゃいけないんだろうけど。


「ところで、誰に会う予定なんですか……?」

「アリス。魔法を教えるのは卒業した後だけど、休みの日は魔術を教えることになっているんだ」

「行きます! 私も、アリスちゃんに会いたいです!!」

「うわビックリした、急に立ち直るなよ!?」


 アリス―――その名を聞いた瞬間、セナはガバッと顔を上げて黄金の瞳を輝かせながらぼくを見た。表情もいつもの自信に満ちた明るい表情に戻っていて、さっきまでのぼくの苦労は何だったんだと軽く愚痴をこぼしたくなる。


「あ、こんなボサボサの髪で会うわけにはいきませんね。イヴ、シャワー浴びて来るので着替えておいてください!!」

「えっ、あ、うん……いってらっしゃい」


 セナはぼくの膝の上から飛び起きると、昨日からずっと着ている制服を脱ぎ捨てながらシャワールームに飛び込んでいった。

 嵐が去ったような静けさ……とでも言えばいいだろうか。

 ひとまずは、セナが立ち直ったので安心だ。

 ぼくは安堵のため息をついて、部屋に備え付けられたクローゼットを開け、外出用の服に手を伸ばす。

 外出用といっても、いつもと何も変わらない。制服の白い上着が、黒いローブになるくらい。


 ふと、クローゼットの一番端にかけられている黒のコートが目に入った。

 師匠が王国の魔導師として働いていた時の名残……対魔力防護の術式が複雑に編み込まれた特務魔導師の礼装。ぼくと師匠の思い出の品は灰都の火でほとんど燃えてしまったから、今となってはこのコートが唯一の形見みたいなものだ。

 学院を卒業したら、ぼくは一体どうなるのだろう。おそらく、普通の魔導師としての生活は無理だ。倒されたとはいえ、世間からのぼくの認識は未だに、あの焔の魔女の娘。それはきっとぼくが死ぬまで、いや、死んだ後も変わらない。

 となれば、多分進路は王国でも危険率、死亡率、負傷率ナンバーワンの特務魔導師一択しかないんだろうな。


 ぼくはその隣にかけられていた黒のフード付きのローブをハンガーから取り外し、袖を通す。

 以前、シオンに半ば強引に外出用の衣服を買わされたけど、結局これが一番慣れているのだから、一番落ち着く。変にオシャレしても、ぼくには似合わないだろうし。

 クローゼットの隣にあった姿見に全身を映す。

 右目を前髪で入念に隠し、ピンで留める。正直、右目の色が左目と同じなら特にこんなことする必要もない。だけど、こういう異質な特徴というのは人混みでひどく目立つから、封印。なんつって。


 今日も、当たり前のように一日が始まる。




 ◇ ◇ ◇




 アリスは、アストライア領で出会った師匠の魔術的な複製体。

 リツ先生曰く、人間の肉体を構成する設計図を用いて魔術的かつ人工的にアリシア・イグナを生み出そうとした人体実験の産物なんだとか。正直難しいことは分からないし、何より非人道的な実験の詳細なんて理解したくなかったから、ひとまずアリスのことは師匠と身体を持つ、もう一人の師匠……と認識することにした。

 師匠の身体を持つということは、彼女と同じ魔法の力を持つということ。魔法は使い方を間違えれば容易に世界を滅ぼしてしまう。だからアリスは、正しい道に導て欲しいと、ぼくに魔法の指導を頼んできたのだ。

 師匠であり、弟子、なんだかすごく複雑な関係だと思う。


 アリスは現在、リツ先生の元同僚で同郷でぼくの姉弟子のカナメ・リングレイルさんが預かってくれている。授業も忙しいから、休日にこうして会いに行くのが最近のちょっとした楽しみになっていた。


「いくぜ!《二重詠唱デュアルキャスト》【燃え盛る火球(フレイムボーラ)】【撃ち抜く氷槍(アイシクルランサ)】行けぇ!!」


 カナメさんと、一応リツ先生が暮らしているプラネスタの屋敷の庭。

 アリスが両手で異なる魔術を用いて同時に放った火球と氷槍が、ぼくの用意した的を粉々に粉砕した。


「噓でしょ……」


 想定しなかった結果にぼくはどう反応していいか分からず、苦笑いを浮かべていた。だって、《二重詠唱デュアルキャスト》って……流石のぼくも学院入学前にそこまでの芸当はできなかったのに、これが才能の力とでも言うのか。


「へへん、どうよ!!」

「すごい! すごいですアリスちゃん! 天才です!!」


 拍手でアリスを賞賛するセナは、彼女が今どれだけすごいことをしたのか全く理解できていないだろう。体質の問題で魔術をほとんど扱えないセナからすれば、ほぼすべての魔導師が賞賛に値する相手だと思うけど、アリスのこれは……ちょっと異質だ。

