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チーターの待ち人  作者: 春ヶ勢はせる
第一章〜思い出の剣〜
27/43

二人目の女神と復活

たぶん今までで一番長いです。

「あの子の……」


 目の前の少女がつぶやく。

 彼女はどうやら陽衣のことを知っているようだ。


 陽衣はまたもや混乱していた。


 自分をどうにかしてくれると言われたから、てっきり修行かなにかあるのかと思ったのだ。

 だが、


(どういうことだ!? というかこの子だれだ!?)


 目の前に現れたのは白髪の少女。

 身長は低いのに出るところは出ているまさに巨乳ロリ。

 そしてなにより、


(この子もめっちゃかわいいな)


 目の前の子も女奈や凛心に負けないほどの美少女だ。

 ここニ、三年で三人もの美少女と会っている。

 陽衣は一体前世でどんな徳を積んできたのか。


(いや、前世でもそんないいことしてないわ)


 むしろ本の買い過ぎで親の働きを無駄にしていたような気がする。


 そんなことはいまはどうだっていい。


 まずは、目の前の少女が何者かだ。


「お前は何者だ?」

「ちょっとまって。その前に一つ聞いてもいい?」

「ああ」


 どうやらあちら側もだいぶ混乱しているようだ。

 まあ、よく考えたらそれもそうだ。


(急に目の前に謎の男子が降ってきたんだからなぁ〜)


 というわけで、大人しく少女の質問に答えることにする。


「まず、きみがこの世界の時間を止めたわけじゃないよね?」

「時が止まっていることをたったいま知ったんだが」

「だよね」


 その返答は少女も予想していたらしい。


「そうなると……いや、でも、……そうとしか」

「あの〜」


 一人で考え始めてしまった少女に陽衣は話しかける。

 陽衣も時間がないのだ。


「あ〜、ごめんね、陽衣くん」

「やっぱりあんたおれの名前知ってるんだな」


 どうやら本当に陽衣のことを知っていたようだ。


「あ〜、まあね。ボクたちの世界でいま、きみ有名だから」

「おれが有名になるとかろくな業界じゃないだろ」

「言えてる」


 というかサラッとスルーしたが、


(生ボクっ娘だ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!)


 今の陽衣はとってもとってもテンションが上っていた。

 一瞬、今の状況とかどうでも良くなるぐらい興奮した。


 ボクっ娘だ。

 しかも白髪ショートカット、巨乳ロリ、そのくせ美少女。

 これでもかと言うほど。


「属性モリモリだな」

「? なにか言った?」

「い〜や〜、別に〜」


 別にオタク的にテンションが上って暴走し、思ったことが素直に言葉に出そうになったわけではない。

 決してそうではない。


 話を戻すために一度咳払い。

 リアルでも咳払いは便利だ。


 気を取り直して。


「それで? 何でおれはそんなに有名になってんだよ?」

「きみがあの子のお気に入りだから」

「あの子?」

「そう、あの子」


 だれだ?、と首を傾げる陽衣。

 本気でわからない。


 いや、わかってはいる。

 でも、そんなはずはないとも考えられる。

 もし、そうなら……。

 彼女は……。


 答えを求める陽衣。

 返ってきたのはある意味予想できた答えでもあった。


()()()()()ちゃん。神崎女奈ちゃん、だっけ?」

「!!」


 彼女は神でもないと説明がつかない。


「そうなると、やっぱりお前は神の関係者なのか?」

「あれ〜、女奈の名前出したのに思っていた反応と違うんだけど」

「いや、お前そうでもないと逆に説明がつかないだろ」

「それでも!! それでもリアクションは必要なんだって!!」

「まあ、それは同意する」


 リアクションがないのは寂しい。

 オタク的にも共感度が高い。


「じゃあ、お前は何者なんだよ?」

「ボク? ボクはね〜」


 そう言ってこちらを見てくる。


「ボクは、()()()()だよ。まあ、正確には女神だけどね」


 時間の神。


(たしか、女奈が言ってたな)


 時間のバランスを守る神。

 すべての神の中で、唯一世界そのものと鑑賞ができる神。


「まさか、神そのものとはな〜」

「あれ? そんなに怖がってない?」

「怖くねえよ、女奈と仲が良かったって聞いてたからな」

「へえ、ボクの話もしてくれてたんだ」


 ちょっと切なげな顔を見せる時の神。

 だが、その顔も一瞬だった。


「それで? 時の神だと知らずにきみはどうしてこんなところ降ってきたの?」

「それは……」


 それは、あの少年にどうにかしてもらえるって言われ―――。


「そうだよ。それだよ」

「どれだよ?」


 時の神のツッコミも今は無視だ。


「ある少年に言われてさ〜。お前ならいまのおれをすべてのチートが使えるおれにできるって言われてさ〜」

「なるほどね」


 時の神は黙ってうなずいた。


「たしかにボクならきみを成長させればいいからね。どうにかできるね」

「本当か!?」


 それが本当なら、


「ぜひ力を貸してほしい」

「う〜ん、どうしよっかな〜?」


 時の神は首を傾げた。


「そこをなんとかっ!!」

「陽衣くんに力を貸してあげたい気持ちはあるんだよ。でもね〜、神は世界のバランスを崩しちゃいけないんだよね〜」


 頼み込む陽衣に苦笑いをしながら話す。


「きみに力を貸したら世界のバランスはどうなる?」

「それは……」


 もちろん崩れるだろう。

 陽衣ほどの力を持っていればなおさらだ。


「数年後に力を手に入れるはずの少年一人がいま力を手に入れるだけで世界のバランスはたやすく崩れる」


 陽衣の目を見て聞いてくる。


「それが世界だ。世界そのものをきみは天秤にかけられるかい?」


 世界のバランスを保つための神がバランスを崩してどうする。

 彼女が言いたいことはそういうことなのだろう。

 そこでたやすく自分の欲望を叫ぶのは決意じゃない。わがままだ。

 それに、いま世界のバランスが崩れたら、女奈や刀輝たちが今後どうなるかわからない。


 それがわかっているから陽衣は即座に答えを出せない。


 陽衣は悩み込んでしまった。


(どうすればいい? どう答えるのが正解だ? 世界を天秤にかけても仲間を救おうとしたほうがいいのか?

