想いよ届け、託された者たちに
この物語は、石碑・石板の研究者であるUの冒険譚である。Uが何を求め、何をつかみ取り、何を得たのか。それを綴ったものである。ある時は吹き荒ぶ中を懸命に一歩ずつ前へ前へ進まざるをえなかったり、貴重な経験を積んで心が豊かになったりと人一生かかってもなしえないことをゆったりとした時間軸で進むことで得る。そんな摩訶不思議な世界観に満ちた中で生きる主人公は、数々の出会いと別れを経験し、強くも弱くもなっていく。時には人の肌が恋しくなったり、時には疎ましく思ったりと、人間である以上の人間であり続ける彼の背中には常に業との戦いがあり、それに打ち勝っていかねばならない。普通はこうするべき、なぜこうしなければならないなんて、だれがいつ決めたのか?人の波に溺れないようにする出世術をまなんだにすぎないことに何の意味があるのか?ここで生きていくためには覚えていかなきゃならないこと。全ては底につながる。誰もよしとしない世界に希望という言葉はない。