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怪物少女の無双奇譚《フォークロア》  作者: あかなす
第五章 焦熱地獄篇
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焦熱地獄 6

「俺の物になれェッ!!!!」


 四肢を金属に挿げ替えた、黒い肌の蝋人形――黒いバルバラが、その牙を剥き襲い掛かる。苦しみに満ちた鬼の如き形相で、金属の脚が大地を駆る。その義腕を伸ばし、九十九の顔面目掛けて掴み掛からんと距離を縮める。


 しかしその突進を、九十九は避けるまでもなく――悪魔の尻尾の横一閃によって薙ぎ払った。黒いバルバラの肉体はその衝撃波によって呆気もなく四散し、その肉片を黒く液状化させ、床や壁に散らばる。


「クハハハハハハハハハハハハハハハッ!!!!」


 続けざま、嗤い声と共に天井から九十九の頭上目掛けて降ってきたのは、全身血だらけの赤いバルバラだった。狂気的な笑みを浮かべたそれは、両手に巨大な螺子を掲げ、九十九に振り下ろさんと上空から迫る。


 九十九はそれを一瞥すらしないまま、身体の重心を僅かに後ろへ傾けることで、迫る螺子の刺突を避けてみせた。そして目の前に降ってきた赤いバルバラに対して間髪入れず、九十九は右足を軸に全身を捻り上げ、左回し蹴りを放つ。

 音を置き去りにして放たれたその蹴りは空気の層を破り、衝撃波を伴う。赤いバルバラはそれに反応すら出来ないまま、蹴りが触れるよりも先にその衝撃波によって吹き飛ばされ、壁に激突していた。

 まるで潰れたトマトのように、赤いバルバラは壁一面に血飛沫を塗りたくり、そのまま黒く液状化していく――その直後。


「ククッ……活きの良い――」


 壁に飛び散った黒い沼が蠢き始めると、そこから再び蝋人形が這い上がってくる。赤と黒、先程倒したばかりの二体のバルバラ。壁に足を付けたまま立ち上がり、完全に開き切った瞳孔で九十九を見据える。


「材料としては申し分無いなァッ!!!!」


「クハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハッ!!!!」


 同時に九十九目掛けて飛び掛かる赤と黒。先に地面に着地した赤いバルバラが螺子を振り回し突進してくる――

 しかしその着地の瞬間を狙い澄まして既に放たれていた悪魔の尾槍が、赤いバルバラの身体を貫いた。その一刺しで赤いバルバラは動かなくなり、瞬く間に液状化して地面にこぼれ落ちる。


「貴様その尻尾は何だッ!? 鵺の異能か、それとも悪魔の機能かッ!? 他にはどんな能力がある!! もっと見せてみろォ!!」


 着地が遅れたことで辛うじて串刺しにならずに済んだ黒いバルバラは、まるで赤いバルバラの二の舞いになることを臆してすらいない威勢の良さで、続けざま九十九目掛けて突進していた。掌を広げ、腕を伸ばし、掴み掛かろうと飛び込んでくる。


 それを前にした九十九はと言うと至って冷静に――握り締めたその拳を、足元の地面に向かって勢いよく叩き付けていた。

 その一撃は床をブチ破り、その衝撃は瓦礫を巻き上げる。その土砂の壁に黒いバルバラは進行を妨げられ――降り注ぐ瓦礫によって押し潰されるのだった。


 一瞬でクレーターの出来上がった駅のプラットホーム、巻き起こる砂煙を九十九は悪魔の尻尾を振るい掻き消す。バルバラの成れの果て、黒い液体は九十九の一撃で吹き飛ばされ、散り散りとなっていた。

 肉体が細切れになってしまったようなものだ。こうなってしまえば復活も出来ないはず――


「――理解した」


 そんな九十九の狙いを嘲笑うように――細切れになったバルバラの破片は蠢き、一箇所に集まって――再び、二体の蝋人形を形作る。


「生身の拳で、この威力。貴様、悪魔のほうだな」


 黒いバルバラは吐き捨てるようにそう呟いて、青い瞳をぎらつかせた。


「それもただの『悪魔』ではない。聴けばあの魔女ですら答えの解らぬ未知だと云うではないか。成る程興味深い。俺が暴いてやる。果たして悪魔の顔料はどんな色彩になるだろうな? しかしこうなってくると鵺のほうも只者ではあるまい、逃がすのは惜しい……だがまずは貴様からだ。そっちは後から追いかける事としよう」


「(何なんだこいつ……さっきから何を言って……)」


 勝手気ままに紡がれるバルバラの言葉、その内容を芥川九十九には何一つ理解が及ばない。

 例えば『麒麟』の怪異、ライザ・スターリナ・クロヴォプスコフは戦いの最中で口数が多くなる。彼女の場合は相手を口説き落とす事が目的でもあり、ともすればそちらに相手の意識を誘導させて隙を作らせる狙いもあったが――

