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チーターの待ち人  作者: 春ヶ勢はせる
プロローグ〜女神の涙〜
2/43

女神の加護はオタクの夢

「本当にごめんな」 

「だから、気にしてないです」

 

 じゃあ、なんでそんなに目が冷たいんだよぉ、とぼやいているのはもちろん陽衣。


 今、陽衣は必死に謝罪している。なぜなら、目の前の女神様の、自分を見る目が若干引いているからだ。


 あまりのテンプレ度合いについぽろりと正直な感想を述べてしまった陽衣だが、冷静に考えてみて初対面の相手に言う言葉じゃないと思い至った。が、時すでに遅し。

 学校では、陽衣も陰キャだったので初めて会話する相手に緊張する気持ちはわかる。しかも、その相手が意味不明なことを言ってきたのだ。

今の陽衣にできるのはただひたすらあやまることのみ。


「まじで悪かった」

「だから大丈夫です。話を進めさせてください。このままじゃ話が進みません」


 どうやら許してもらえたらしい。陽衣がほっと胸をなでおろすと、女神は一度ため息を付いてから話を続けた。


「あなたの名前は黒川陽衣さんでよろしいですか?」

「そうだけど…」

「それでは、現在のあなたの状況とこれからのことについて説明しますね」


 そう言って女神は説明し始めた。


「現在のあなたは死後すぐの状態でこちらの来ています。通常の人間なら、このあとそのまま転生するのですが、あなたがこの世界に来れたということは主神に選ばれたということです」

「ちょっとまて!」


 そこでいったん陽衣が女神の話を切った。


「少し質問してもいいか?」

「いいですよ」


 女神から許可を得た陽衣は、浮かんできた疑問を聞いてみることにした。


「まず、主神ってだれだよ」

「世界を統べる神の中のリーダーみたいなものです」

「なるほど」


 とりあえず一番気になった厨二病言語(パワーワード)を知ることができた。


「おれの生きていたところでは、死んだ人間はあの世には行くと言われているんだけど」

「あなた達の世界で言う天国や地獄も世界の一つです。苦痛の世界や楽園の世界のことを指しているのでしょう」

「つまり、天国や地獄に行く、ということ自体が異世界転生の一種ということか」

「その考え方であっています」


 天国や地獄が一つの世界の名前とは思っていなかった。


「じゃあ、『世界の一つ』ということは?」

「あなたたちの世界を含め世界というのは複数個あります。その世界を行き来することを異世界転移と言い、別世界に生まれ変わることを異世界転生と言います。すべての世界を均等に保つために神が存在し、神のリーダーが主神です」

「ちょっとまて、地球の人間の人数はずっと増え続けているぞ」

「戸籍上は、でしょう。地球は特に人が増えやすいです。だから異世界転移は地球人が多いんです。神隠しと呼ばれている現象も正確には異世界転移です。行方不明では戸籍が消されず、ものすごい勢いで人が増えている用に見えるのです。まぁ、人が増えていることに変わりはありませんが」

「なるほど、納得した」


 一気に知識量が増えた気分である。陽衣がしっかりと理解したタイミングで女神は話を続けた。


「先程も話したとおり、あなたは主神に選ばれました。よって、次なる世界に転生する前に私から加護を一つ差し上げます」

「マジで!?」


 オタクにとって、女神の加護=チートである。そのチートをもらえると聞いて、陽衣はとてもテンションが上がった。


「私があなたにあった加護を一つ差し上げます。今は使い道がわからなくても、そのうち使いこなせるようになります。さぁ、儀式を……」

「ちょっとまて」


 急にハイテンションが収まり、本日三度目のちょっとまて発言をする陽衣に目を細める女神様。

そんな女神様に陽衣はふと浮かび上がった疑問を投げかけた。


「いま、一つ、っていったか?」

「えぇ、言いましたけど」


 それが何か?みたいな顔をする女神様。そのキョトンとする顔はさっきまでの感情のない顔と違ってとても可愛らしいのだが、いまはそこには触れずに陽衣はさらに疑問を重ねた。


「つまり、チートって複数種類があるということであってるか?」

「加護のことをチートって呼んでいること以外はあっていますけど……」


 ちゃっかりチートが何を指しているかは理解するも、何を言いたいのかはわからないという表情をする女神様。その顔に、わるくないなぁと思いながらも、陽衣はこれからの運命を変える一言を発した。






「そのチートって全部もらうことってできないか?」






 その質問に女神は一瞬考えるそぶりを見せるもすぐに否定した。


「それはできません。」


 女神にとっては、ただの思いつきで言ったと思ったのだろう。あるいは、すぐに諦めるだろうと考えていたのかもしれない。


 しかし、女神はオタクを甘く見ていた。


 くり返し言うが陽衣はオタクなのだ。そして目の前には、全オタクが一度はもらってみたいもの十選に入るような代物だ。

そんな女神の加護(オタクの夢)に陽衣が妥協を入れるはずがない。


「主な理由は?」

「加護は一日一つしか渡せないからです。」


 女神はオタクの勢いに若干戸惑いながらも話を進めた。


「なんで一日一つしか貰えないはわかるか?」

「主に死に戻りをする人が出てくることを防ぐためです。転生をして最初の一日は、魂が体に定着してないため、痛覚がない状態です。それをいいことに、自殺をして加護をもらい直そうとする人が出てきてしまうからです」

「つまり、リセマラする人が出てくるということか〜」


 無論だとばかりに黙る女神様。さすがに諦めたと思ったのだろう。ところがどっこい、陽衣はまだ諦めていなかった。


「ちなみにチートは何種類ぐらいある?」

「千種類ほどです。」

「約二年半か」


 二年半?と首を傾げる女神様。かわいい。

 そんな女神様に陽衣は聞いた。


「千種類全部もらえるまでの二年半ここにいちゃだめか?」

チートって夢じゃないですか? 個人的に剣の次ぐらいにほしい

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