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神具の印  作者: 零
第1章 一級霊跋師「我来斂徒」
16/18

第16話 修行(真為編)

今俺は絶体絶命の危機に陥っている。


「それで光迅君はどう思ってるのかな〜?」


真為さんが奈落のように暗く光の一切ない目で俺を見てくる。

声は明るいはずなのに怒っているような圧があり、今は昼のはずなのにあたりが真夜中になったような寒気を感じる。


「なんか…いう事ある?」


満面の笑みだった。

…死ぬかも。





時は遡って2時間前くらい。

俺たちは真為さんのことを待っていた。


「今日は真為さんが修行をしてくれるらしいけど、なにをやるんだろうな?」

純白の血刀(バーサーカー)なんて呼ばれている真為ちゃんですから実戦訓練とかですかね?」


歌奈は真為さんのことを「真為ちゃん」と呼んでいる。

神具の印にいる女性同士で良く話しているんだとか。

最初の方は何故か真為さんを異様に怖がっていたようだけど、いまでは仲が良さそうでなによりだ。

そこへ真為さんがやってきた。


「おはよう2人とも。今日は私が修行を務めるわ」

「修行の内容はなんですか?」

「私は純粋な身体能力や反射神経の訓練をやればいいらしいの」

「らしい?」

「それはね「多分斂徒さんにそうしろって言われたんですよ。きっと」ちょっと歌奈ちゃん!」

「すいません。でも真為ちゃん、斂徒さんの話になると30分はかかるでしょう?」

「むー」


本当に仲良くなったんだなぁ。

どちらが先輩なのか分からなくなってきそうだ。


「真為さん。具体的には何しますか?」


牙苑のような前例があるのでしっかり聞いておこう。


「えーとね、簡単にやるつもりだよ。これを使うんだ」


真為さんは鞄からシールを取り出した。


「シール?」

「どう使うんですか?それに神力を通すとか?」

「ううん。神力は使わないよ。私がすっごく速く動いてあなたたちにシールを貼るから、それを避ければいいの」

「それだけ?」

「うん」

「終わったらどうするんですか?」

「んー?大丈夫だよ、1日で終わることないから」

「えっと、真為ちゃんは神力使いますか?」

「最初は使わないかな。使ったとしても最低限だよ」


今さらっとすごい事言われた。

1日で終わらない?神力を使わずに?

俺らは神具の印に入ったばかりとはいえ、それなりにやってきたつもりだ。

一般人の大人にだって普通負けない。

そんな霊跋師が動きを追えないなんてありえない。

なんか馬鹿にされてる気がする…

歌奈もあまり納得してない様子だ。よし、さっさと終わらしてやろう。


「だったら早速始めましょう」


歌奈も頷く。


「オッケー。じゃあいくよ?」

「「はい!」」


その瞬間真為さんが消えた。


「あれ、いいの?避けなくて」


右から真為さんが話しかけてきた。


「どういうことですか…まだ何も…」

「ちゃんと貼ったよ」

「は?」


慌ててみると服に2枚シールが貼ってあった。

嘘だ…。風が薙いだ感じもしなかったし、もちろん神力も使っていなかった。

歌奈をみると同じくシールが2枚貼られていた。

とんでもなくすごい。真為さんをなめていたみたいだ。たった一瞬の間にどれだけの速さで動いたのだろう。



いや、待てよ…

じゃあなんで風が起きない?

普通は速く動けば空気は震えるはずだ。


「あの、真為さん!」

「ん?なぁに?」

「めちゃくちゃ速かったです。驚きました」

「ふふ、ありがと」

「質問なんですけど、どうしてそんなに速く動いて無風なんですか」

「あー、教えてもいっか。これね移動術って言うんだ」

「移動術?」

「神力などの力を使わないで戦闘を最適化するための歩法。ですよね?」


歌奈が俺の質問に答えてくれたようだった。

移動術…俺は聞いた事ないな。


「そうそう。歌奈ちゃん物知りだね」

「でも、真為ちゃんは何故移動術を使っているんですか?私は移動術とはあまり戦闘向きではない人が使うと聞いたのですが」

「そうなの?」

「はい。移動術に攻撃的なものは無く、一手間加えて幅を増やすという使い方が一般的と聞きました」

「まぁ補助的な役割だよ。私もかじった程度だし。いまのは"地上戦闘術・瞬遊"って言って、動く時の空気の抵抗をできるだけ削ぐ歩法なの。斂徒がきっかけで覚えたんだ。昔はもっと荒れてたからねぇ…」


