出発
短いです。
「はぁ、明日からしばらくベット抜きで寝ることになるかもな」
「それはつらい」
「まあまあ、しょうがないよ」
是千代との話が終わり、明日から本格的に森を調査することが決まった。
「今更なんだけど、領主くんはなにしてんの?」
「いま、ちょうど国王陛下に呼ばれているらしいよ」
じゃあしょうがない。
「そういえばさ〜、ふたりは前世でどんな武器使ってたんだ?」
「僕は聖剣だよ」
「私は素手。魔法詠唱の効率化のためにグローブしていたぐらい」
「なるほど」
ようするに剣技と魔法が基本攻撃か。
「万全の二人はやばいくらいに強かったんだろうな」
そう言うと、二人は苦笑いをしながらお互いを見た。
「まあね。凛心に何度殺されそうになったことか」
「刀輝も」
その言葉を聞いて陽衣は内心、しまったと思った。
いまはこんなに仲良くしている二人だが、もともとは殺し合っていたのだ。
「あ〜、その……」
「大丈夫だよ」
「別に気にしていない」
謝る前に気を使われてしまった。
「あの頃は大変だったけど、大事なのは今だから」
「そうか」
「ん。その今には陽衣もいる」
だから、と。
「今を壊すのはやめてよ」
「わかった」
そう言うと話を変えたかったのか、刀輝はこんな質問を陽衣にした。
「万全の君はどんな強さなんだろうね」
その言葉に陽衣は、
「さあな」
「それはない」
「いや、そうじゃなくてさ〜」
そう言って、陽衣は弁解をする。
「本気を出せた頃に手合わせできたやつが女奈しかいなかったからさ〜」
「あぁ〜」
陽衣がチート並に強くなれたのは女奈の加護と修行のおかげだ。
しかしそのときのふたりは、同居生活真っ最中だった。
当然、力比べも女奈としかできていない。
最後の方は案外張り合えていたが。
「そもそも女神の強さってやつがわからないからな」
「そりゃ、わからないよね」
「納得」
まあ、何にしても。
「刀輝の聖剣は今のおれにはどうしようもないし、凛心も魔力が全開ってわけじゃないからなぁ」
「きついね」
「せめてあと一年あとに来てほしかった」
そしたら魔力全開だったのにと嘆く凛心さん。
「まあ、しょうがない。できるとこまでがんばるか」
「それしかないね」
「ん」
あとは明日にそなえてねむりましょ。
「よし! 行くか!」
翌日。
出発した陽衣たちは森に向かっていった。
それにしても。
「魔物が多いな」
森に向かう途中。
まだ半分も行ってないのにもう数えきれないくらいの魔物と戦った。
雑魚敵なので瞬殺だったが鬱陶しい。
「やっぱりおかしいな」
「そうだね」
「ん。とてつもない量」
雑談をしながら軽くあしらう。
いくらデバフだらけでも勇者と魔王とチーターなのだ。
このぐらいは的にする時間すら惜しい。
「あまりに多いな」
どういうことなのか。
なおも魔物を倒しながら道を進み始める。
すると、途中からばったり魔物に会わなくなった。
「急に魔物が出なくなったな」
「気配もないね」
「魔物は森のほうが住みやすいはず。おかしい」
いままで森の中で暮らしていたのだ。
森のほうが住みやすいはずなのに、森に近づくに連れて魔物の数が少なくなっていった。
(どういうことだ?)
あまりにも不自然だ。
森に近づくほどに魔物が減る。
それだけじゃない。
(不自然なくらいに楽に森までこれた)
対して苦労をすることもなく森までついたのだ。
つまり、
「森の中はやばいんだろうな」
「そうだね」
行きたくないな。
「行かなきゃだめ。私達のため」
「ナチュラルに人の心を読むなよ」
「君がわかりやすいんだよ」
心外だ。
遅くなって誠に申し訳ございません。次はこの二分の一、いや、四分の三くらいの期間のうちに出します。




