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告白

のんび~りと。

ヤッフー。恋愛イベントだぜ! どこかのリア充みたいなノリで意気揚々と校舎裏に向かったまではよかった。ただ、待ち構えている人物が予想外過ぎて拍子抜けしてしまっただけで。


「ふ、二葉さん?」


俺の呼び掛けにゆっくりと目蓋を持ち上げて、こちらに視線を送る二葉さん。え? マジで? あの二葉さん!? いやいや、何かの間違いでしょ。だって、ほら。二葉さんて雪矢にホの字じゃん? ………寒い言い回しの挙げ句に、自ら心の傷を抉るなんて、俺ってもしかしてバカなんじゃないのか?


そんなアホな思考を巡らせてしまったが為に、二葉さんの次の一手に即座に対応出来なかった。


「ねえ」


「え? あ、はい!」


慌てて返事をする。内心バクバクだ。目なんてキョドりの域を超えてもはや自分でも気持ち悪いと感じる程焦点が合わない。


「三隅って今付き合ってる人いる?」


「え、い、いないです」


「そっかー。じゃあ、私と付き合って?」


屈託のない笑顔で二葉さんが言うものだから俺だってこう答えてしまう。


「はい! 喜んで!」


……ん? はい? 待って。俺は今何に喜んだの? まさかではないけど二葉さんから交際を申し込まれた? いやいや、まさか。ほら、俺ってモブじゃん? あるわけないよね……え? ほんとに?


俺が慌てるのを尻目に二葉さんは話しを進めていく。一方、俺は機械人形のように頭を前後に振るだけのマシーンと化した。


「―――という事で、今日から宜しくね」


「あ、はい」


「もー。堅いよ、三隅? もっとリラックスしたら? ほら、リラーックス」


クスッと笑いながら俺の頬をつつく二葉さん。え? 何これ。距離の詰め方めっちゃ早くない? 全然追い付いてないんだけど。もはや、何億光年も遅れを感じる程なんだけど。もうね、宇宙レベル。うん。自分でも何言ってるかわからない。


これが現役女子高生の成せる業なのか? それとも二葉さんはギャルっぽいから俺みたいなモブ、手玉に取りやすいのか?


「じゃあ、今日は用事あるからもう帰るねー。また明日、三隅」


語尾に音符が付いてしまいそうな鈴を転がしたような声。去り際に肩をポンと軽く叩き去っていく二葉さん。軽いボディタッチなのにドキマギしてしまう自分が情けなくて、つくづく女の子に縁がなかったんだなと嘆息してしまう。

「俺が二葉さんと恋人同士……」


口に出しても、まるで実感が湧かないのは告白慣れを一切していないからか。それとも腑に落ちない部分があるからなのか。答えを問いかけても、返ってなんてこない。当たり前だ。俺自身に自問自答してるのだから。


ただ気になるのは、去り際一瞬だけ見せた険しい表情。横目でチラリと見えただけで、勢いよく振り向いた時にはいつもの爛漫な笑顔に戻っていた。


その表情の変化に言い表し難い想いを秘めつつ、内心浮き足がたっている自分がいる。大きな問題があるとすれば……。


「あれ? 二葉さんて雪矢の事が好きじゃなかったのかな?」


二葉さんの雪矢への執着心がどうしても拭い去れない。あれが嘘だとは思えない。好きなんじゃないのか? 自分の勘違いだったのか? またもや答えが出ない自問自答に耽っていく。


キーンコーンカーンコーン


「ヤバッ!!」


そうこうしているといつの間にか最終下校時刻。待って、今日の俺時空越えてる感覚なんだけど。気が付いたら時が経ってるとか、どんだけイベント事に恵まれてないんだ。


気になる事は盛りだくさんだけど、ただ一つ言わせてもらってもいいだろうか?


16年生きてきて一番幸せだ!!


………。

カッコよく締めれたら最高なんだけど、そうはいかないのは、俺のモブ謂わしめん所以なのか。


「ヤバい! 教室にカバン置いたままだった」


教師に見つからないように廊下を小走りに走る俺なのだった。うん、やっぱりカッコよくは締めれない、だってモブだから!! 無論、この後教師に見つかり「廊下は走るな」と怒られたのは言うまでもない。

晴香と秋人の絡みが次回からメインです。

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