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神具の印  作者: 零
第1章 一級霊跋師「我来斂徒」
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第17話 修行(斂徒編)

また斂徒視点に戻ります!

今日は俺が修行の担当となる日だ。

この1週間で神具の印のメンバー総出で、光迅と歌奈にできるだけの知識を詰め込むという目標のため、俺たちは各自効率的に生活していた。


俺が今日まで何をしていたかたというと、まず神具の印に当てられた仕事を桃さんと相談しながら整理し、必要なものをピックアップ。そして、俺がその全てに取り掛かる。

他の指導組は担当では無い日には学校に行き、放課後に修行の内容をデータをもとにして練ってもらう。

従魔の皆にはそれぞれの役目を負ってもらった。

ハクは指導担当とクレナの補助。ノワにはメンバーのスケジュール管理とデータ整理。アクリは俺の補佐として仕事の手伝いを、クレナには家事とメンバーの健康管理。というふうに誰もが忙しい日々を送った。

牙苑の伝わらない問題や、真為の暴走によるハプニングもあったみたいだが、基本つつがなく終えられたと聞いている。

と言っても、まだ1週間も経っていないが…


そして今日、俺が担当する修行のためデータをもとにあるものを用意した。

神具の印たる所以を説明する時が来たということだ。

早速光迅達のいる庭へ向かった。


「すまない。またせたな」

「いや、全然待ってないよ」

「準備もバッチリです!」

「それは良かった」


2人とも準備は万全のようでいつでも修行が始められそうだ。

やはり少し待たせてしまったかもしれないな。

まぁ、気にしても仕方ないので説明に移る。


「ところで歌奈、俺の修行の予想ついたか?」

「はい!しっかり考えてきましたよ」

「俺も少し手伝ったよ」

「ほう、では2人の答えは?」

「それは…ずばり『神具の扱い方』についてです!」

「なるほど、おしいな」


俺の戦闘を見た光迅なら神具関連のこと、ということはすぐ分かるだろう。

だが、俺は神具の扱い方なんてものは教えられない。

種明かしといこう。


「正解は神具の譲渡。簡単に言うとプレゼントだな」

「え、それって…」

「俺たち神具を貰えるってこと!?」

「そういうことだ」


そう。俺の役目は神具を渡すこと。

神具の印のメンバーは全員神具を使っている。

その神具は俺が一人一人に合わせて見繕った武器であり、最高のパフォーマンスを発揮できるようにするための言わば補助輪だ。

今回もノワに送ってもらったデータを元に神具を選んだ。

おそらく、2人の身体には馴染みやすいと思う。


「ということで、はい」

「ん?紐?」

「わっ、杖です」


腕輪から薄く、太さは30cm定規くらいの紐と丸い水晶玉のようなものが先についた杖を取り出し、それぞれ光迅と歌奈に渡す。


「これがお前たちに贈る神具だ」

「これ、どうやって使えば?」

「後で説明しよう」

「俺紐だけど!?」

「大丈夫だ。ちゃんと説明するから。だが、その前に俺からの提案というか、相談がある」

「なんですか?」

「2人の闘い方についてだ」

「「闘い方?」」


2人は俺に修行をつけて欲しいと言ってきたわけであって、やはり指針を決めた方がいいと思った。

俺もありきたりに術を撃つとかでは無く、自分に合った自分だけの闘い方というものを見つけて欲しい。

なので指針を俺が少し考えた。


「強くなりたいのならば、自分に合った闘い方というものは必要だろ?だから考えてきたんだ。その神具ももちろん込みでな」

「とてもありがたいのですけど…変更とかはできますか?」

「わかってる。どんな風に、何を使って、など構想などもあるだろうからな。だからあくまでも提案なんだよ」

「とりあえず聞かせてもらっても良い?」

「私も聞いてから決めたいです」

「了解だ」


そして、2人への説明が始まった。


「まず光迅。基本お前のできることは多く、可もなく不可もなしといった感じだ。創造系はできないことが多いが、召喚は使える。結界だって維持できるし、変転だって使える。よって俺は、お前に近、中距離間を行き来するオールランダーになってもらいたいと考えた。臨機応変に対応しなければいけないことは多くなるが、お前はそつなく何でもこなせるタイプだ。通常は前線に出て攻撃役に徹し、召喚で自身の補助をする。結界は基本自分に使ってもいいが、仲間に使ってもらうこともあるかもしれないな。時には変光で速さを活かして動くのもありだ。お前には可能性という言葉が一番あると思ったからこんな風が一番かなと考えたんだがどうだろうか?」

「え、えーと…要するにいろんなことできるようにって事だよな?」

「まぁ簡単に言うとな」

「俺もそれが良いと思う。元々前に出るタイプだったけど、仲間を守りたいとも思う。正直言って中途半端だった。それを変えられるなら、どんとこいだ!」


受け入れてはもらえると思っていたが、思ったよりやる気で良かった。


「そうか。なら良かったよ。あと一つあるんだが…」

「なんだ?」

「お前、"光纏"極めてみないか?」

「"光纏"を極める?」

「とても異例なんだが、お前の体内神力のコントロールの精度を活かすのにはちょうど良いと思ってな。"光纏"だと有名な聖明院家があるが、あれとは違った使いかたでいきたい」

「よくわかんないな…でも、了解した」

「いいのか?未知数だぞ?」

「斂徒が可能性って言ってくれたんじゃないか。俺は斂徒を信じるよ」

「あぁ、ありがとう」


光迅はなかなか眩しいな。信じるか…俺も光迅を最高の霊跋師にすると誓おう。


「次は歌奈だ」

「待ってました」

「すまないな。歌奈は光迅と違って尖った闘い方が良いと思った。内容としては、設置をメインとして戦略的に敵を倒すというもので、多人数で後衛の術師だな。設置はなるべく多種多様のものを使い、戦場を支配して欲しい。最終的に大設置も使えるようになれば、1人の時でも安心だろう。説明することは少ないが、やれることが多いのは光迅とも変わらない。どうだ?」

「とても私に合っていると思います。なかなかにアレンジが効きそうで、今からワクワクしています」

「神具の扱い方が少し難しいから手伝おう」

「ありがとうございます」


この後神具の説明をして、お試しで使ってみたりして今日の修行は終了となった。


「なぁ斂徒」


終わり際に光迅に声をかけられた。


「なんだ?」

「移動術ってどんだけあるんだ?」

「真為にでも聞いたのか」

「ああ。真為さんが"地上戦闘術・瞬遊"?とか言うのを使ってて気になったんだよ」

「俺も移動術は使うことができる。使いがっては良いが、いかんせん覚えるのに時間がかかる。真為のようなずば抜けた戦闘センスの持ち主ならべつだが」

「へぇ、やっぱり斂徒はすごいんだなぁ」

「なんでそこで俺になるんだ」


普通は真為がすごいだろうに。


「だって斂徒も使えるんだろ?」

「言っても2つだぞ?」

「なんなんだ?」

「"空中移動術・飛越(とびごえ)"と"地上戦闘術・跳駆(とびかけ)"。飛越は紐や鞭などを使って身体を引っ張って空を飛ぶ。跳駆は地面スレスレで跳び、瞬間速度を上げる方法だよ」

「なんか俺には使えなさそうだな」

「お前には変光があるだろ。そういうのがない人のためのもんだ」

「斂徒はなんで覚えたんだ?」

「まあな。いろいろあるんだよ」

「ふうん…いつか教えてくれよ!」


いつになるだろうか…教えられたらいいなと思った。

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