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面舵

 ベッドの毛布を捲ると、昨日の迸りを感じる。家に帰って、出会った時は愛しあうようにしている。心を温めて、時には激しく、時には優しく、緩急をつけて。タオルケットが素肌を撫でる。両腕の幸せを振りほどくと、火をたくように着火させる。つまみレバーを何度も入れている内に、温まったようだ。「親よ、ジェーン、レナス」二人とも風呂に入ってくると言い、朝ごはんを用意した。冒険者ギルドで海底火山の噴火で出来た島国が魔物でいっぱいになっているとの情報を耳にした。久しぶりの旅行と思って、三人でエントリーした。Uは石碑や石板の件が立て込んで、ランクになるのが今一歩となっている。それに追いつこうとしているのがFランクのジェーンとレナスだ。火山から石板が出る可能性がある。その確認をしなければならない。フロスト地方から東都市ルナレスまで馬車で荷物の移動後、そこから船に乗り込み南都市トリノそこから南東方向にあるガーレル火山を目指す。新都市は名前が決まっておらず、募集中との事、我先にと乗り込もうとしているらしい。しかし、灼熱の暑さに乗り込むことが出来ず、苦戦をしているらしく誰も第一歩を踏めていなかった。SRのレシピの薬草を大量に用意し、TP、LPも用意した。ラフの実、モモンの実、タオルケットやバスタオルやタオルを用意して薬草風呂も船専用に開発した。途中、倒れている獣人族の女性が居たので、介抱し、東都市ルナレスへ届けた。子供が高熱を出し、SRの薬草を夜更けに探しに来ていたらしい。馬車の荷と荷車を空間にそれぞれしまって、アイスユニコーンをしまう。子供の病状を見て、取り合えず、SRを飲ませる。状態が落ち着くまで見守っていると、やがて落ち着いた。症状を確かめる本が必要だなとUは思った。順番に船の様子を見ている。燃える火の中に氷を入れて進む船だ。全長は十メートルある。二階建てで一階はお風呂とトイレ、二階は操縦席と仮眠室、食事処。その晩は船の中で眠った。敵が来るかどうか見張りをつけての練習だ。早速、敵が現れたが、Uの放って置いたアイスガードで入ってこれなかった。朝一で、朝食を作り、出発の準備をする。Uは本屋へ行き、病理学とその対処法を金貨500枚で購入した。船酔いは思った以上に深刻だった。三人とも腹痛で動けない状態。回復魔法ウィトリートで何とか、快復した。船酔いに慣れるまで、ひたすらこの状況が続いた。十日経った頃、ようやく慣れてきたので、出港することに決めた。船酔いに聞く薬を作り、突発的な状況に補給することに決めた。いい具合に汚れ、掃除して、きれいにした。船長はU、乗組員はジェーンとレナスの両二名だ。ボイラ室は二階の操縦席にある。そこに大量のスライスされた氷が置いてあり、炎の中に入れるとエンジンに火が付く。氷が少なくなったら、すぐにUに知らせなければならない。トリノに二日で到着し、そのまま、南東方面へ行く前に買い物がしたいとジェーンが言ってきた。Uは一人で船の掃除をし、レナスは食べ物の調達。ジェーンは魔法屋に来ていた。魔法屋は混んでおり、このままでは、船の時間が来てしまう。ジェーンは金貨1枚で火属性初級魔法ファイヤボールを無詠唱習得し、船へと急いだ。ちょうど出向の用意をしている途中でジェーンが現れ良かった。事情を聴いたUは見張りの時にあたりを明るくする術を持っていないジェーンが気にしていることに気付いていた。ファイヤボールの刻印洋紙が無駄になってしまったことにがっくりとしてしまったUであったが、それだけ真剣に取り組んでくれているのだと思うと、無下にも出来なかった。現地に近づくにつれて、船がたくさん停泊している。Uの船は燃料が違うので、小回りが利きやすかった。吹き溜まりが静まり返ると、急速に冷えていく。皆が一斉に上陸する。資材で囲いを作り、少し出遅れたが。中央通りの北側に氷を張って、アイスランスで三本組ませた。後ろに広大な畑をアイスキットで取り囲んでいる。三階建ての大食事処で二回スペースは従業員の寝室などだ。食材を運び込み、疲れを癒してもらった。次の日からは従業員の募集だ。商業ギルドから来た働き口を探している人々を吟味していた。ホールを猫耳族三人、キッチンを猫耳族四人の計七人雇い入れることにした。持ち前の明るさとあどけなさが売りだ。かまど亭Uという店の名前にした。お店の一角に診療所を設け、治療することもある。河口付近から石板が数個水の中にあった。飛行で持ち上げる。一枚入手できた。一枚目から確認しようとするが。何かあったらまずいと飛行中で触った。海の景色が見える。そこに眠るマグマが活性化し、この大地が生まれたということが判明した。危険なものじゃなくて、助かった。ふ~と呼吸をして、息を整えた。開店準備まで時間が無い。キンキンに冷えたビールの樽を冷蔵部屋に仕舞い、食材は冷凍庫にしまう。マンモースの肉を仕込みの段階で切っておく。それをラードで焼けばステーキの出来上がり香草がもみこんであるので、ソースはいらない。そのままで行ける。もう一品はマッシュポテト。ナエイモ男爵領からナエイモの苗を安く買い取り、育ったナエイモを使って、ハーブとキャロッツとオニオーンと塩と胡椒で味付けされている。強力粉から作るピザでチーズスがとろーり、トリマトがじゅわっと弾けるおいしさがある。ピザは凝った料理だが、三種類なので何とか回せる。いざとなったらホールを二人にして、キッチンを五人にし、変速することも出来る。オープン初日からたくさんの客で溢れ返った。ビールのお店なのにキンキンに冷えていることが最大の売りだ。一気飲みできない、この辛さが良いと評判になった。ジェーンとレナスはナエイモと野菜の収穫をしている。Uはマンモースの狩りとハーブ、薬草類、木の実LLの買い付け、冒険者ギルドで資金稼ぎなどだ。トリノから船で一日かけて行く。

