ミルクレープ
夢見ちって 言われがち
「バカみたい」って それはマジ?
よってたかって大騒ぎ
そんなんに興味ない
空に向かって 思いを馳せてた
いつかきっと 運命が来ると
バスの中は 煌いた かぼちゃの馬車
友達は無垢な 動物たちで
きっといつも そんなんだった
信じていた
ある日
長い毛の白馬にぶつかられて
王子様が手を伸ばしてくれるの
「大丈夫?」なんてさ
その手を掴んだら
掴んでしまったら 嗚呼
夢が始まるの!
まるで逃げるように駆けてゆく白馬
私を律儀に攫ってく王子様
事件のようだわ それくらい夢のよう
どこに行くかも 分からない旅路で
彼は私に 微笑みかけてくれる!
道行く人々の怪訝な目なんて
今は気にするものか
白馬も この心の鼓動も
スピード違反になるくらい速く
ときめいてDeraming
感じてるFeeling
理想でも幻想でもなかった現実を
探して
不気味な お城の中
「心配しないで」 優しい貴女
檻みたいに 密着した空間で
2人はキスを交わす
紅茶も薔薇も気にしない
ちょっと大胆だけれど…
体験したことのない刺激に 心が躍って
自然に体が揺れちゃうよ
楽しくて 嬉しくて
やっと運命が来てくれたと
まるでスイーツで 不条理な
この世界の中で
私を奪ってくれたのは
きっと貴女だけだから
もっと救って ねぇ 巣食って
笑みが止まらなくて
王子様がくれたのは
ミルクレープ
誰もが妬み狂う程
甘くなる心 体
貴方を沈めるような感覚がして
幸せが満ちる 愉悦に堕ちる
全部が縛られた楽園
「ずっと一緒にいてね」
「勿論です」
貴方は手をとって
私も頷いて
未来高まっていくの
互い溶け合ったあとの朝
貴方のぬくもりが
欠けている どこかに
行ってしまったのかな…
ベッドを抜け出して
何度も 開け閉めした扉
音を立てる
彼の名前呼んで
ねぇって言ってみるけど
目の前には、
嗚呼
連れていかないで
勲章を付けた紳士も継母も
あの死にぞこないの姫みたいな
モブ共は要らないのに
運命は来たはずなのに どうして ?
ざわざわとざわめいて
シャッター音が響いて
優越のはずなのに 憂鬱ばかりが襲い来る
貴方はこちらを振り返って
「ごめん」と謝る暇もなく
紳士二人に連れられて
私の手は貴方じゃなく
馬鹿な女に握られて
「心配したのよ」
そんな言葉もハグも要らない
王子様じゃなきゃ駄目なのに
嗚呼
触れないで!
突き飛ばして叫んだ
誰もが驚いたけど
もう あの人は……
全部邪魔のせいだ
運命が壊されるなんて 何処 私のお伽噺
何故 何故なのか教えてよ!
純白の呪縛に汚されたドレス 引き摺って
私は駆け出した
運命だけに捕まりたい私たちを
引き裂いていく
泣き叫んでいく
王子様は
罪なもの