衆合地獄 25
『――――勝者、芥川九十九ッッ!』
光は闇に呑み込まれた。星に憧れた者の歌はそこで途切れ、残ったのは悪魔の雄叫びのみ。それを見届けた夢の世界が、その輪郭が端から泡を弾くように瓦解していって、そして――
◆
「……………………」
――そして、芥川九十九は目を覚ました。
仰向けの状態で見上げた天井は、夢界に入る直前に見た景色と同じ、薄暗い地下会場のそれである。就寝前には周囲を漂っていた甘い香りは薄くなり殆ど感じない。
意識は未だ微睡んでいるが、体調は悪くない。身体のどこにも異常は無い。アナスタシアの説明通り、夢界での負傷――悪魔化の反動は、現実世界には全く持ち越されていないようだった。
けれど、夢界で起きた出来事は全て鮮明に記憶している。ライザとのやり取りも、その後の決着も、全てを九十九は問題なく思い出すことが出来ていた。
「んん……っ」
蠢く気配に、視線を右へ動かす。そこには自分と同じ体勢で、黄昏愛が横たわっていた。どうやら同じタイミングで夢界から覚醒したらしい。彼女は起き抜けの気怠げな呻き声を微かに上げながら、蓄えた睫毛を瞬かせ、ゆっくりと瞼を持ち上げていく。
「……おはよ。愛」
この状況で呑気に挨拶などしてみせる九十九、その声に意識を完全に叩き起こされたようで、愛は見開かせた目で周囲を咄嗟に確認していた。その間に夢界での出来事を徐々に思い出してきたのか、どうやら危険は無いようだと安堵して――自身の左隣、九十九の姿を視界に捉える。
「……おはようございます。九十九さん」
返ってきた挨拶に、九十九が頬を綻ばせる。
「勝ったよ」
「……はい。ありがとうございます。勝っていただいて」
「ふふん」
冗談ぽく得意げに鼻を鳴らしてみせる九十九に、愛もまたその頬を綻ばせていた。
夢界から目覚める直前に聞いた声は、確かに九十九の勝利を告げていた。その時の感触を九十九は明確に憶えている。あの時、悪魔の拳がライザの肉体を貫いたその瞬間、ライザの身体は泡のように弾け、霧散したのだ。恐らく夢界での死は現実世界への覚醒に繋がるのだろう。ということは――
「――やあ、レディ達。目を覚ましたようだね」
九十九達よりも一足先、ライザもまた目を覚ましていた。彼女の声に反応して、愛と九十九は自分達が横たわるベッドから左隣の方へ視線をやる。ライザは既に起き上がってベッドの上に腰掛けており、まるでいつもと変わらない調子で柔和な微笑を浮かべていた。
「フフッ……いい勝負だった、とは言えないね。私の完敗だった。まるで歯が立たなかったよ」
終わってみれば圧倒的だった。ヒヤリとした瞬間はあったが、結果として九十九が受けたのは細かいダメージのみ。ライザもひたすら攻撃を避けることに注力すれば負けることは無かったかもしれないが、それでは勝つことも出来なかっただろう。
そもそもライザにとっての全力の攻撃がただの「細かいダメージ」扱いされている時点で、この結果は必定だったのかもしれない。
「付き合わせて悪かったね。君達にとってはとんだ災難だったのかもしれない。それでも、これだけは言わせてほしい……ありがとう、愉しかったよ」
ライザは立ち上がり九十九の傍まで歩み寄ると、膝を地につけ、左手を九十九に向かって差し出してみせた。
白い手袋を脱ぎ捨てた、剥き出しの左手。差し出されたそれを、九十九はまじまじと見つめ――
「ああ、うん。こちらこそ」
その手に触れることを躊躇いすらせず、彼女の握手に応じるのだった。
ここはもう夢界ではなく現実世界なのだから、電流に怯える必要は確かに無い。とはいえ、あの体験を経た身ならば躊躇する素振りくらいは取ってもおかしくない。
それでも、九十九に戸惑いの表情は無かった。その凪いだような赤い瞳を前にして、ライザは密かに身震いする。