 しかしどうやらこのバルバラには、そもそも相手と会話を成立させるつもりが無い。言葉の意味を伝えるつもりが無い。最初から相互理解を諦めているのか、一方的に言葉をぶつけているようだった。


「(……死んだら液状化して、そこからまたすぐ復活してくる……面倒だな)」


 しかし芥川九十九、戸惑いこそすれ隙を見せることも無く、冷静に状況を分析している。興奮して多弁になっているバルバラとは対照的、静かに相手の戦い方を窺っていた。

 そんな九十九に向かって赤いバルバラが一人駆け出す。奇声を発しながら、両手に持つ巨大な螺子を振り回して。


「(高速再生……じゃない。恐らくは、体液を媒体に分身を生成する能力。周囲に媒体を撒き散らしながら変幻自在に立ち回る戦い方は、あの吸血鬼――アナスタシアのそれによく似ている。ただ、アナスタシアと比べて決定的に違うのは……)」


 迫ってくる赤いバルバラを、九十九は尻尾を使って薙ぎ払わずに敢えて接近を許し、出方を窺うことにした。すると目前まで迫ってきた赤いバルバラは躊躇うことなく、その巨大な螺子を九十九の脳天目掛けて振り下ろす。九十九はそれを僅かに身体を捻って躱し、カウンターの右フックを放ってみせる。


 赤いバルバラは放たれたその右腕が直撃するよりも先に、その拳圧とでも呼ぶべき衝撃波によって吹き飛ばされ、地面をのた打ち回る。そうして地面に何度も激突した後、横たわるバルバラの身体はぴくりとも動かなくなり、そのまま液状化していった。


「(こいつ……()()()()()()()()。拳が掠ってもいないのに、その風圧だけで簡単に吹き飛んで……地面に頭を打って勝手に死んでいく……)」


 やがて水溜まりのように広がっていったバルバラの黒い体液はまたもやひとりでに蠢き始め、新たに赤い蝋人形を生み出す。先程からこれの繰り返しである。


「(でもそれが返って面倒……弱すぎて即死するから、恐らく痛みすら感じていない。そのくせすぐに復活するから、死を恐れる事も無い……まるでゾンビだ)」


 今度は黒いバルバラと赤いバルバラが二人がかり、一斉に飛び掛かって九十九に挟撃を仕掛ける。しかし九十九に接近することすら叶わず、その直後に黒と赤は二人まとめて尻尾の薙ぎ払いの餌食となっていた。

 そうしてばらばらになった死骸は瞬く間に液状化し、そこから新たな蝋人形が誕生して、自殺的な特攻を繰り返す。九十九に休む暇を与えないよう意識しているのか、バルバラはひたすらに攻めてくる。


「(力の差を見せつけて、戦意を喪失させた後からゆっくり尋問してやろうと思ってたけど……これは……)」


 無論この程度で芥川九十九が、よもや疲れるなんてことは無い。たとえ三日三晩戦い続けることになったとしても、九十九が先に音を上げることは絶対に無いだろう。


 ――けれどもし、本当に此処で三日三晩戦い続けることになったら? 負けこそしないが勝つことも出来ず、三日三晩この場所で足止めを食らい続けることになったら? もしもバルバラが最初からそのつもりでいるのだとしたら?


「……お前に勝ち目は無い。無意味な抵抗は止せ」


 そんな厭な予感に急かされて、九十九は思わずその口を動かしていた。黒いほうのバルバラに向かって苛立ちを乗せた息を吐く。


「私は仲間の居場所が知りたいだけだ。後でお前の要求も聞いてやる。お互い無駄に時間を浪費する必要は無いだろ」


 背後から襲い掛かってきていた赤いバルバラを、悪魔の尻尾で片手間に薙ぎ払いながら。怪異としての圧倒的な力の差を見せ付けた上で、合理的な判断を促す。


 等活地獄に居た頃、芥川九十九はその力で何度も、数多の怪異を屈服させてきた。圧倒的な暴力を前にした時、人間は思考を恐怖に支配される。思考が恐怖に呑まれると身体も動かなくなる。そうなれば行動を制御しやすくなる。必要以上に傷付ける必要も無くなる――

 それは敵とは言え弱者を必要以上に甚振ることを良しとしない九十九の到達した真理であり、経験則だった。


「そうか。なまじ口を利く事を許したからな。どうやら勘違いをさせてしまったらしい」


 その常識が、通用しない。


「俺は最初から貴様と会話をするつもりなど毛頭無い。いい加減弁えろよ。貴様はただの材料だ。画家に対して講釈を垂れる絵具がどこにある? 貴様は黙って俺の物になっておけ」


