十八章『合宿編PART3』
合宿二日目。白鷺高校が所有している浜辺である。
その浜辺で俺は白鷺と一ノ瀬の生徒の間に整列しながら前で今日の日程について話している九条さんの説明を受けていた。
「うぅー。朝はつらいにゃー」
相変わらず朝が苦手な岬は目を擦りながら眠たそうにしている。
俺の後ろには同じように凛と七海が九条さんの説明を聞いていた。
昨日、何があったのかは知らないが、緊張で肩に力が入っていた凛の緊張がなくなっている。
七海も気構えていたのが少し柔らかくてなったような気もする。
これなら変に力まず、いつも通りの力が出せそうだな。
凛と七海に視線を向けていると。
「それでは、合宿二日目のメニューを発表させていただきます」
浜辺の中央で九条さんがホワイトボードにメニューを書き出していく。
「まずはこれからランニング五キロを三セット。その後はフィールドフライを五キロを三セットしていただきます」
「あの、わたしたちこの練習量についていけるでしょうか……」
「心配するな。そのために練習して来たんだから」
不安そうに俯く凛の頭を撫でてやる。
「まぁ、ランニングは心配ないとして。問題はフィールドフライよね。こんな距離飛んだことないし」
「あくまでこのフィールドフライは安定した姿勢で飛べているか、身体に余計な力が入っていないかどうかを見るためのものだから。スピードとかは気にしないでいいんだ」
俺の説明に九条さんが肯定するように頷く。
「そうですわね。夕凪さんの言う通りこのフィールドフライは正しい姿勢で飛べているかを見る名目もありますが。飛ぶ際の体力をつけるためや自分自身のペースの確保、試合での体力管理をするためでもあります。なので時間は気にしないで構いません。皆さんがちゃんと飛べているかどうかは私と夕凪さんがチェックいたしますわ」
ホワイトボードに明日の予定を書き足していく。
「明日は学校別に分かれて試合形式で模擬戦をしてもらいます。対戦カードはランダムに切られますので誰と当たるかは分かりませんのでご了承下さいませ」
「が、がんばります」
凛が胸の前で気合を入れるように両手を握る。
「誰が来ようと全力をぶつけるだけよ」
「頼もしいな」
「まったく、頼もしい限りですわね」
俺の言葉に九条さんは頷くと凛たちの瞳をまっすぐと見つめ返す。
「でも、私たちも負けて差し上げる気はないので、当たった時は全力で参りますわ」
九条さんは空気を切り替えるように手を叩く。
「それでは、説明もそこまでにして。さっそく練習を始めていきますわよ」
言い終わると九条さんが先導して走っていく。
こうして合宿の二日目が始まったのだった。




