海の色
西の森について、目印に旗を立てた。それから城下町キザナックへ行き、今晩は泊まることにした。次の日旗を立てた場所に行ってみるとドラゴンが眠っていた。Uが目印を通り過ぎようとした時、むくっと起き上がり、「待ってくだされ、治癒のU先生。こほん。私は赤竜が末席レグナット、本日はお願いにきました。」「却下」「そんな、貴重なルビーまで手紙に入れておいたのに、ほら。あ…。入れるの忘れてた。」「このルビーはどういうものなのだ。口に含んで飲み込んでいただきますと火属性魔法の能力値が格段に上がります。」「ふ~ん。で治癒ってことは痛いところがあるってことでしょ。痛い部分はどこ。頭です。」ギャグかもと思ったが、脳に異変が起きている可能性がある。白衣に着替えると、手袋をして、気絶させる。触診するがこのもにょもにょとするものかウォーターリングで切ると腫瘍だった。削り取り、他にないかチェックする。頭蓋骨の下が腫れている。穴をあけてぴったりの位置に腫瘍が見つかった。腫瘍を摘出する。あとは縫合のみ。治癒魔法ナイツ・オブ・メスで完了した。「レグナット、レグナット、起きなさい、レグナット」「んっあ、先生。」「治療は終わったよ。」血まみれのUがVサインをして、レグナットはうれしがる。「これは先生に終わった後渡すはずだったもう一つのルビーです。」「なんか大きくないか?」「今小さく濃縮させます。」飴玉近くなったので飲んでみた。特段変化はない。「元気でなあ」ウルも「元気にしてください」と言った。ドラゴンの一件が片付いたのでその場で衣服の洗濯を始めた。血糊がベッタリくっ付いて、取れない。衣服を燃やして新しい白衣を買うかと思った矢先、炎の大きさがけた外れに大きくなっていた。ボールくらいの大きさがお化けカボチャ並みの大きさになっている。力を籠めれば、炎が青くなる。大気内の酸素を猛烈に食い尽くすようだ。抜刀と同じ感覚で火を消した。これが火属性初級のファイヤボール…。消費魔力鵜も同じだし、連発力も同じ。白衣を洋裁屋で銀貨10枚で購入し、次の村へ行く。ジュラ村だ。
枯れた井戸の中に石碑があるとのことで見てほしいそうだ。枯れた井戸には曰く付きが有り、一度入ると出れなくなるという言い伝えがあるらしい。実際に十年前に起こったそうで、村の恐怖であったらしい。何か出てもすべて持っていって構わないという名目で恐怖から村を救ってほしいとの頼みだった。なぜ井戸に石碑が立っているのか、潜ってみると、風化されていて読めない。隣に穴が開いてて飛行で飛べる穴があるファイヤボールで一発投げて、進んでいく。すると広い場所に着いた。この上は教会だろう。人間と魔物の愛を罰すると書いてある。一回戻って、教会が邪魔で前に進めないと狂言を吐くと、皆教会から離れた。すかさず協会の地面を破壊し、水を大量に入れ込むこと数時間、相手の正体が現れた。昔水不足で作物が実らなかった時のこと、青年は神に祈りをささげていた。偶然にもその扉を見つけてしまう。魔の扉を知った青年は、そこにいる魔物に雨を降らせてほしいと頼み込んだ。しかし代償がいる。己を供物とし身を捧げ、村を救った。その事実を教会は神に祈りをささげたからこそ、救われたのですと風潮を流したので、魔物は怒って枯れ井戸にしてしまった。不幸中の幸い。通りかかった魔法使いに雨を降らせてもらったので、事なきことは得たのだった。教会の暗躍が悲劇を招いてしまったのだ。十日ほど雨が降らず困っていたが、Uの教会を壊したことで、魔物は日の光を見て、雨を降らせた。土砂降りで三日三晩続いた。神父は日の光で焼かれて死んでいた。信仰とは恐ろしい、盲目的になってしまうのだからと石碑に刻まれていた。