芥川九十九という少女はこれまでも、こんな風に、どんな者からの握手にも応じてきたのだろう。それを可能にするだけのチカラが彼女にはあり、その振る舞いが彼女を王たらしめてきたのだろう。
「……成る程。君は……」
しかしその生き様は、あまりにも純粋で、あまりにも報われない。ライザはその在り方を憂い、どこか侘しさを想わせる微かな笑みを浮かべるのだった。
「ん……?」
「嗚呼いや……なんでもないよ。フフッ……次はもっといい勝負が出来るよう、研鑽を重ねておくとするさ」
斯くして飢人、ライザとの決闘は勝利に終わった。これにてめでたしめでたし――とは、当然まだいかない。
「あの……では、約束通り……よろしいですか?」
これは裏賭博。勝者は敗者から望んだものを奪い取れる。その為に彼女達はわざわざこんな所にまでやってきたのだから。九十九の背後から顔を覗かせ、催促の声を上げる愛。それを受け、ライザは愛に対しても柔和に微笑んでみせる。
「嗚呼、解っているとも――」
ライザはおもむろに、白いタキシードの内ポケットに右手を差し入れた。
「さあどうぞ、レディ」
そこから取り出したるは、黄色い台紙で出来た一枚のカード。それを二本の指に挟み、ライザは九十九に手渡す。受け取った九十九が愛と一緒にそのカードを確認する。材質も普通、特別な仕掛けも施されていない何の変哲も無いただのカードだが――
「『037778』……? これが……手がかり?」
そのカードの裏面には『037778』という数字の羅列が刻み込まれていた。それが意味するところを、愛と九十九は一目で見て察する。
「また座標……ですかね」
「でも、こんなに短い座標があるの?」
「いえ、これは恐らく……分割されているんです。一つの座標を四つの文字列に分割して、それぞれの場所に隠してあるんだと思います」
こうして黄昏愛は、第一の座標『図書館』における一ノ瀬ちりと同じ思考、同じ答えに辿り着くのであった。
「つまり、結局のところ……解読した四つの場所は全て回る必要があるということですね。むう……面倒くさい……」
この暗号の出題者は意地が悪いですね、と溜息混じりにぼやく愛。恨めしそうに、その視線をライザへと向ける。
「あなたは、この座標が指し示す場所のことを知らないんですか?」
当然の疑問を口にする愛に、ライザは大袈裟に肩を竦めてみせた。
「嗚呼……残念ながらね。この件に関して私が依頼されたのは、闘技場の勝者にこのカードを渡すこと……それだけだよ。それ以上のことは知らないし……正直、興味も無いな。私はこの街から離れるつもりは無いからね」
依頼された、その一節に反応して愛の眉尻がぴくりと持ち上がる。
「……あなたも、依頼されたんですか。それは……べあ子さんの『雇い主』と同一人物? 一体何者なんですか?」
「私の口からは言えないな……そういう契約だからね」
「むう……」
現状、『雇い主』の正体を知っているのは一ノ瀬ちりだけである。しかし、ちりはその事を愛と九十九には共有していない。隠している。今のちりはもはや、愛と同じ目的で行動しているとは言い難い状況にあるが――それについて詳しく語るには、まだ早い。
「――――余が起きたァ!!」
さて、ライザから手掛かりを受け取ったその矢先。開口一番にそんなことを叫びながら、シスター・アナスタシアは目を覚ました。勢いよくベッドの上から身を起こしたアナスタシア、大きな瞳を輝かせ、九十九に向かって飛びついたのだった。
「おはよう諸君ッ! おはよう幻葬王ッ! 夢界での決闘ッ、実に見事であった! 余は感動したぞッ! くっはっはっはーっ!!」
「おぉ……それはなにより……」
