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思い出

 ある日のこと。

 陽衣はひとり、研究室でもくもくとあることをしていた。

 この研究室は、陽衣の『虚空』のおかげで必要無くなった物置部屋を陽衣が改良した部屋だ。


「どの武器ならおれの戦い方に合う?」


 陽衣は新しい武器を作っていた。

 エアインネルングはたしかに強力な武器だ。

 だが、エアインネルングは片手剣だ。

 戦いにおいて、もう片方の手を使わないのは勿体無い。


 なにより、


「ふたつ武器を構えていた方がかっこいい」


 そういうことだ。

 ということで陽衣は武器を作っていた。


 だが、武器を作るにあたってひとつ問題があった。


「どんな武器がコイツと合うかな〜?」


 大前提として陽衣の武器はエアインネルングだ。

 エアインネルングで戦うことを前提として考えたいのだが、


「まだエアインネルングを使って戦えたことがないんだよな」


 あの化け物を倒して以来、特にこれといった依頼もなく、よってエアインネルングを使うこともなかった。


 そこらへんの敵を倒したところでエアインネルングの真の能力である、『思いを力に変える』という効果は発揮できない。


 陽衣はエアインネルングの力がどれほどのものか測り損ねていた。


「別に何もないならそれに越したことはないんだけどな」


 全く、贅沢な悩みだ。

 自分の思っていることの贅沢さに気づいて苦笑いしてしまう。


「とりあえず、片っ端から作ってみるか」


 それから陽衣は一日かけていろいろな武器を作った。

 同じ片手剣、片手銃、ライフル、鎌、ナイフ、鞭。

 いろいろなものを作った中で、


「使い勝手も良くて機動力も下がらない。やっぱり片手銃、拳銃版の強力番みたいなのが良いな」


 片手銃を作ることにした。


 そこからの陽衣は凄かった。

 『錬金術』を使って、いま手に入る素材を全て使って片手銃を作りまくっていった。

 作っては作りまた作るをひたすら繰り返し、食、眠を削り取って作ることさらに二日。

 陽衣が導き出した結論はこうだった。


「何か違う」


 何かが違うのだ。

 別に悪いわけではない。

 むしろ、最高峰の素材を使い、『鍛冶』やら『創造魔法』やらその他ありとあらゆるチートを使った。

 なのに、エアインネルングと合わせると考えると何か違う。


「う〜む」


 とりあえず、いま言えることはひとつ。


「水を飲まないと死ぬ」


 余談だが、人間は三日間水を飲まないと死ぬ。






 少し休憩をして研究室に戻ってきた陽衣は、エアインネルングの柄を撫でる。

 最近エアインネルングのどこかしらを撫でることがクセになってきた。


 少し休憩に時間を使った陽衣は、あることに気づいた。


「同じ素材使えば良くね?」


 エアインネルングの素材を使えば良いのではないかと。

 だが、少しして陽衣は思った。


「エアインネルングってどんな素材使ってるんだ?」


 陽衣のありとあらゆるチートを使ってもわからない素材。

 わかっているのはひとつだけ。


「女奈の思い出が素材、かぁ」


 思い出。

 この剣の名前の由来だ。


 エアインネルングは、思い出の剣であること以外何もわからない。

 だから、合うものを作るのが難しいのだ。


 つまり、


「思い出で武器を作るのが一番、ってことか?」


 思い出を武器の形にする。

 どうするのか想像もつかない。

 だが、


「前例がある以上、できないってことはない」


 できないということはない。

 それならばできる。


「なんせ、おれはチーターだからな」


 ありとあらゆるものに理不尽を押し付けるもの。

 世界にだって理不尽を押し付けてやれば良い。


「やってみるか」


 そこからさらに二日、陽衣は必死に思い出を形にしようとした。

 いろいろなチートを使ってみた。

 そのうえで、


「どうしろってんだよ!!」


 結論。

 方法がわからない。


「思い出、かぁ」


 思い出ねぇ。


「そういえば、女奈といっしょに暮らしていた時もこんなことあったな」








〜陽衣と女奈が出会って約一年〜


「今日から、修行を簡単にします」

「よっしゃー!!」


 陽衣は、女奈に見てもらって修行をしてもらっていた。

 陽衣のリアクションに女奈が口を尖らせる。


「そんなに喜ばなくても良いじゃん」

「いやお前、いままでのこと思い返してみ?」


 女奈の加護を与える仕事をする時間はだいたい朝の十時から午後の二時。

 かなりのホワイトなのはさておいて、その間陽衣はひたすら基礎体力を鍛えていた。

 ひたすらダッシュする時もあれば、腹筋、背筋、腕立て伏せなどの筋トレを繰り返すこともあった。

 ほとんど休憩なしで四時間。

 さらにそこから加護を使いこなすための訓練が始まる。


「お前、おれが生身の人間だってこと忘れてんだろ!?」

「いや? 普通にわかってるけど」

「なお悪いわ!!」


 前世陰キャオタクの陽衣にはとてつもなくきつい内容だった。

 それを約一年繰り返したのだ。

 そりゃ陽衣も強くなる。


 普段は優しくてかわいい女奈も、修行となれば厳しいのだ。


「それで? これからは?」

「これからはね〜」


 女奈が自分を指差す。

 女神以上の笑顔を浮かべて爆弾を落とした。


「私と戦って勝つこと」

一章から二章に入るまでに少し幕間を入れます。その間に一章を見直して、少し改稿をして行こうと思います。

しばらく続くと思いますが、その代わりと言ってはなんですが、一章がもっと良いものになる、はずですのでこれからも『チーターの待ち人』をよろしくお願いします。

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