どこか遠い目であちらを見ていた。

これは触れない方がいいな。


「でも、すごいと思います。移動術は取得が困難と聞いた事もあります」

「へぇ、真為さんってやっぱりすごいんですね!」

「大したことないよ。本格的なものでもないし」

「でも、使えるだけでも一つ上にいるってことじゃないですか。もしかしたら神力使えば斂徒にも勝てるんじ「は?」


一瞬で周りの温度が一度下がった。

やばい、これも触れてはいけなかったらしい。


「それは、斂徒を弱いと思ってるってこと?」

「違いますよ!違います!」

「じゃあなんで?」


怖い!ハイライトの無い目が怖すぎる!


「それゃ斂徒のことは強いと思ってますよ!ただ、えーと、真為さんが強いのを目の当たりにして斂徒よりも強いのかなーと思って」

「やっぱり斂徒が弱いと思ってるよね」


ヒッ、ずいっと顔を近づけてきた!

やばいやばい


「や、えーと、その、ですね」

「それで光迅君はどう思ってるのかな〜?」


まずい、非常にまずい。声が出ない。


「なんか…いう事ある?」


満面の笑みだ…死ぬかも。


「真為ちゃん!決して悪気は無かったと思います!だからお、落ち着きましょう!」


真為が決死の表情で真為さんを宥めている。


「ちょっと真為!何してんの!?その圧一旦しまって!!」


どこからか出てきたクレナさんも真為さんを止めにきた。


「なんかあったら斂徒にも怒られるよ!」

「し、知らない」

「え!本当にいいんですか!?クレナさん、これヤバいです!」

「あぁー!最近のいろいろでストレスすごいやつだよぉー!」

「あぁ!真為ちゃん刀は駄目ですっ!」


真為さんは刀を取り出していた。

俺、今日が命日らしい…

お父さん、お母さん、今日までありがとう…


「おい」


一言で場が静まり返った。

この声は…


「斂徒っ!」

「何してんだ真為。しっかりやれって言ったよな?」

「あ、えーと。ちょっと斂徒の事を弱いって言ったから、そのぉ…」

「本当か?本当に『弱い』って聞いたのか?」

「えっ」


真為さんは、ハッとしたかと思ったらサーッと顔を青くしていく。


「ごめんねぇー光迅君」


急に俺にしがみついてきた。しかも号泣。


「だ、大丈夫ですよ」

「でも、それでもぉ」


これ俺に謝ってしがみつくって感じじゃないな、何かから逃げる感じ…


「真為」


真為さんの動きが止まった。


「説教の時間だ」

「嫌だぁ!やめて!説教だけは嫌なのぉ!」

「お前のその癖が治るまで永遠とするぞ」

「光迅君ごめんなさい。だから助けてぇ!」

「あの、すいません。俺にはどうも…」

「歌奈ちゃん!」

「自業自得だと思います」

「クレナぁ!」

「駄目」

「嫌ぁーーー!」


この世の絶望のような目で斂徒に引っ張ってかれた。

どれだけ恐ろしいんだ斂徒のお説教。


「光迅、歌奈迷惑かけたな」

「大丈夫」

「いえ、全然」

「今日は終了だ。クレナ後頼んだ」

「了解」


今日の修行は終わりとなった。

その後の1日は何も変わらなかった。

ただ一つ。3時間の説教を終えた真為さん以外は…

【データ】

輝橋 光迅

・体内神力のコントロール速度が早い

・上記に比べて体外神力のコントロール速度は人並みよりも遅い。本人の神力の性質によるものだと推測される。

・身体能力が高くさまざまな闘い方に適応できる模様。

・創造系は"召喚"のみ多少使用可能。

・結界は使用可能。未知数


泡舞 歌奈

・神力のコントロールに関しては常人並み。

・神力の量が多く、3時間無休で光纏のための神力を放出可能。

・頭脳を使う戦略的な戦闘が得意。

・創造系"設置"の適正を持つ。

・長詠唱系の術に適正あり。


追加事項無し

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