飛びついてきたアナスタシアを抱き留める九十九。起床してすぐとは思えない程の元気溌剌ぶりに流石の九十九も戸惑っているようだった。ちなみにジョンは未だ爆睡しているようである。遠くから微かにイビキが聞こえてきていた。
「しかし、まさかあのライザを――あの『麒麟』の怪異を――異能すら使わず圧倒するとはッ! 悪魔の実力、よもやこれ程とはな! 余は興奮が収まらんぞう!」
無邪気な子供のようにはしゃぐアナスタシア。未だ興奮冷めやらぬといった様子で、矢継ぎ早に喋る彼女であったが――その言葉の中に潜む違和感に気が付いて、九十九は首を傾げていた。
「いや……異能は使った。変身してみせただろう?」
「む?」
「ん?」
今度はアナスタシアの方が不思議そうに首を傾げる。お互い何に引っかかっているのか解らず、両者は疑問符を頭に浮かべていた。
「いや、怪物の姿への変身能力は、全ての『悪魔』の怪異が共通して持っている『機能』の一つだよ。異能では無いはずさ」
そんな二人を見かねたように、横から口を挟むライザ。こくこくと頷くアナスタシアの一方で、九十九の疑問はますます深まっていく。
「えっ……?」
九十九の反応も尤もである。彼女が異能のつもりで使っていた、悪魔の変身能力、怪物化――それは異能ではなく『機能』であるというのだから。
「……そう、なのか?」
まるで釈然としていない九十九の様子、その違和感にライザもまた気が付いて、微かに眉を顰める。
「まさか君は、自分の異能が解らないのかい?」
「……そもそも、異能と機能の区別って、つくものなの?」
「勿論さ。どちらも直感的に使うことが出来るし、それらの区別も感覚的に解るものだよ。怪異とは元来そういうもの……のはずだけど」
確かに九十九は変身能力を直感的に使う事が出来ている。今までそれを身体強化系の異能だと思い込んでいたが――それはどうやら『悪魔』を依代とする怪異ならば誰もが当たり前のように使える機能の一部らしい。その区別すらも、九十九は今までついていなかったのである。
通常ならば考えられないことだが、こと芥川九十九に限って、思い当たる節があるとすれば――
「……私は、他の怪異とは違う。何も知らないまま、この地獄に堕ちてきたんだ」
「ふむ? 記憶喪失とはまた違うのか?」
「私にもよく解らない……が、ロアは私のことを最初、『偽物の悪魔』と呼んでいた」
現世では生まれてすぐ、親の手によって殺された芥川九十九。彼女は『ジャージー・デビル』という弱小怪異として地獄に転生する――はずだった。
それが何の因果か、この世界のバグとも呼ぶべき突然変異によって彼女は規格外の膂力と引き換えに、現世はおろか地獄に関するあらゆる知識すらも全く持たない状態で転生したのである。
それは自分自身の事すらも例外ではなく、最初は自分が怪異という存在であるという事すら彼女は知らなかった。
その後地獄に堕ちてすぐに出会ったロアの助言により、自分が既に死んでいて、怪異という存在に転生したという事までは教えられた。その際に、ロアが九十九に対して言い放ったのが――『偽物の悪魔』という単語である。
「私は偽物……つまり、異能を持たない怪異なんじゃないか? 変身が異能じゃないのなら、そうとしか考えられない」
「異能を持たない怪異……? そんな存在が有り得るのか? それにしては本物の『悪魔』と同じ機能が使えておるし……そもそもそのような前例を余は知らんぞ」
「……あの、いいですか?」
まるで腑に落ちないといった風のアナスタシアに向かって、ここまで様子を窺っていた愛が控えめに挙手してみせる。
「偽物だけど、本物と同じ機能が使える……それ自体が、九十九さんの異能なのでは?」
「ふーむ……それもありえない話ではないが……」