村を後にしたU達はガスタン地方へと飛行していた。村での一件は村人たちが抱える問題であって、よそ者の問題ではない。そう思ったUは事の顛末だけ告げると、立ち去った。のどが渇くような乾燥なので、ラフのみをかじる。だいぶ成長したのか、リス並みに大きくなった。ラフのみを一つ食べれるようになった。水浴びをし終え、体を震わせて水気を落とし、再びUの肩の上に乗る。目の前に見えるのはデザート砂漠、ここはロンドゾウのターミナルである。街クーケンフェリアと街フェーネスタを結ぶ長旅である。五十メートルを超えるゾウに乗って七日間かけて行き来する。相席だと銀貨10枚で行けるが、盗人が多いため、身の安全が保障されていない。逆に一人だけだと金貨1枚で行けて、ある程度安全ではある。豪商と一緒のゾウに乗ることになった。早速防御を固める。アイスガードを張り巡らせる。涼しいし、快適だ。豪商のケプタも同行したいと言ってきたので白金貨10枚で同席させると言ったらあっさり承諾した。女を四人同伴させてのことだった。日に八度パーキングエリアしてくれるらしい。その時に用を足すらしい。三日目あたりから体臭が気になってきた。毎日Uは薬草風呂に入るため、清潔感がある。一方、ケプタたちは清潔感を保っていない為、菌の繁殖に侵されていた。「悪いが、あんたとはここまでだ」と言い残すと一人で乗り込もうとする。ケプタが頭を下げて、お願いをする自分たちもきれいにしてくれとウォーターリングでシャワーをしながらマンモースの油を固めた石鹸できれいに洗う。水浴びが長いためTPをあるだけもらい、清潔感は保たれた。ゾウの飼い主にも同じような扱いをし、金貨1枚貰った。四日目の休憩中商品の中に石板があった。手に取ると、光出し、氷属性中級魔法アイスレイジを無詠唱習得した。大砲のような技で、デザート砂漠で見かけるモフールやケフールといった軟体モンスターに効きそうな技のような気がして、試しに打ってみたら、思った通りだった。ドロップ品は黄色サワーフルーツというもので、ウルが嗅覚で確かめてくれて、一応問題は無いらしく、食べてみた。シュワッとはじけるような炭酸の中に残る柑橘系の味。見つけ次第ゲットしていこうと考えた。五日目、ゾウ使いが、魔物が出たと騒ぎだす。「三枚ある内の一枚で勘弁してくれ」とケプタは言う。これだと思うものに手を当てた。氷属性上級魔法アイスバニッシャーでワームウォームを氷漬けにする。またこのアイスバニッシャーは特殊能力がありアイスランスが三本装填可能になる三本打ち抜くと倒れされた。アイスレンジで大砲を打ち、粉々にする。見事に連携の取れた戦い方だった。六日目豪商ケプタと女達が攫われた。荷物も全部持っていかれたのだが、石板は置いていった。石板に触れると、氷属性特殊魔法吹雪、相手から身を守る。もう一つは氷属性特殊魔法アイスユニコーン、馬のように駆け巡り、水の上も走ることが出来る。ウルに聞く「どうする。助けに行く?」「助けに行かないといけない雰囲気だよ」ゾウ使いがデザート砂漠の西側にあるオアシスを指さしている。途中まで載せて行けと言ったが、ゾウが大事だというわけで自力で歩いて行けと言っている。飛行を使っていくと、ワームウォームが数体出現した。アイスバニッシャーで固めて、アイスレイジで破壊する。TPを飲んで、二人でラフのみを食べる。アイスランスとアイスキットを装填し、敵を一掃した。敵はわずか五名だった。これだけの財宝をどうやって運ぶ。刹那、アイスガードをし、ケプタの攻撃をかわす。女は人質で、豪商というのは、張ったりだった。四人で運べるほどの財宝だったのだ。アイスランスを首元に充てると、「降参だ、許してくれ、許してください」と言った。「じゃあ、財宝の半分を頂こうか」と言って、七日目、女達を貰った。ケプタが居なくなったのを見計らって、「君たちは自由だ、どこへでも好きに生きるがよい」と金貨2枚ずつ渡して、去った。デザート砂漠に出るモフールやワフールを狩って、空間にしまった。残り2枠になった。
街フェーネスタに一週間留まり、ひたすらモフールやワフールを狩り続け、結構な量になった。木の実も同時に探し、行商人が木の実LLを分けてくれた銀貨20枚。砂に蹲っていた石碑があり、読んでみようとしたがこの国の古語で書かれており、共通語ではなかったため、わからなかった。写し紙にとって鞄にしまった。厨房を借り、マンモースの肉を切り分け、販売したところ客が集まった。飲み物にモフールやワフールをセットにして銀貨30枚という値段で商売したら、儲かり場所の提供代金貨1枚、儲かった金額は金貨30枚になった。少し余ったので、調理半全員で試食した。うまいうまいの大絶賛だった。「次も頼むよ」「機会があれば」と言い、出来上がった料理二つを今ならこの国の古語を教えてくれるだけでプレゼントするよと宣伝した。