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怪物少女の無双奇譚《フォークロア》  作者: あかなす
最終章 無間地獄篇
169/188

無間地獄 5

 きろく 1にちめ

 2017ねん4がつ1にち


(1)はじめに

 今日から、味の感想を、ここに出力します。

 いっぱい食べて、お母さんのお役に立てるように、がんばります。


(2)食べたもの

 白米


(3)感想

 ふわっとやわらかくて、もちもちしています。

 噛めば噛むほど、ほんのり甘みが感じられて、おいしかったです。


 ◆


 きろく 100にちめ

 2017ねん7がつ9にち


(1)食べたもの

 フライドチキン


(2)感想

 すごい! とてもおいしいです。

 がぶっとかじると、ザクザクって、いい音がします。外の衣はパリパリで、スパイスのいいにおいがふわっと広がってきます。

 中のお肉はじゅわっとやわらかくて、しょっぱさとスパイシーな味が口の中に広がって、食べている最中なのにどんどんお腹が減ってきます。

 手がちょっとべたつくけれど、ぜんぜん気になりません。だってすごくおいしいから。

 また食べたいです。


 ◆


 きろく ■■■にちめ

 ■■■■ねん■がつ■にち


(1)食べたもの

 ゴキブリ


(2)感想

 殻が固くて、羽の部分もガサガサしていて、脚も多いし、食感はあまりよくありません。

 噛めば噛むほど変な苦みと、なんだか土っぽいような、それでいてちょっと青臭いような味が口の中に広がります。

 がんばって飲み込んだ後も、イヤな後味が消えません。なんだかずっと、口の中でうごめいているようです。


 食べたあと、おなかがごろごろ痛くなりました。

 すっぱいどろっとしたものが、喉の奥から込み上げてきて。

 きもちわるい。

 ごめんなさいお母さん。これはもう、あんまり食べたくないです。


 ◆


 きろく ■■■にちめ

 ■■■■ねん■がつ■にち


(1)食べたもの

 ねずみ


(2)感想

 固い。噛んでも噛んでもなかなか千切れない。顎が疲れた。

 味は、前に食べた鶏肉と少し似ている気がする。でもにおいが変。口の中にずっとイヤな風味が残る。


 これまでの経験上、なんとなくお腹を壊しそうな感じが解るようになってきた。

 だから、お母さんごめんなさい。実は今回のねずみ、全部食べきれなくて、あとで『ぽち』にこっそり食べてもらいました。


 ぽちは人間じゃないけど、私のお友達。産まれた時がずっと一緒にいます。

 いつもありがとう、ぽち。


 ◆


 きろく ■■■にちめ

 ■■■■ねん■がつ■にち


(1)食べたもの

 ぽち


(2)感想

 どうしてこんなことをするの


 ◆


 きろく ■■■にちめ

 ■■■■ねん■がつ■にち


(1)食べたもの

 ガソリン


(2)感想

 苦い。


 最近、知らない人たちが私に会いにやってくる。

 その人たちは、私が食べているところをじいっと観てくる。


 お母さんは何を考えているの?

 私は何をしているの?


 ◆


 きろく ■■■にちめ

 ■■■■ねん■がつ■にち


(1)食べたもの

 マニキュア


(2)感想

 気持ち悪い。


 お腹が痛い。

 くるしい。

 死にたくない。


 お母さんは私のことが嫌いなの?

 なんで。

 いやだ。


 私はどうして産まれてきたの


 ◆


 きろく ■■■にちめ

 ■■■■ねん■がつ■にち


(1)食べたもの

 メチルアルコール


(2)感想

 おかしい。

 あんなに優しかったお母さんが、こんなこと、私にするはずが無い。


 ……私のせい? 

 私が役立たずだから、お母さんを怒らせた?

 どうしよう。どうしよう。どうしよう。

 どうすればお母さんは、また私を愛してくれる?

 変わらなきゃ。


 お母さんの、ために。

 悪いところ、ぜんぶ。

 直さなきゃ。


 お前は誰だ。

 お前は誰だ。

 お前は誰だ。

 お前は誰だ。

 お前は誰だ。

 お前は誰だ。

 お前は誰だ。

 お前は誰だ。

 お前は誰だ。


 お前は


 ◆


 きろく ■■■にちめ

 ■■■■ねん■がつ■にち


(1)食べたもの

 ユリ


(2)感想

 私の名前は黄昏愛。

 私は『あの人』に愛されている。


 ◆


 縺溘☆縺代※

 縺薙s縺ェ縺ョ 縺懊s縺カ 繧ヲ繧ス


(1)

 繧ュ繝「繝√Ρ繝ォ繧、


(2)

 私達は恋人同士。

 だから、愛し合う義務がある。


 私は幸せ。

 私は『あの人』の為なら何だって出来る。


 だって『あの人』は、いつだって優しくて、私のことだけを愛してくれる。

 私にとって、たったひとりの、大切な人。


 『あの人』と過ごした蜜月を想うだけで、私、

 指が、止まらなくて、

 きもち、よくて、


 ああ


 ◆


 きろく ■■■にちめ

 ■■■■ねん■がつ■にち


(1)食べたもの

 ガラス


(2)感想

 足りない。

 もっと、もっと、愛が欲しい。


 違う。足りないのは私のせい。

 全部私が悪いんだ。

 私が『あの人』の愛情に、ちゃんと応えられていないだけなんだ。


 私が悪い。私が悪い。私が悪い。

 ちゃんと応えなきゃ、ちゃんと応えなきゃ、


 味なんてもう解らない、それでも、

 食べなきゃ。食べなきゃ。食べなきゃ。

 全部、残さず、綺麗に。


 そうじゃないと私は、


 あ


 おなかが すいた


 ◆


 きろく 269にちめ

 2017ねん12がつ25にち


(1)食べたもの

 ■■さん


(2)感想



 私の邪魔をするな。

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