 何がおかしいって、アリスは魔術を学んでまだ一か月にも満たない初心者だ。それが、ハハッ、才能って本当に怖いし、何より、これが成長した結果が焔の魔女だと言われれば納得するしかない。


「こりゃ来年には姉ちゃんのこと超えちまうんじゃないか? 卒業して魔法を教わる段階になってももう教わること何もなかったりしてな!!」


 ぼくを挑発しながら腰に手を当てて天を仰ぎ、アリスはガハハと豪快に笑って見せる。本当にその通りになるかもしれないから、ぼくは今危機感を覚え、焦燥に駆られていた。


「ふ、ふんっ、別に、まだ教えること沢山あるけど? アリス、まだまだぼくの足元に遠く及ばないけど??」

「おぅおぅ、姉ちゃん。そういう割には顔引き攣ってるぜ?」

「ぐぬぬぬ……うるさい、油断しているといつか挫折するよ!!」


 ぼくはそう言ってそっぽを向いた。

 挫折か……自分で言うのもあれだけど、ぼくはこの右目のおかげで才能がある方だったから、魔術や魔法に限っては挫折というものを経験したことがない。だって何でもできちゃうし、やろうと思えば覚えるのは楽だし。その点で言えばほとんど成長しきってしまっているぼくに対しては、アリスの存在は良い警鐘なのかもしれない。

 弟子に負ける師匠なんて、格好がつかないからね。


「それはそれとしてっ」

「はぁっ!?」


 アリスの両手両足を鉄の鎖で一瞬で拘束。これに気付けないようじゃ、まだまだ負けそうにないね。


「あまり調子に乗るなよーっ!!」

「いだだだだだっ、いだっ、いだだだだだだだっ!! ちょっ、やめっ、やめろ姉ちゃんタンマ! ちょっとストップ! いででででででで!!」


 アリスの頭を両の拳で挟み、ぐりぐりと骨の凸凹を押しつける。

 まったく、そのひどい言葉遣いも誰に似たんだか……いや、最初にあった頃からそうだったか。それにしても、言葉の端々からそこはかとなくリツ先生の気配を感じて、ぼくは少し腹が立った。

 絶対何か良からぬことを教えているに違いない、あのろくでなしはそういう人だ。


「いってぇ……クソぉ……覚えとけよクソ魔女ぉ」

「誰がクソ魔女だって?」

「あ、いや、なんでもないっす、イヴ師匠」

「分かればよろしい」


 涙目で頭を擦りながら、ぼくを恨めしそうに睨むアリスの手を引いて立ち上がらせる。そんな光景を、セナが微笑ましく見つめていた。


「イヴが師匠だなんて、ちょっとおかしいですね」

「何がおかしいんだよ」

「いえ、何だか、私の背中に隠れてばかりいたイヴが、誰かに魔術を教える立場になるなんて感慨深いなーって……」

「何言ってんのセナ、ぼく別に君の背中に隠れていたこと一度もなくない?」

「……あれ、そうですね、でもなんで懐かしいって思ったんでしょう?」


 それはもしかすると、彼女が記憶を取り戻す予兆なのかもしれない。

 セナの身体は、灰都の火でぼくを庇って死んだはずのぼくの親友、レイリーナ・ノクス・シルヴァリオ―――リーナのものだと師匠は言った。瓜二つの容姿からしてそれはおそらく本当だと思うのだけど、彼女は灰都の火以前の、ぼくと過ごしていた日々の記憶を失っている。

 セナはリーナじゃないと、ようやく踏ん切りがついてきた頃だというのに、ここで妙なノイズを混ぜるのは正直やめて欲しい。もし彼女が記憶を全て取り戻して、正真正銘リーナに戻ったとして、ぼくは彼女とまともに接することができるのか怪しい。

 それに……そうなったら、セナは消えてしまうのだろうか。それだけが不安だ。


「まぁ、どうでもいいことですね! よし、それじゃアリスちゃん、魔術の勉強はそこそこにして、今度は私が剣を教えてあげます!!」

「魔術っつー便利なもんがあんのにわざわざ武器の使い方学ぶ必要あるかぁ?」

「ふっふっふっ、分かっていないですねアリスちゃん。いいですか、イヴは剣が使えません。私は魔術でイヴの足元にも及ばないミジンコですが、逆にイヴは剣に関してはミジンコ以下です。アリスちゃんはきっと将来的に、イヴよりも優れた魔法使いになります。でも、私のように特化した剣士には勝てません。つまり剣を学ぶことでその弱点が―――」

「補えるってことか!?」

「大正解です! どうです? やってみたくなったでしょ!?」

「やるやる! いいじゃん魔法剣士! かっこいい!!」


 子供ってちょろいなぁ。

 まぁ、アリスは師匠の、王国史上最も優れた魔導師の複製といってもまだ子供だ。彼女が魔法を望んでいるから教えているけど、願わくば、そんなものとは無縁の生活を送って欲しいと思っている。

