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繁盛

 かまど亭Uは今日も繁盛している。メニューが三品しかないのに、ここまで盛況なのは、癖になる味に秘密がある。万能向けの味付けで、種族ごとにかけるスパイスを分けている。その成果が出て、一品物の食材も組み合わせ次第で無限の料理法に変わるのだ。自分好みの味付け。ベースは変わらない添える程度の隠し味が自分で作れてしまうところに魅力を感じてもらっている。「先生、肉のストックがなくなりそうです。」「分かった。すぐ準備する。」ここでは、オーナーでもご主人様でも無く、先生と呼ぶ。その理由は、「息子さんの処置が完了しました。麻酔が切れたら帰宅できますよ。料金なんですが、難しい手術だったので銀貨500枚にはなりますね。」「先生、すみません。救っていただいてなんですが、お金が足りません。銀貨250枚で後払いはできないでしょうか?」「う~ん、…。」「命に代えても必ず。」「農家を経営してらっしゃいますよね、定期的に野菜を持ってきてもらえれば料金は考慮しますよ。」「本当ですか、明日から持ってきます。ありがとうございます。U先生。」

 「ジェーン、レナス。ちょっといいかな。二人には俺の代わりに医者の代行を頼みたい。症状の軽めな患者だけ扱うようにしてくれ。図付きでSRの作り方は洋紙に書いておいた。素材は大量にあるはずだから、あわてずにやれば出来るはずだ。俺は西方都市ダリアに向かう。」船で一日かけて南都市トリノに到着すると、先にマンモース狩りとその処理を行った。続いて、西方都市ダリアに向かい、顔見知りの宝石商のもとへ向かう。ダイアモンドが欲しいのだが、売ってくれる商売人はいないかと尋ねると、あんさん向きの宝石商がいらっしゃるぜ。このお方だ。目の周りを黒く染めた、民族の商人。ダイヤモンドを白金貨10枚で5個売ってくれた。妥当な取引だった。元気のない商人、話を聞いてみると、娘が闘技場の景品にされているらしい。なぜそんなことになっているか聞いてみると、強欲で有名なタロス氏による悪巧みのせいで捕まってしまったらしい。「仮面は直ぐに用意できますか?」「できますよ。はいこれです。」「ギルドに伝えましたか?」「はい」「ならば、知人として、助けましょう。その代わり、報酬は期待していいですね。」「どれくらいですか」「ダイヤモンド50個」「何とかしてみます。」

一試合目、ネズミ族が相手だった。向こうも必死で戦っている。命を懸けている。アイスキットで心臓を狙った。二試合目、三試合目、四試合目と同じように戦った。冷酷なアサシン。五試合目相手を必死に応援している家族がいた。母親がとらわれているらしい。特殊上級魔法麻酔で眠らせた。どちらかを戦闘不能にしないと終わらないらしい。腹を短剣で刺した。遺体はこっちで預かるとして、すぐにオペに入る。血が流れ過ぎた。輸血用に自分の地を回す。麻酔が切れる前に手術が完了した。マスクを被せて、話をする。「お前は本来死んだことになっている。私が治療し、生き返らせた。子供のところに行き、父親がもう少しで帰ってくると伝え、それまで一緒に待っていいか。聞いて来い。お前も家族を人質に取られているんだろう。ことは大事だ。慎重に振舞えよ。」と肩を叩いた。男から涙が溢れてきた。相手は分かってて勝負してきたのだ。こうなることも、泣きじゃくる暇もない。子供の処へ行き、言われた通りの行動をした。決勝戦が行われた。相手は瞬殺だった。望みの品と副賞を与えると通達されたが、二つとも囚われの家族を取り戻した。母親を取り戻した家族は礼を言って、洋紙を寄越した。好きな魔法を一つ覚えられるというものだった。なので、移動魔法テレポテートを覚えた。この魔法には条件があり、Uしか移動できないことと登録できる街が三か所のみであることが条件だった。家と南都市ダリアと都市ガーレルの三つにした。ダイヤモンド50個の効果で回復魔法ウィッシュトリトゥネータ、呪い解除魔法スフィンクスを無詠唱習得した。ビール樽五百、マンモース20頭、ハーブ、木の実LL×10個銀貨50枚、SRの薬草、薬物辞典白金貨30枚、ずっと服の下に隠れていたウルがようやく出れて、安どしていた。「急に闘技場へ行くとは思いもよらなかったよ。幾らUが強くても、もしものことがあれば、どうするのさ。」「今後は危ない橋は渡りません。この世界に呪いを解く魔術があるのかさえ分からないから自分で覚えないといけないなと思って、学園都市アカデミアでは禁忌に触れる事項だから絶対閲覧させてもらえないだろうし、サバイバルで生きていけるようになるために、やっているんだって、そう考えているのさ。」一日の売り上げは金貨10枚といったところ、大衆食堂だからこれ以上の値段は上げられない。

農園で使用する野菜をすべて栽培することが出来るようになった。こうなってくると、マンモースの肉と香辛料、医療の薬草である。植林を続けていくにつれて、薬草、香辛料の葉も植え始めて、手に入るようになった。マンモースの肉とビールになった。街医者をやりながら薬草大辞典を基に治療法を執筆している。たまにジェーンやレナスのかまってちゃんが出るが、それはご愛敬。忙しい日々を送っている。弾けちゃうと、二人を襲っちゃったりして朝まで寝かさなかったりして、寝不足して反省する。患者から先生疲れておいでですかと尋ねられるのが嫌で、頑張っているが眠気に負けそうになる。オペでは研ぎ澄まされるのでそんなことは起きないが、普段の診察は眠くて、患者の欠伸を見るとこっちまであくびを貰ってしまう。ジェーンやレナスが手伝いを申し出たが断った。家の中がごった返しになるのが分かっているからだ。彼女たちには心の居場所になってほしいと頼んだ。


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