地獄における唯一の規格外。これまで散々他人から指摘されてきたことだし、九十九自身それは自覚していたことではあったが――あの聡明なアナスタシアが頭を悩ませるほど、自分という存在があまりにも意味不明だという事実に、この場でなんとなく肩身の狭い思いを感じる九十九であった。
「嗚呼、だったら……」
そんな時、何か思い付いたように目を僅かに見開いて、ライザは再び口を開いた。
「仮に、本物と同じ機能が使えるという、それ自体が異能なのだとして……君はその『代償』に何を支払っているんだい?」
「代償?」
「悪魔の異能発動には必ず代償が伴う……悪魔の怪異とはそういうものだからね。どうかな。代償を支払っている自覚はあるかい?」
「ああ、それならある」
代償――そう呼んで然るべき欠陥を、確かに芥川九十九は抱えている。それはあの開闢王が喉から手が出るほど欲した、悪魔の秘密。
「私は殺されると死ぬ。二度と生き返ることはない。それだけは直感的に解ってる。代償と言うなら、これがそうなのだろう」
それを勿体ぶる素振りもなく、九十九は呆気なく答えてみせた。
本来、このような重要な秘密を他の怪異に明かすべきではない。それは無敵であるはずの芥川九十九にとって、明確な弱点。だから等活地獄では、ちりに口止めされていた。
それをこの場で、九十九はあっさりと白状してしまう。少しでも、自分の正体に近付きたくて――真実を知りたくて。
「「……………………」」
そして案の定と言うべきか、それを聞いたアナスタシアとライザは揃って絶句していた。
怪異は不死身。それが地獄の常識である。たった一度の死が命取りになるなんて、そんな怪異はありえない――というより、あってはならない。
「…………参ったな。冗談ではなさそうだね」
それは、あのアナスタシアが言葉を失い、あのライザでさえ頬を強張らせる程の――恐怖。周りの敵が全て不死身なのに対し、自分だけが残機ゼロ――もし自分がそんな状況に置かれたら、絶望どころの話ではない。まさに文字通り、地獄だろう。
そんな状況を――二百年。芥川九十九は受け入れ、逃げも隠れもせず、等活地獄の最前線で戦い続けたわけである。
異常だ。冷静になって考えれば考えるほど、芥川九十九という存在の異常性が浮き彫りになっていくのを実感し――ライザとアナスタシア、二人揃って背筋に悪寒を感じていた。
「……それが本当なら、やはり君の変身能力はただの機能だ。異能では無いね」
「う、うむ……そうだな……」
慌てて取り繕うように、アナスタシアは口を開く。すっかり酔いは覚め、真っ白な頬に冷や汗が一筋、流れ落ちて。
「代償が大き過ぎる。変身能力とそれに伴う規格外の身体強化、たったそれだけでは代償の大きさと釣り合っておらん。おらんが、しかし……ならば、それ程の代償と釣り合いの取れる異能とは何だ……? いや……あってはならんだろう、そんなもの……」
それはまるで、自分自身に言い聞かせるように。怪談を聞かされた子供が、頭の中で懸命に他の話題を連想して、気を紛らわせようとするように。それは明確な恐怖。未知に対する忌避。
芥川九十九。誰よりも怪異らしからぬ存在でありながら、ある意味では誰よりも怪異らしい怪異なのかもしれなかった。
――何故ならば。元来より怪異とは、ヒトに恐怖を与えるものなのだから。
結局、九十九の異能の正体は何なのか。そもそも有るのか無いのか、それすらも解らないまま。この場でそれ以上の詮索は打ち止めとなるのであった。
「……私は、何者なんだろう……」
等活地獄に居た頃にも散々思い知らされてきた、ある種のトラウマ。他のみんなと違う自分が、そんな自分に向けられる周りからの視線が、疎外感が九十九にとっては何よりも恐ろしくて――
「ふうん……九十九さんの身体は不思議なんですね」
――だからこそ。黄昏愛、彼女の黒く澱んだその瞳が、感情の無いその眼差しが芥川九十九にとっては何よりも、心地が良かったのである。
