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No.03 住環境と人的資源を整える?

 ガラガラと音を立てながら金属の筒が機械に送り込まれ、炸薬である偽水を詰められ弾頭の帽子を被って反対側から吐き出されると、そのまま箱型弾倉に敷き詰められていく。


「これが機銃から吐き出される元なのか・・・・・」


 試射を見せた後で感慨深げにベス伯爵改めベスが呟いた。

 工房内に完全自動化された弾丸工場を作った。

 これから射撃訓練が始まったり、まして実戦が始まったら弾丸は幾ら有っても足りないだろう。


「まあ使うのは大分後だね。当分ドラグールは新天地の開発だ」


「開発・・・ですか?」


 ベスが怪訝な顔をする。


「実戦レベルに成っている兵は一人も居ない・・・ハッキリ言ってグルースすら素人同然、先ずは動かす事に慣れて貰わないと・・・・・」


 ベスは領地を失って爵位を返上し、そのままグルースの旗下に入った。

 だが彼女にはドラグールの搭乗適性が無かった・・・それも徹底的に!

 だが叩き上げの武人で有り、今後は司令官的役割を担って貰う。


 何せ本来その立場に立たなければ成らないウチのクソ親父は、ボクのドラグールを奪って前線で暴れ捲ってるんだから!


「伯爵領出身者にもドラグールの適性試験受けて貰ったけど、希望者のみと言え51人しか合格しなかった。それでも足りない分は大至急作らないと・・・」


 そう言いながら艦橋のから外を見る。

 新天地には昨日到着し、今は資材や重機を浜に降ろしている。

 その向こうではドラグールが樹を引っこ抜いて整地の下準備をしていた。


「グルースに全部引っこ抜かない様、念を押しといて!あの調子じゃ全て抜きそうだ」


 ボクは通信兵に命じた。

 ジェイソンとローゼも施設の設置準備で忙しく、当分は毎日が騒々しいだろう。

 谷からの脱出組は殆どが騎士と技術者その家族だったし、ベスの領地も工業が盛んで技術者が数多く暮らしていた。

 その技術者は殆ど開発に参加させてない・・・マザーシップの中でお勉強中だ。


 技術者を開発に参加させた方が良いのではと言う意見は多かった。

 だが彼等は施設が完成したと同時に、ドラグールの量産を担って貰わなければ成らない。

 やらなければ成らない事は山積みである。


 ボク達がマザーシップの船着き場に選んだのは、断崖に囲まれた入江だった。

 上空から視認されれば一目瞭然だが少し離れたら海からは入り江が有る事すら判りにくく、そのうえ奥の方は甲板より少し高い程度の開けた荒れ地である。


 すでに建設ラッシュは始まっている。

 取り合えず戦闘用の機器を匿うハンガーと、住宅は当分集合住宅で我慢して貰う。

 それに農地の開発、極力食糧は自給自足は出来た方がよい。


「次は整地や穴掘りだけど、さすがにコレは専用重機の方が早いかな」


 ボクは荷物運びや組み立てなど、ドラグーンの完熟訓練に使えそうな作業をリストアップした。




「私達に味方をしてくれそうな貴族に、今後は水面下で接触していく。物資の支援は余り宛てに成らんが、決起した時に付いてくれたら」


「反対!」


 ボクは即座に反対した。


「彼等にだって家族や領地が有るんだろ?それを盾にされたら言う事聞かざるを得ないんじゃないかな・・・そしたら此方の情報はおろか、コチラの人間を誘拐しろと強要されるかも知れない。彼等に接触するのは決起した後が良いんじゃないかな」