 フロスト地方の家に戻った時に、ポストに入っていた手紙の中から石碑の影響で街が混乱に陥っているとの知らせが書いてあった。マンモースを狩りつくす勢いで狩り、その他大勢の食品をもって、かまど亭Uへ着いた。ディーン、レナスに石碑の件を話し、お店の方を任せ、単身エボルグの森へと進んでいった。東都市ルナレスより北になる森だ。突入してみると、ひどい煙の臭いがした。視界が遮っているので、氷属性特殊魔法吹雪で少しでも見えるように試みる。「人だ、人が燃えている。」なぜ森を焼いているのかは不明だが、まずは消火作業からだ。氷属性特殊魔法吹雪で火を消す。大災害になっていないのが、救いだ。やがて、燃えていた人間は風化し、消えていった。周りを見ると、ダークエルフばかりが存在する。ここは、そういう場所なのか?数は少ないが、森の木のみが腐っている。正常に戻す必要がある。氷属性上級防御魔法六花で彼らを守り、森を回復魔法ゼイスゥチャーで回復させる。森は豊かになり、木々が生い茂った。しかし、彼らの意識は一向に良くならない。石碑を探し、ようやく見つけた。ダークエルフはエルフが破門された種族、それゆえに呪いなどを受けている者が多い。呪いの類は専門外だ。どうやってその呪いを解くのか、原理が分からなければ、打つ手がない。石碑が見つかり、手を翳す。“呪いを解くヒントをくれ”個々の集落では、規律を守らなかったものを排除するべく送り込んだ一種の監獄のような場所だった。彼らの心を静めてやればよいのだ。回復魔法ウィトリートで優しく包み込んであげる。すると、一人一人が浄化され、消えていく。まるで森の一部に帰ったかのように、静かに眠っていった。目を開けると、そこには何もなかった。ただ自然が息吹いていた。


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