 相手が誰であろうと、自分がどういう状況下に置かれていようと関係なく、どこまでも傲慢に、悪辣に、シスター・バルバラは牙を剥く。

 何故なら彼女は絵を描く為に生きている。描けないなら死んだほうがいい――だからどんな困難にもその身を擲って挑戦出来る。今更失うものなど何も無いのだ、恐怖を感じる必要も無い。

 そも絵具に対して「使わせてください」と懇願する画家がどこにいる? 材料は手に入るのが当たり前で、使うのが当たり前なのだから。気まぐれに独り言を語りかけることはあれ、会話など成立するはずも無い――


 最強と最弱。芥川九十九とシスター・バルバラ。史上類を見ないミスマッチが此処に発生していた。


「……面倒だな……」


 呆れたように溜息を漏らしながら――悪魔の怪脚が大地を蹴り穿つ。プラットホームが罅割れ、衝撃波が瓦礫を巻き上げる。前方の黒いバルバラはその衝撃波に呑まれ、やはり呆気もなく液状と散った。


「(こいつは何がしたいんだ? 勝ち目が無いのは解っているはず。私が諦めて降参するのを狙っているのか? それとも……何か奥の手を隠し持っている? それこそアナスタシアみたいに、必殺技のような何かを……)」


 再び背後から迫ってきていた赤いバルバラ、繰り出される巨大螺子の振り下ろしを首を僅かに傾けるだけで避け、即座に放たれた右の裏拳がその赤い顔面を叩き潰す。首の無い屍体は膝から崩れ落ちると共に黒い液体と化して――その水溜りから赤い腕が伸びてくる。

 不意を突くように腕だけを伸ばし、九十九の足首を掴み掛かろうとしていた赤いバルバラだったが――それも当然予測していた九十九は、尻尾によって足元の地面ごと赤い腕を瞬く間に薙ぎ払ってみせた。


「(念の為、媒体に囲まれないよう意識して立ち回ったほうがいいか――)」


 実力差があるとはいえ、何度も立ち上がってきては命を狙われ続けるこの状況下。特にシスター・アナスタシアという前例もある。油断など出来るはずもなく、九十九は周囲に気を配り続けていた。


「(――……殺気?)」


 そんな彼女の天性の直感が、感じ取る。自分の事を狙っている、敵意の視線――その出所を瞬時に察知した九十九は、咄嗟に天井を見上げていた。


 思えば蝋人形は三体居た。気付いた時には三体目、白い蝋人形のバルバラは姿を消していた。

 その白いバルバラは、いつの間にか駅の天井に張り付いていた。下半身のみを液状化させた状態でぶら下がり、九十九のことを見下ろしていた――その両手に、拳銃を構えながら。


 赤と黒のバルバラが絶え間なく攻撃を続けているのも意味があった。木を隠すなら森の中。錯綜する敵意の中に必殺となる一撃を潜ませる意図があった。

 白いバルバラが構えているのは、回転式連発拳銃――俗にリボルバーと呼ばれる武器。そしてそれは、およそ地獄では手に入らないはずの物である。


 生前の記憶と常識を持たない芥川九十九にとっては当然、拳銃なんてものは初めてお目にかかる代物である。その銃口から何が飛び出してくるのか、それがどれほどの威力なのか、九十九には知る由もない。

 だから判断が一瞬遅れた。殺気は感じたものの、目視で確認したそれの脅威を正確に読み取れてはいなかった。


 そんな地上の九十九へ目掛けて、白いバルバラは拳銃の引き金を絞る。弾倉が回転して、薬莢を弾く――けたたましい音が轟いた。


「…………?」


 一発目は九十九の右肩に命中した。想像を遥かに上回る速度で放たれた銃弾、その威力に九十九は呆然と立ち尽くす。

 だがそれで終わらない。続く二発目、今度は九十九に命中せず、彼女の足元に当たって遥か彼方に跳弾した。

 気を取り直すように、三発目。それはバルバラの思い描いた通り、狙った軌道をブレずに真っ直ぐ伸びていって――


「あっ…………――――」


 その弾丸が見事、九十九の額のど真ん中に直撃したのである。


 一瞬、時間が止まったような静寂に包まれた。

 頭に銃弾を捩じ込まれた衝撃で仰け反り、バランスを崩した九十九の身体は、そのまま――


「…………痛、ったいなぁ!?」


 ――そのまま、倒れることも無く。九十九はその場に踏み止まって。そうして一言、素っ頓狂な声を上げるのだった。


 見れば直撃を受けた肩も額も、出血すらしていない。ただ僅かに赤く腫れていて、その予期せぬ痛みと驚きで、彼女は少し涙目になっていた。生身で銃弾を食らっておいて、その程度の反応で済んだのだ。