「この旅の途中で、何か解るといいですね。まぁ……手伝ってあげてもいいですよ? 『あの人』を捜すついでに、ですけど?」
自分が何者なのか解らない、他人のことが理解出来ない――そういう意味では愛と九十九は似た者同士である。しかし愛はそれについて、そこまで重要には考えていない。
あるいはそれこそが、九十九との大きな違い――たとえ自分が何者であろうと、『あの人』さえいればそれでいいという――九十九にとっての未知の感情、確固たる信念。生きる意味とも言い換えられるそれが、愛にとって大きな支えとなっている。
「……ははっ。うん。ありがとう」
自分と同じ境遇でありながら、自分には無いものを確かに持っている――そんな愛の存在が、九十九にとっても支えになっていたのだった。
「……むにゃ……んぅ……あれぇ……? ライザさまぁ……?」
などと彼女達が話し合っている最中――ライザの背後、腰掛けていたベッドから、そんな呻き声が聞こえてきて。這いずるようにもぞもぞと起き上がってきたのは、ライザと同じベッドで眠っていたゴスロリ少女、キョン子だった。
「……嗚呼、起きたのかい。フフッ……相変わらずお寝坊さんだね」
ライザはいつも通り柔和な微笑を作ってキョン子の方へ歩み寄る。彼女の差し出した左手をキョン子もまた躊躇いなく手に取って、ベッドから立ち上がった。
「ふわぁ……キョン子まだ眠いですぅ……」
気怠そうに欠伸をするキョン子。ピンクのインナーカラー映える黒髪ボブを手櫛で軽く整えながら、ライザに身を委ねるように体重を預けている。
「すまないね、愛しきひと……君に勝利を捧げることは叶わなかったよ」
「あぁそっか……そうでしたねぇ……ライザさま負けちゃったんだぁ……かわいそぅ……」
律儀に謝るライザだったが、キョン子にとって決闘の結果はあまり関心が無いようだった。それよりも、決闘をダシにしてイチャつくほうがキョン子にとっては重要そうである。
「じゃあ……キョン子が慰めてあげますぅ……キョン子のことぉ……あとでいっぱい……殺していいですからねぇ……?」
「フフッ……嗚呼、頼むよ」
猫撫で声で甘えるキョン子。よく聞くと何やら奇妙なことを口走っているようだったが、ライザがそれについて特に疑問に感じている様子もなく、キョン子に微笑みかけている。
「それじゃあ、私達は地上に戻るとしよう。今日はありがとう、レディ達。楽しかった。また逢おう――」
そうして最後にライザは、優雅に微笑んで。袖の大きく膨らんだ黒とピンクのゴシックロリータ、その衣装に身を包むキョン子の腰へ腕を回しながら――この地下会場から立ち去っていったのだった。
「……何か、変なこと言ってませんでしたか? あのゴスロリ女……」
「うむ……アレは『キョンシー』の怪異の中でも少し……いやかなり、特殊な異能を持っていてな。まぁ気にすることはない」
気を取り直すようにわざとらしく咳払いをしてみせるアナスタシア。改めて愛と九十九、二人と正面、向かい合う。
「いやすまぬな幻葬王、余としたことが取り乱してしまった。成る程、あの開闢王が欲しがる理由……その本質を余にも理解出来た。しかしまあ、なんというか……」
「そんなことより、私達ももう地上に戻っていいですよね?」
一度の死が命取りという、怪異にとってはかなりショッキングな話題すら「そんなことより」と一蹴してみせる愛。あまりにもマイペースなその姿に、九十九はやはり笑みを溢すのだった。
「う、うむっ。では改めて――素晴らしき武勇であった、幻葬王ッ! 余の役割はここまでだが、いずれまた相見えようぞ! ふっはっはーっ!」
こうして、暗号の示した四つめの場所――デスティニーランドで新たな手掛かりを入手した愛と九十九。彼女達は無事、帰路につくのであった。