「しかし物資は如何するんだ?」


 問題はソレだが・・・


「ベスみたいに追い詰められてる貴族は居るの?」


「当家以外にも3家ほど・・・・・」


「その家を勧誘して領民ごと移住は?」


「3家とも限界まで追い詰められている・・・可能だろう」


 ボクは海図を広げた。


「ドドラグって自国以外にも色気を出してる?」


「強欲な男だからな・・・今の所こちらの地の開拓と、この辺の小国を狙ってるな」


 ボクは大体の地名と航路を書き込んで貰い、眺めながら考える。


「私掠戦と行こう♪ドドラグの船を襲って物資を奪い、狙われてる小国を助けて報奨金を得る。ついでに物資の購入、いや褒章を物資で受け取るのもアリかな?」


 ボクは頭の中でソロバンを弾く。


「そうして海軍力を奪ってから内陸部へ侵攻・・・その頃にはドラグールを100機以上に、そして同時にソコで初めて貴族に檄文を飛ばす」


 机上の空論で無く、現実的な数値で敵を計算した。


「さすがにベスの領民だけでは心許ない・・・3家と合流出来るかがカギだね?」


「あの・・・グルース様、お嬢様の年齢はお幾つなので・・・・・」


「13歳の筈だが・・・本来なら女らしく成る年頃だろ、グッ!」


 彼の脛を思いっ切り蹴り上げた。




 何とか十数機のドラグールを造り上げ合計で24機が揃った。

 それとは別に指揮官用のドラグール・コマンダーを3機建造し、一個小隊を三個分隊・一個分隊3機で行動出来る様にした。


「この船と同じ物を造るには・・・最低 後一年は必要だな。さもなければ造り掛けの船を奪う、いやコチラの世界の船は殆ど木製だから意味が無いか?」


 やはり人と資材が必要だった。


「この島には大きな氷晶鋼の鉱脈が有るんだ・・・実はソレが有るんで冒険者から買った、私財を叩いてね♪氷晶鋼は他の鉱物を弾く性質が有るから製鉄が簡単だ、それを精錬して鋼材を大量生産するがやはり人が必要・・・おいユーキ何を書いてる?」


 ボクが書いてるのは訓練のプログラムだった。


 翌朝・・・


「これをやるのか?」


 ドラグールを使い一本橋の様な狭い範囲(白線を引いた)をはみ出さない様に全力疾走して、遠くからバーニアを吹かしジャンプして狭いサークルの中に着地する。

 開発で出たモノをそうやって運搬させたり、草むしり成らぬ灌木むしり・・・島の開発の中にミニゲーム的な訓練を盛り込んだ。

 それが済むとドラグールを使ってチャンバラや射撃訓練、弾丸はタップリ造っているので足りなく成る事は無い。


 そんな訓練を(自分を含めて)させ、成績が振るわない者を10人ほど落とした・・・彼等は未熟と言うよりドラグールに慣れて無いのだ。

 彼等はローザの指揮の元に島に残って開発と訓練をさせ、最終的には居残りと出撃をローテーションさせる事に成る。


母艦(マザーシップ)の指揮はベスが執り、出撃する2小隊をグルースとジェイソンが指揮する・・・ボクは遊撃だ」


「時間的に猶予の無い家から救出するが、先にメンデル家とボイヤー家を・・・両方とも規模が小さいので一緒に移送出来る」


「それが終わったらボク達はタイラー家に合流し、マザーシップが戻って来るまで防衛する」


 グルースとジェイソンの立てた計画に基本的には従う。


「飛行機を先行させて領主にコンタクトを取らないと・・・如何し様かな?」


 海図を見ながら、


「良い事考えた♪」


 ボクは二人に微笑んだ。




 オヤジの漫画コレクションの中に、戦闘機パイロットが主人公の航空劇画と言うジャンルのモノが有った。

 その中のエピソードで油田か製油所が破壊され燃料が無いから、敵の基地だか油田ごと奪うと言うモノが有った。


 まあコッチの燃料である偽水を敵は存在すら知らない、だから燃料を奪うと言う話じゃ無いんだけど、要は自分の手元に無いなら敵から頂くのが良いって事だ!