 これには流石のバルバラも目を見張る。赤も黒も白も、揃って目を丸くして――それでいて、心底愉快そうに口角を吊り上げていた。


「おいおい冗談だろ。今のをただの痛いで済ますつもりか?」


 続けて白いバルバラが引き金を絞る。休む暇も与えぬ四発目。しかし今度こそ九十九はそれをちゃんと避けてみせ、すぐさま天井に向かって跳躍する。その背に悪魔の翅を生やし羽ばたいて、一気に距離を詰める。


「今のが俺の見込める最大火力だったんだぞッ!? クハッ!!! とんだ規格外だッ、俄然興味が湧いてきたなァァァァアアアアアアッ!!!!」


 五発、六発。連射するがしかし、もはや掠りもしない。逆に目前まで迫ってきていた九十九の拳に、バルバラはやはり反応すら出来なかった。

 そうして放たれた悪魔の剛腕は、白いバルバラの顔面を天井ごと打ち抜き、木っ端微塵に破壊するのだった――


「――やはり、借りてきて正解だった」


 天井が崩れ落ち、地上に瓦礫の雨を降り注ぐ。そうして露わとなった天井の向こう側、剥き出しになったこの空間の外側。

 其処に広がるのはただひたすら、漆黒の闇。その闇から這い出てくる、溢れてくる――百鬼夜行の大行進。


 浮世絵が具現化したような、色とりどり奇怪なる人造怪異の大群が、世界の外側から一気に押し寄せてくる。雪崩込んでくるそれは、あっという間に芥川九十九を呑み込んでいた。


「ォォォォォォオオオオオオオオオオオオオオッ!!!」


 大群の中に埋もれてしまった九十九だったがその直後、雄叫びと共に纏わり付く怪物の群れを一蹴し、空へ羽ばたいて距離を取ろうとする――が、どこに移動しても待ち受けるのは怪物の群れ。

 破られた天井の奥から、怪物達が絶え間なく溢れ出してくる。もはや雨のように降り注ぐそれによってあっという間。駅の中は人造怪異の群れで犇めき合う有り様となっていた。


 バルバラの狙いはこれだった。百鬼夜行の軍勢に混じって、三体のバルバラはそれぞれ身を隠し、くつくつと嗤いながら九十九の様子を遠巻きに眺めている。


 しかし、たかが人造怪異の群れ。焦熱地獄の地上で愛と九十九が片手間に蹴散らした雑魚ばかり。この程度では九十九の相手には到底ならない――


「人造怪異――『白面金毛九尾の狐』」


 ――だから此処に来る前に、バルバラは葛飾北斎から、ある人造怪異さくひんを貰い受けていた。

 それは、描いた絵を具現化する『百物語』の怪異――葛飾北斎が、地獄に落ちてから今日に至るまで描いてきた人造怪異さくひんの中でも傑作と呼べる物の一つ。


 それは常闇より現れた。金色に輝く炎のような獣毛纏って、浮かび上がらせる白い獣相。小山ほどもある巨体に九つの尾を従えたその獣を前にして、芥川九十九の全身に悪寒が走る。

 これは本物の怪異ではなく、人工的に再現された現象。意思や感情など持っているはずがない――にも拘らず、その獣は悪意を以て嗤っているようだった。他者の破滅に心の底から餓えているような、そんな邪悪が滲み出るようだった。


「あの王位種族、『厄災』の怪異を人工的に造り出すとは……流石は我が同胞、良い仕事をする。何より美しい。類稀なる色彩だ。貴様もそう思うだろう? 如何に芸術を解さぬ悪魔とは言え、感じ入るものがあるはずだ」


 人造怪異とは言え、曲がりなりにも『厄災』の獣。こうなってくると、その周囲に群がる百鬼夜行やバルバラのことも馬鹿には出来ない。

 もとより油断しているつもりは無かったが、先程の銃撃然り、いちいち初見の対応に戸惑っていてはいよいよ足を掬われかねない――


「確かに。少しは手応えがありそうだ」


 ――そんな九十九の表情は、僅かに口角を上げていて。悪寒に曝されたはずの身体は、微かに熱を帯び始める。

 悪魔の本性を剥き出した彼女の四肢は黒く染まり、その顔は入れ墨のように黒い亀裂が迸る。見開かれた赤い瞳の中に雑念は微塵も感じられない――


「……悪魔に審美眼を期待した俺が莫迦だったな」


 かく言うバルバラは己の審美眼を以て悟る。芥川九十九を纏う気配の質が変わったことを。彼女がただの材料に収まる器ではないことを、この時バルバラは俯瞰的に捉えつつあった。


 しかしそれはそれ、一度火が点いた彼女の情熱がそう簡単に収まるはずも無く。そんなバルバラの念願に応えるように、厄災の獣が落雷のような咆哮を上げ――百鬼夜行の群れは一斉に蠢き始めた。

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