よぼよぼのおじいさんが現れ、少しずつ近づいてくる。足が悪いらしい。その前に古語のことなら私がと殺到したが一番乗りに来た人物がいたので残念ですが、でもあなたのように優秀な方なら喜んで一つ差し上げます。と言って一皿上げると。洋紙読み仮名を添えて渡してくれた。うまいうまいと言いながら、ぴょんぴょん撥ねていた。もう一つを老人のところへ行った。老人は驚き、薄目でUを上から下までを見る。「なかなか、見どころがあるではないか。イスとテーブルを持ってきて、カップにモフールを注いでナイフとフォークを揃える。おじいさんは、おなかがすきすぎて歩けなかっただけのようだ。隣で薬草風呂の準備をしている。さっき書いてもらった読み仮名を鞄にしまって。「食べ終わったら、そのお湯の中に入っていてください」と言った。洋裁屋を見つけ、タオルと下着、王族の服、靴を注文したら、さっきの肉を食べに来ていたお客だった。「お肉をもしいただけるのであれば、物々交換しますよ。」「元がものすごく大きいので凍らして悪くならないようにしますね。」「なんと素晴らしい、そこまで配慮してくださるとは、これ、お客人にも王族の服を下着付きで」召使が次々にやって来て、肩掛けのような民族衣装で紫色だ。金色のマークが入っている。お肉は空中でさらに凍らせて、どこに置きますかと尋ねながら店の主人に確認する。まさかそんなに大きなものだとは思わなかったのでいったんしまう。取り次いでまいりますので、十分ほどお待ちください。目の前が肉屋なので、おじいさんのところに行き、尋ねる。「薬草風呂はどうですか?」「なるほど、道理で体が軽くなったわけじゃ。」タオルと着替えを渡して、王族の服を渡すと、「わしがなぜ王族だと分かった」「目の輝きです。誰にも臆することなく歩む姿勢こそ、堂々としていたので気づきました。」「そんなことで見抜くとは、恐れ入ったわい、いや恐れ入りました。」お湯を片付け、火で熱処理をする。靴を履き、洋裁屋の主人との約束の場所に戻る。
洋裁屋の主人は、台車2台で銀の食器を二つ用意しこれの上に等分に分けてほしいと言った。氷の魔法が使えるのであれば、なおのこと大きな氷で冷やしてほしいと頼んできた大体の寸法で図って、切ってみたら、かなりの量になり両脇に氷の塊を載せて渡した。「マッツウェイル様、どうしてここに。」「なあに、民衆の暮らしぶりを見たくて外に出たまでのこと」「それよりもこのお方を客人待遇でもてなせ。」
晩餐会が開かれた。「U様は諸国の石碑、石板を研究しているのですか。なるほど。それで、この街にも石碑が眠っていたと。お見せいただけますかな。なんと。いかん、即刻その石碑を浄化しなくてはなりません。」「なんて書いてあるのですか?」「雨が降らないようにする石碑なのです。砂から現れると、その効力が発揮されるのです。石碑を壊すことはできませんが、砂を被せることは可能です。」
次の日から、石碑の周りを砂で埋める作業が始まった。風が吹いていてうまくいかない。人力作業でやるしかないので魔物の警戒もしつつの作業だった。犠牲者が次々に出る。二週間がたとうとしている。Uは王様の命を受け、現地へ赴いた。ワフール、モフールにやられて、しびれている。氷属性中級魔法アイスレイジで大砲を打ち、ワフール、モフールを次々にゲットして空間に入れる。倒れている者たちは水を被せ目を覚まさせる。アイスガードで風よけをすると、石碑の全貌が見えてきた。石の塊にくっ付いているようだ。ウォーターリングで石碑と石の間を切るとバランスを崩し、石碑が落ちその下に石が落ち石碑がばらばらに砕けた。すると雨雲が現れ、一気に雨が降り始めた。アイスガードに人を乗せ、アイスユニコーンで運ぶ、次々にアイスユニコーンで運び出し、到着したら消えるようにすると、短時間で大量の人数を運び出すことが出来た。息があるもの、無いものを判別し、無いものは王宮のものに任せる。あるものは砂を飲んで呼吸器をやられているから鼻から氷で作ったストローで息を吹きかけると、口から大量の砂が出て、助かるものが大勢いた。事の詳細を王様に報告すると、ほっとなでおろした。王様からアクアマリンを貰い、水属性魔法の威力が上がった。