 とはいえ、そんな願望は捨てて、彼女が望むことをやらせてあげよう。

 孤児だったアリスにとって、ぼくたちは言ってしまえば親代わりのようなものだ。親に道を決めて運命を定められてしまうのは、昔のぼくを見ているみたいで、少し嫌だった。


「じゃあまず木剣を使って基本的な構え方から―――」

「あまり怪我するようなことはしないでね!!」


 アリスにこれ以上魔術を教えたら、本当に何か月か後にはぼくを超えてしまいそうな気がする。一旦寄り道もいいと思って、セナにアリスを任せてぼくは少し二人を見守ることにした。


「イヴ」


 後方から誰かに声をかけられる。

 根っこに一つ芯の通った凛とした声。ぼくはこれを知っている。

 振り返るとそこには、ちょうど屋敷から出てきたアルミリアとカナメさんが立っていた。


「アルミリア、カナメさん……どうしたんですか、珍しい」

「調べなきゃいけないことがあってね。ちょうど良いわ、イヴ、あんたもちょっと手伝いなさい」

「えっ?」


 カナメさんに連れられて屋敷の正門に向かうと、そこには一台の荷馬車が停まっていた。荷台には、古びた本が何冊も山のように積まれている。


「まさかじゃないけど……運べってわけじゃないですよね……?」

「そのまさかよ。二階の客間の床にシートを敷いているから、その上に並べて頂戴」

「これを全部……ですか?」

「あんたなら魔法でちょちょいのちょいでしょ?」

「そりゃそうですけど……」


 荷台に積まれた古びた本は、かなり昔の時代を記した文献だった。

 軽く表紙に目を通すだけでも、言語が異なる時代のものだと分かる。それが何十冊、それこそ百冊歩かないかの規模で積み上がっている。荷馬車にはだいぶ負担がかかっているようで、ぼくが荷台に足を踏み入れたら、ぎしっと足元が軋んだ。穴が開いていないのが不思議だったけど、どうやら魔術で強引に補強しているらしい。それでも、荷馬車を引く馬は結構しんどそうだ。


「これ、何なんですか? というか、何でアルミリアがいるの?」

「そんなの、これがグランヴィル家から提供された資料だからに決まっているじゃない。さぁほら、早く運んで。まったく、こういう時便利よね魔法って……」

「あはは……」


 ぼくが魔法の力のせいで苦労してきたことをカナメさんは知っているだろうけど、そんな気遣いができないほど彼女の精神が疲弊しているのは、黒い目の下にできた大きなクマで何となく伝わってきた。

 それにしてもグランヴィル家からの資料か……何があったんだろう。

 考えても無駄か。ぼくは魔法でサッと風を起こし、荷馬車の文献の山を持ち上げる。分厚い本が百冊近くあるのだから、そりゃ結構重い。まだ繊細な魔力操作がうまくできない左手でやるには、少しばかり集中する必要がありそうだ。


「ぐぬぬぬぬっ……」

「イヴ、大丈夫か? 私が半分持とうか?」

「君が言うと冗談に聞こえないね……大丈夫だから、二階の、その例の客間の窓を開けておいて」

「了解した。すぐに向かおう」


 ぼくの指示を受けて小さく頷いたアルミリアは、すぐさま屋敷に戻り、二階の一室の窓を勢いよく開いた。流石にこれを持って階段を上るのは厳しいから、窓から本の山を崩さないように放り込む。

 無事作業が完了したようで、二階の窓から顔を出したアルミリアが、両腕で大きな丸を作ってぼくに知らせてくれた。


「いやぁ……イヴがうちに来ているタイミングで本当に良かったわ。流石にこの歳になると腰を労わらないといけないからね……」


 魔法でサクッと作業を終わらせたぼくにカナメさんが賞賛の拍手を送る。

 この歳って……老人みたいなことを言う割に、カナメさんはまだ若々しい。リツ先生の同い年って聞いていたけど……そういえば、ぼくは二人の年齢をはっきりと知らない。


「それで、何なんですか、あれ。グランヴィル家から提供された資料って話でしたけど……旧時代の文献ばかりで……」

「あー……まぁ、イヴになら話しても良さそうね。どうせそのうちリツを経由してあんたが受けることになる仕事でしょうから」


 カナメさんは乾いた笑いをこぼしながら、呆れたようにため息をついた。

 先生を経由してぼくが受ける仕事。それはつまり、先生に回される特務魔導師の危険な仕事ということだ。それを生徒に任せるなんて教師としてどうなのかというのは置いておいて、先生に回されるということは、十中八九厄介な案件なわけで。


「グランヴィル領で、アルトリウスの墓所が発見されたのよ」

「アルト……リウス……?」


 深刻な表情でカナメさんが呟いたその名前は、この国で暮らす人間なら知らない者はいない、絶対的な英雄の名前だった。

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