「手前に有る港町にサッカルとゴンナと言うのが有るが・・・」


 呆れているグルースを後目にボク達は夜間、先ずは手前に有ったサッカルを攻める。

 静か(サイレント)に・・・・・


「ミッション・サイレントバトルを開始する・・・用も無いのに海上に出るなよ!」


「お屋形様・・・今後は作戦指揮も、お嬢様に任せて見せては?」


「そうだね・・・こんな悪辣な作戦は私には考え付かない!」


「作戦中に私語は慎め!」


 怒鳴り付けて二人を黙らせた。


「しかし・・・暗視装置って凄いな?」


 これは地球の物と違い実際の視界に光量増幅装置とソナーを連動させ、3D化した映像を重ねて視覚化する装置になってる。

 強い光を焚かれても眼を焼く事無くブレーカーが落ちるが、再起動する間もソナーの方で読み取った地形や敵を見てられる優れモノだ。


「よし見えて来たぞ・・・・・」


 港の中に入るとボクは舳先にワイヤーを引っ掛けると、碇や舫のロープを切らせて行く。


「よし持って行け・・・あの船と、これも大きいから頂いていこう♪」


 次々と船にワイヤーを掛けて連結して行く。


「大きな船は粗方奪った、撤収する・・・」


「何言ってるの、大きな船は全部頂いて行くよ!」


 荷物を大量に乗せられそうな船と荷物を満載してる大きな船を狙って、根こそぎ紐付きにして準備を整えるとドラグールに牽引させた。

 途端に海上が騒がしくなる・・・まあ準備段階からガヤ付いていたが、本格的に引き摺り始めると船に残ってた乗員がパニックを起こしていた。


 まあ帆も畳んで動力も無い船が何もしないのに走り出す何てホラー以外のナニモノでも無い、収音機から幽霊だの幽霊船だの呪いだの面白いワードが飛び交っていた!


「サッカルとゴンナの距離は近い、明日に成ったら噂が広まって警戒されるかも知れないから今日中に片付けるぞ!」


 これは元々の方針だったが、まだ時計の針は深夜を指してもいなかった。


「ゴンナはサッカルより大きい港、任務には全員で当たるが今の手際を忘れるな!ジェイソンはマザーシップに鹵獲した船を届けてから合流しろ」


「ついでに船の中に残ってる奴も海に放り込んどきます♪」


 何人か船に残ってるのは解っていた。


「こっちには2人も来れば良いから、余っているワイヤーを担いで お屋形様に()いて行け!お屋形様と お嬢様には指一本触れさせるな!」


「了解!」


 有難い申し出だが海中に居るボク等に触れる奴がいるのだろうか?

 ゴンナは大きな港で篝火も多く明るい、でも近付かないと海中までは見得ないだろう。

 出来る限り深い場所を移動し作業の為に浮上する時は船の影を利用、舳先にワイヤーを架けたり碇を甲板に上げる時は海面から出るけど、船に攀じ登らなくても良い様にマジックハンド付きの竿の様なモノを用意して有る。


「作戦・・・ってより作業だよな?」


「なんの緊迫感も無い」


 そんな私語を叱り付けながら船を数珠繋ぎにして行き、最後は一斉に引っ張って行く!




「民間の船が混じってるかと思ったんだけど・・・」


 一隻も混じっていなかった。

 すべて国の船だった。


「国が民間で大型船を所有する許可は出さないのですよ、それに持ってても取り上げられました」


「グルースの弟って碌なもんじゃ無いね」


 ボクは呆れながら言う。


「後妻の子で甘やかされてたからな・・・父は厳しく鍛えようとしてたが、あの女が全てを邪魔して最後は諦めていた。まあ王位を簒奪しようと迄するとは思って無かった様だが・・・・・」


()()()()が簒奪されたんじゃ無いの?」


「簒奪されたのはオヤジさ♪危険は知らせておいたんだが、そこまでするとは最後まで思わなかった・・・殺されて初めてな」


 今更反省するのは無理だけど、オヤジさんも反省点が多いね?


「大型船が34隻も手に入りました・・・資材などはコチラに乗せて、最悪非常時には切り離して逃げられます。人はマザーシップに乗せて・・・・・」


「そう言えば船に残ってた人は?まさか殺したの?」


 軍人なら仕方ないが、ただの船乗りなら可哀想だな?


「その事で相談が・・・・・」


 グルースに連れられて甲板に上がると数人の女性が毛布にくるまれて震えている。


「彼女達は・・・奴隷か?」


「いえ奴隷にする積りだったのだと思いますが、多分 無理矢理 拐かされた隣国の貴族の娘ですよ!これはタイミング良く・・・・・」


 言葉に詰まったのはボクに肛門を蹴り上げられたからだ!


