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チーターの待ち人  作者: 春ヶ勢はせる
第一章〜思い出の剣〜
18/43

男の子だから

ギャグ回みたいなものです。

 陽衣と刀輝は今、最初に会った森の中にいる。


「それじゃあ始めようか」

「魔法はなしだぞ」

「どうしようかな?」

「おいおい」


 二人は向かい合っている。

 次の瞬間、二人はほぼ同時にお互いのみぞおちに拳を入れていた。


 一体何が起きているのか。

 ことの発端は、一時間前まで戻る。


 おおよそ一時間前のこと。

 凛心のちょっとした一言がきっかけだった。


「二人ってどっちが強いの?」

「おれ」

「僕だと思うよ」

「「ん?」」


 見事にハモった。


「この前の是千代さんとの戦い見ただろ? 我ながら強かった。おれのほうが強い」

「君が是千代さんに敬称をつけてるのは驚きだけどさ。加護の力が使えるならともかく、今の陽衣は基礎能力だけじゃないか。それに、あの程度なら僕も余裕で防げるよ」

「そりゃ余裕だろうよ。お前は勇者だからな。だが、俺のほうが強い」

「いや、加護のない陽衣は僕には勝てない。第一、身体の大きさが違うじゃないか。君は僕より年下だ」

「体はともかく年下は関係ないだろ。それに伊達に女神と二年半修行してねーんだよ」

「僕のほうが強い」

「い〜や、おれのほうが強いね」

「ぼ〜く」

「お〜れ」


 というわけだ。


「なんで直接戦うことになるの?」

「「男の子だからな(ね)」」


 そういうことだ。


 どんな年になってもどこにいても男の子は男の子だ。

 折れてはならないプライドというものがある。

 たとえそれが、三つの世界を渡った勇者でも、はたまた女神の加護をすべてもらい、何なら世界を変えちゃうかもしれないチーターでも。


 最初のみぞおちがお互いにヒットしてからは、お互いにダメージを与えられずにいた。


(陽衣の戦い方なのか? ゆらゆらした動きで捉えれない)

(くそ、やっぱ身体能力じゃあっちに分があるか)


 陽衣は、色々な先人の戦い方と女奈との修行を得て身につけた独学流で戦うスタイルだ。

 そのため、戦いに適応して戦い方を変える事ができる。

 それに対して、刀輝は一点集中で相手に重い一撃を与えるタイプ。

 つまり、一撃の重さと引き換えに攻撃の選択が限られてしまう。


 ということで、はたから見ると陽衣が有利に見えるがそうではない。


 刀輝は勇者。

 これまでも命の奪い合いを最前線でしてきたのだ。

 命の危機に対する第六感と戦いの感性はとてつもないものだ。


 それに、刀輝には大きなアドバンテージが有る。

 それは、身長だ。

 今の陽衣と刀輝の戦いでは、たかが身長が大きなアドバンテージになるほどの明確な差の一つだった。


 そのため、体格差と技術力、お互いの戦いの感性を総合的に照らし合わせた結果、肉弾戦では互角だった。


(まずいな)


 持久戦になったらまずいのは陽衣だ。

 いくら基礎的な能力が高くたって体は十歳。

 持久力には限りがある。


 今、勝負に出るしか無い。

 陽衣は勝利のためにいったんありとあらゆることに対する代償は考えないことにした。


「『瞬間転移』」

「え? ずるくない?」


 まだ、ほんの僅かしか無い魔力。

 その魔力を振り絞って、『瞬間転移』を使った。

 もちろん大小と引き換えに刀輝の隙に一瞬で入り込むことに成功した。


「もらった!」

「甘いよ。 『光の刃』」

「ちょっと待て、魔法使うなって言ったろ!?」


 一瞬の隙をついた陽衣だったが、今度は刀輝の番だった。

 光属性と風属性の合わさった上級魔法、『光の刃』。

 普通の人なら触れただけでも大きな傷ができかねないかなり強力な魔法。


(いくら陽衣といえど、上級魔法を喰らったらさすがに倒れるよね)


 刀輝はこのとき勝利を確信していた。

 しかし、陽衣はそう簡単に攻略できる相手ではなかった。


「まだだ」


 バシッ、の強化版みたいな音が森にこだました。

 なんと、陽衣は『光の刃』を素手で掴んでのだ。


「それ上級魔法だよ!?」

「そうみたいだな〜」


 そして、その『光の刃』を刀輝の顔面にぶち込もうとした。

 しかし、刀輝もさすがの反応速度でもう一度『光の刃』を作り出し、陽衣の顔面へ。


 二人のパンチはクロスしてお互いの顔にクリーンヒットした。

 地面に入る亀裂、風圧で揺れる大木たち。


 そのあと、二人とも地面に仰向けで倒れ込んだ。


 その様子を見ていた凛心は、一言。


「『聖なる光』」


 回復魔法、『聖なる光』をつかった。

 森の木々に。


 二人の戦いで荒れた木々がどんどん元の美しい風景に戻っていく。


「お〜い」

「僕たちも回復してよ」

「大丈夫。二人は生きてる。どうせこの程度じゃ死なない」

「そういう問題じゃないんだけどな」

「まあ、森を荒らした僕たちも悪いけどね」


 そういうと、二人は立ち上がった。


「刀輝、やっぱお前すげーな」

「陽衣もね。最後のやつはヒヤヒヤしたよ。まあ、結果的に相打ちに持ち込めたから良かったけどね」

「よく言うよ。魔力に関してはまだまだ余力あったくせに」


 刀輝には、まだまだ十分に魔力が残っていた。

 使おうと思えば、『光の刃』以上の魔法だって使えたはずだ。


「いや〜。最後は力勝負かなって思って」

「そうか」


 力比べをした結果、互角だった。

 つまり、少なくとも肉弾戦では互角なのだ。


「まあ、お前が聖剣とか持ったら結果は変わっていたかもしれないけどな」

「あいにく、聖剣はあっちの世界に置いてきちゃったかな」


 ともかく、二人ともとてもスッキリした表情だ。

 お互いに笑いあったあと、がっちり握手。


「これからもよろしくな。刀輝」

「こちらこそ、これからもよろしく。陽衣」


 二人の握手を夕日が照らすのであった。






「なんでそんなに熱くなれるの?」

「「男の子だからだよ(かな)」」

つまり、男の子だからです。

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