僕はおとうと2
僕は5年生になった。
お兄ちゃんはそれでも
デブ デブ
と言う。
背が伸びたのにな。
お姉ちゃんが
なりたいものになりなさいと
いつも言ってくれるから
僕は役者さんになりたい。
お兄ちゃんはまた意地悪を言う。
"お前は売れないよ。"
お姉ちゃんは
可能性を信じなさいと言う。
あれから12年。
僕は看護師をやっている。
姉と兄の気持ちが分かる。
人を救うことの
温かい波間。
信じることの深い冷静。
ときどき劇団時代の
友人から
脚本を依頼される。
仕事の合間に
これからも書こう。
ついでに言っておくね。
両親があるから
今があるんだよ。
若人よ、親を許せ。