「そう言う言い方するんじゃない!」


 ボクは震えてるお姉さん達、ボクより2~3歳上かな?

 彼女等に近付いてニッコリ微笑んだ。


「大丈夫?用事すんだらお家に帰して上げるから安心して」


 まあ軍艦に拐かされて軍艦に乗せられても怖いかな?

 でもマザーシップはこの世界では軍艦に見得無いかも、でも乗ってるのが軍人じゃ同じかな?


「とにかく彼女達を落ち着かせよう♪同じ部屋に入って貰って見張りは付けても行動は制限しない、それと女の人を付けて上げて」


 この船には軍人・調理場などに女性が乗ってる。




「一応これから戦闘って事は話したんですが、まあ仕方無いでしょうけど流石に怯えてますね」


「彼女達の母国は?」


「それが着衣から想像するにシエラなんですよ!シエラってドドラグが色気を出して攻めてる国です」


 そりゃ怖いだろな・・・・・


「こっちが反政府軍でドドラグと関係無い事は?」


「もちろん説明しましたけど、今一つ信用し切れないらしくて・・・・・」


 そりゃ困ったな。


「歳の近いボクが行けば多少は落ち着けるかな?チョッと行ってくるね」


「いや危なく無いか?」


 そりゃ心配し過ぎだってw


「いやアノ娘達の方がだけど」


 グルースの脛を思いっ切り蹴り上げた!




 彼女が一番地位が高い貴族なんだろう、船室に行くと一番幼そうな娘を皆で後ろに庇っている。

 一応お茶と茶菓子を用意したんだけど彼女等の警戒が解かれる役には立たない、ボクは先ず自分で飲み食いして薬を持ってないとアピールする。

 そしてお盆ごと相手に押して渡すと、彼女達の方でも毒見をしてから奥の少女に飲ませていた。


「君たちの中で責任者的な人は誰?」


 暫く囁き合ってから、その幼い少女を先頭で庇ってたお姉さんが名乗りをあげる。


「シエラの貴族の娘タバサだ・・・貴公の名は?」


「ボクはユーキ、王位を弟に奪われたマヌケなグルース父様の娘だ」


 部屋の外で誰かが・・・いやグルースがズッコケてる、あんな事を言いながら心配して来てくれたんだろう。


「この船は軍艦で、この後に作戦が控えている・・・それが終わったらキミ達を送って行っても良いよ♪キミ達を人質にしたり交渉に使う気は無い」


「アナタの父上はドドラグの兄、王位を簒奪されて事は知ってるが簡単に信じる事は出来無い」


 マアそう成るよネ?


「如何したら信用出来る?」


 そう言われると彼女等は言葉に詰まって仕舞う。


「そもそもボク等には・・・・・」


 ここは一つ強気に出て、そして挑発して見よう!


「軍事的にシエラの助力を全く持って必要としていない!」


 大嘘だけどね!




「何を考えているんですか!」


 ローズに叱られる・・・彼女達を全員揃ってブリッジに上げたからだ。


「マァマァ軍事的に助力は要らなくても、補給的に助力が必要でしょう?ならばコッチの実力を思いっ切り見せ付けて置けば・・・・・」


「脅すのですね?」


「人聞きの悪い!」


 この会話を彼女達の見てる前で出来る辺りローズも中々の良い度胸だ。


「使者としてジェイソンが艦載機で向かい、移住の了承が出たのでグルース様の先遣隊が向かってます。船縺れて来ましたが荷物を載せるのに半月は掛かって仕舞います」


 氷晶鋼以外の資材が不足しているのだ。


「それに船は揃えたけど船乗りが足りません」


「それは最初から分かってた、船は荷物を載せるだけで良いんだ!後はドラグールなりマザーシップで引っ張れば、それともタグボートで先に帰らせても・・・・・」


「既に過半数はボイヤー伯爵領の砦に送りました。彼等は追い詰められてますが、何とか海岸線までは逃げて来るようです。ドラグールを2機付けたので何とか守ってくれるでしょう」