いや、その影響が今後出たらどうなる? それこそ自業自得だ。かと言って、ここで力を借りなきゃ勝てるはずがない)


 極限の選択に陽衣は黙り込む。


(どうする? どうする? どうする? どうする? どうする?どうする?どうする?どうする?どうする?どうする?どうする?どうする?どうする?どう、どう、どう、どう、どう、どう、どう、どう、どう、ど―――)


「ま、そんなことはどうでもいいんだけどね」


「え?」


 急にあっけらかんとした声が響いた。

 これにはさすがの陽衣も驚きの声を上げた。


「な!? え!? それどう言う!?」

「そのままの意味だよ」


 そう言いながら答える。


「別にそんなこと関係なくボクはきみに力を貸してあげるって―――」

「それ!! 本当か!?」

「ちょっと落ち着きなって」


 笑いながら陽衣をなだめる。


「ボクは()()()()()()()()()()()()()()()んだ。きみは女奈の友達。そして、」


 そう言って、時の神は一瞬うつむいた。

 どうしたものかと思っていると、


「きみは、女奈ちゃんの大切な人だからね」


 顔を上げて言った。

 そんな彼女の笑顔は死人が出るぐらいきれいだった。


「それはそうと」


 感動の雰囲気なんて一瞬で吹き飛んだ。

 そういえば、時間がないんだった。

 いや、時間は止まっているのか。


「きみの体を成長させるのはいいとして、一つだけ条件があるんだ」

「なんだ?」


 少しだけ身構える陽衣に笑いが漏れる。


「あははっ。そんな身構えなくていいって。簡単なことだよ」


 そう言って条件を出した。


「ボクがきみに力を貸す代わりに、きみには魔剣学園に入ってもらいたい」


 陽衣は急に学園の名前が出てきて反応できなかった。

 しかし、時の神の顔は真剣だった。


「約束してほしい。これはきみのためでもあるんだ」

「わかった」


 彼女の真剣な表情に、陽衣は頷いた。


「おれは魔剣学園に入るよ。それでいいんだな?」

「うん。ボクはそれで満足かな」


 そう言うと、神の右手が光りだした。

 そしてそのまま手を前に出す。


「ほら」

「なんだよ?」

「シェイクハーンド」


 そう言って更に手を前に出してくる。

 言われるがままに握手をすると―――。









〜勇日刀輝視点〜


「くっ!!」


 現在、僕も凛心もとてもきつい状況だ。


 僕は得意の戦い方ができないせいでうまく魔物に対応できないし、凛心は魔力切れが来ている上に上級魔法以上のものは使えない。

 正直、それでも並の敵は瞬殺できる程度のい力は持っている。

 だが、


「なにこれ!? 強すぎ!?」


 目の前の化け物は強すぎる。

 これは、この世に会ってはならない強さだ。


「それでも!!」


 二人で最後の力を絞る。

 ブレスを避け、敵の攻撃を躱し、懐に入り込む。


「喰らえ」


 凛心は使えないはずの上級魔法を使い、僕は今日のなかで一番強いパンチをお見舞いした。


 しかし、



「これでも、ダメ!!?」


 凛心は今の一撃で魔力がなくなってしまった。

 僕ももう足を負傷して動けない。


 そんな好機をこの化け物が逃すはずもなく、


「あ゛ぁ゛ぁ゛あ゛」

「っ!!」


 とてつもない咆哮とともに、いままでで一番温度が高いであろう炎を吐いてくる。


(ここまでかな)


 凛心も僕ももう動けない。

 あとはこの怪物が街に行かないことを祈ろう。


 僕と凛心を炎が包んでいく。








「あ゛あ゛あ゛あ゛」


 怪物の声がまた聞こえた。

 だが、いまの声はさっきまでとは違う。

 まるでダメージを受けたかのような、そんな悲鳴が聞こえた。


 だが、そちらを見る力も残っていない。


 どうしようもない。


 そう思っていた。




 声が聞こえるまでは。


「ごめん。またせた」


 優しい声。

 大人と子供の中間のようなきれいな声。


「え?」


 無いはずの力を振り絞って声の方を向く。


 そこにいたのは()()()()()()()()()()()()()

 いつの間にか炎は消えていた。


 そこにあったのは圧倒的な殺気と魔力。

 それに、見るものすべてを圧倒するオーラ。


 その殺気は、すべてまっすぐに()()()()()()()()()怪物の方に向いていた。


 少年がこちらの方を向いた。

 どこか見たことあるような顔。

 いや、きっとこちらを向く前から僕はこの少年が誰か気づいていたのだろう。


 絶対的な安心感が僕と凛心を包み込んだ。

 目の前の少年は僕たちを安心させるように言った。


「ただいま、勇者と魔王。あとはチーターが引き受ける」


 ちょっと照れながらなところが彼らしい。


「あとは任せろ」

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