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チーターの待ち人  作者: 春ヶ勢はせる
第一章〜思い出の剣〜
14/43

ラノベに一人はいるうさんくさいやつ

 刀輝と凛心の家について、陽衣は今、とても混乱していた。

 というのも、


「刀輝サンと凛心サンの新しい友達が来たと思ったら、とんでもない実力っすね〜」

「何この大体のラノベにいる怪しいけど結局味方、みたいな人」


 陽衣の目の前には怪しいおっさんがいるからだ。

 隣を見るも、刀輝も凛心も苦笑い。


「大丈夫。この人はとても怪しそうだし事実怪しいけど全然怪しい人だから」

「全くもって大丈夫じゃない件」


 うさんくさそうなおっさんだ。

 まぁ、でも


「こういうおっさんは結局敵じゃない」

「いやぁ〜、分かってるじゃないですか〜」

「でも、主人公を利用してうさんくさそうな笑み浮かべてんのもあんたみたいなひとだ」

「それほどでも〜」

「そういうとこなんだわ」


 うん。嫌なタイプだ。

 二人の話が終わったタイミングで刀輝と凛心がおっさんに問い始めた。


「冗談は置いといて、なんで今日来たのかな?」

「ん。今日は来る日ではなかったはず」


「いやぁ〜。とんでもない力を持った人があなたたちに近づいていたから心配で見に来てあげたんじゃないっすか〜」


「それで? 本音は?」


「面白そうだと思いまして」


「なぁ刀輝、こいつ一発殴ってもいいか?」


「良いよ」


「当人の許可なしに決めるのやめてもらっていいっすか」


 とりあえず後で殴ることにして。


「あんた何者だ? いくらおれが『隠蔽』を使ってなかったとはいえ、普通の人なら()()()()見えないだろ」

「そうっすね〜」

「はいアウト〜。高いの意味がわかる時点でアウト〜」

「雑なはめ方っすね〜」


 高すぎて、が何を指しているのか通じた。

 陽衣の中で、この人の信用度がまた下がった。


「っていうか、もうそろそろ名前を教えろ」

「初っ端から敬語はなしですか」

「実力差」


 これはぶっちゃけた話だ。

 この男の強さもかなりやばいのだろう。

 刀輝や凛心とも戦えるぐらいの魔力が少なくともある。

 とはいえ、だ。

 戦えば問答無用で陽衣が勝つ。


「なるほど。もうそろそろ真面目な話ってわけですね」


 あちらも気づいているのだろう。


 この会話をしている間、この男は()()()()()()()()()殺気を飛ばして来ていた。

 だが、陽衣は本能的にですら怯むこともなければ、殺気を飛ばし返すこともなかった。

 どれだけ殺気を飛ばされても陽衣は自然体だった。

 陽衣が歴史書でどれだけ過去の偉人の殺気を間近で感じたと思っているのか。

 少なくとも殺気の質が違う。

 そのことが二人の純粋な能力の差を明確に表していた。


(ま、今のままならだけどな)


 こういううさんくさいやつは、だいたい実力を隠している。

 これはラノベの基本だ。

 ミニテストにすら出るか怪しいくらいの基礎。


「それでは、お互いに自己紹介をしましょうか」

「うさんくせえなあ」

「まあまあ、そう言わずに」


 お互いにさぐりさぐりと言ったところか。


「おれは黒川陽衣」

「自分は園田(そのだ)是千代(これちよ)と申します」

「本名か?」

「よく聴かれます」


 つまり本名なのだろう。

 刀輝も凛心も特に反応していなかったし、色々な人に聴かれるということは少なくとも他の人にも同じ名を使っているのだろう。

 最悪『顔色窺い』や『心情理解』を使えば相手の思っていることはわかるが、魔力を結構使うから疲れる。

 疲れるのは嫌だし、それに


「そんなのじゃつまんないしな」

「はい?」

「いや、こっちの話だ」


 ということで信じるかどうかは置いておいて、話を進めることにした。


「それで? こいつはなにものなんだ、刀輝?」

「自分に聴いてくれません?」

「なんだよ。話が進まないだろ。話しかけてくんな」

「ちょっと辛辣すぎやしませんかね〜」


 いっこうに話が進まない。

 相性がいいのか悪いのか。


「話を進めますが、私は魔剣学園(まけんがくえん)の学園長をやっているものです」

「でたよ。そういうやつ」


 つまりはそういうことらしい。

 このうさんくさい男はどっかの学園の学園長をやっているらしい。


「んで? なんでその学園長と二人が知り合いなんだ? 二人ならそんなところなんて行かなくても全然大丈夫だろ」

「ん」

「まあ、そうなんだけどね」


「私が勧誘してるんすよ」


 いわく、この男の学園は序列というものがあるらしい。

 代々その代の成績が良い者に『勇者』、『魔王』、『聖女』、『賢者』みたいなかんじの二つ名がつくらしい。

 二人は実力を買われて、その学園に勧誘されているらしい。

 しかも週三ぐらいのペースで。


「うわぁ〜、めんどくせえ仕組み」

「まあまあ、そう言わずに」


 そう言って是千代は立ち上がった。


「ん? もういくの?」

「まさか〜」


 そう言って是千代は陽衣を見た。


「陽衣サン。自分と少しお手合わせ願えませんか?」


 その問いに対して陽衣というと


「やだよ。めんどくせえ。おれ、さっき、食ったばっか」

「まあ、そう言わずに〜」


 そう、陽衣は食後だった。

 ようするに動きたくない。


「食後の運動だと思って〜」

「やだ」


 しかし、この男は思っていたよりしつこかった。

 いや、ある意味予想通りか。


「わかった」

「おお?」


 あまりにしつこいので陽衣は折れた。


「一歩も動かなくていいなら相手してやるよ」

こういうキャラはまあまあ好きです。

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