「当分竜騎兵は出て来ない、今が移住のチャンスなんだ・・・メンデル子爵の市民と軍勢は?」


 海図と地図を合わせたモノが広げられている。


「メンデル子爵は城砦に囲まれた都市に籠ってるのですが、問題はかなり内陸部に有るので・・・・・」


「だからボク達でエスコートする計画なんだろ?敵に動きは・・・・・」


 航空偵察の結果が張り出され、


「お屋形様が行った後、敵は移動を察したのか包囲する様に動いています・・・当初の計画では敵が展開してる平原部を・・・・・・」


 グルースの計画はかなり綿密に組まれているが、それだけに敵の動きに関して綿密な修正が必要だった。


「戦闘が始まった様ですな?」


 グルースが敵に中に入ってバリスタ等を破壊し捲っている。

 流石に対人戦では効率が悪い・・・ソレでも全力疾走するドラグールに跳ね飛ばされて、面白い様に戦線が後退して行く。


「チョッと待って・・・あの河は地図に書かれてたか?」


「ああ結構 簡単に地形が変わるから、河 自体は地図に書き込まないんですよ」


 そう言って出撃準備を進めるジェイソン、


「ボクも出るからファルケンを用意して!」


「戦闘に参加するんですか?」


 ボクは甲板に下りながら、


「別口♪」


 と答える。




 なるほど・・・河は深い所でも3mしか無い、間違ってもマザーシップでは入って来れなかった。

 ファルケンもドラグールも水陸両用だが、大幅に行動が制限されるため水中で戦闘は出来無い・・・今も立てば水面に出るから這う様にして水中を進んでいる


「でも水面ならホバークラフトが移動出来るじゃ無いか!」


 ボクは水中から飛び出してドラグール・コマンダーの姿を捜し、グルースの奴が先頭で戦ってるのが見得る。


「グルースッ!」


 ボクはグルースのドラグール・コマンダーに接近し、持っていたワイヤーの片方を渡した。

 あの船を牽引した時の太゛(ぶっと)いワイヤーだ!


「グルース、ホバー移動は慣れたか?」


「いやマダ心配ナンだが・・・・・」


 ドラグールの飛行ユニットはマダ完成していない、それでも(長距離だが)ジャンプとホバー移動が出来る様に成っている。


「ファルケンの性能にはコマンダーじゃ無いと付いて来れないんだ!直進なら出来るだろうからホバー移動で敵後方に有る谷を目指して!」


 そう言って私もワイヤーの片方を持った・・・こう言う戦法を三国志か水滸伝で読んだ事が有る!


「確か諸葛孔明が考案したんじゃ無かったっけ?まあイイや、行くよっ!」


 グルースと並走して飛んで行くと、面白い様に中間に張ったワイヤーが敵を薙ぎ倒して行く!

 片道で終了し往復の必要は無かった、敵は一回 跳ね飛ばしただけで見ていた全員が逃げ出した。


「これは・・・さすがに惨いな・・・・・」


 速度を制限したから死者は思ったほど出て無いと思う、但し動けるものが殆ど居ない筈だ。

 なんせ鋼鉄製のワイヤーが地を這って襲って来る、歩兵や騎馬兵に逃げる隙は無い代物だ。


「流石に大量虐殺にしたくは無かったのか?」


 速度を落として跳ね飛ばした事を言ってるのだろう。


「いやグルースと戦っても勝てない事を示す証人を大量に残したかっただけさ!それに怪我人を抱え込めば・・・・」


「ドドラグが助け様と思うかな?」


 いや話を聞く限り、怪我人を見捨て様と考えるかも知れない。


「ドッチでも良いんじゃない?怪我人を抱え込めば敵の足が鈍るし、見殺しにしたら敵兵は怪我すら恐れる様に成る」


「そこまで考えて?」


 ボクは舌を出し、


「いや流石に結果論の偶然さ、ボクは揚陸艇で河を下れると注進に来ただけさ」


 グルースは肩をすくめ、


「恐ろしい奴だ」


 と言って御道化る。

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