全快
のんびり書いてます!
二葉さんに雪矢の事と俺の事を本当はどう思っているのか尋ねたい。そう、奮起して月曜日。登校して、いつ二葉さんに切り出すか悩んでいたら、いつの間にか放課後になり、1日があっという間に終わってしまった。
ここで一つ言い訳をさせてください。聞こうとは思っていたんです! ただ、タイミングと踏み込む勇気が足らないせいで聞けなかっただけなんです。
「でも、すぐに熱下がって良かったね」
「だな! 土日休みだったのも幸運だったんだろうな。しっかり休めただろ?」
「うん。心配かけてごめん。熱自体はすぐに下がったからそんなに辛くなかったよ」
「私が看病してあげたしね」
「おいおい、お熱い事で。そういえば俺の贈り物喜んでくれたか? その様子じゃ聞くのも野暮だけどよ」
「そ! それは……二葉さんには感謝してる。でも、雪矢には怒らなければならないことがあります」
「いや、受け付けていないので」
「逃げるな! 二葉さんがお見舞いに来てくれたことは今になってはサプライズの意味もあったのかもしれないけど、鍵の在りかを知らせるのは俺が親に怒られるんだからね?!」
割と放任主義だといっても家の鍵の在りかを簡単に教えるのは筋違いだ。許してくれるとは限らない。
「はいはい。悪かったよ。だけど、秋人の親は怒らないと思うぜ? 俺に優しいから」
「だとしても!」
「否定しないのかよ。病気で弱ってるだろうなと思って、せっかく二葉を行かせたのにこの仕打ちはねーよな?」
俺に同意を求める事なく、二葉さんに目配せする。二葉さんもクスクス笑いながら賛同する。
「そーだね。それにしても二人とも仲良いよね」
「幼稚園から一緒だからな。秋人の他人に知られたくないことまで知ってるぜ? 例えば―――」
「ちょ! 雪矢!! そういうのは俺の許可をとってからにしてよ」
「わりーわりー。でもな? 秋人ってな」
雪矢が二葉さんを手招きして耳打ちする。小声で何を言ってるのかわからないけど、ろくなことではない事は断言できる。
俺がいながら二人はコソコソ話に花を咲かせる。当事者放っぽり投げて二人の世界に。居たたまれない空気感。これはなんだ? 俺って二葉さんと付き合ってるんじゃなかったっけ? 付き合っているはずなのにかなり距離が遠い。
どんどんかけ離れていく錯覚に陥ったが、すぐにハッとして顔をあげる。こうやって俯くから良くないんだ、と前を見たのがいけなかった。
付き合う前は良く見ていた光景。顔を突き合わせて二人で笑う姿―――あんなの見せられたら、割り込むことなんて出来ない。出来ないってわかってるのに、慣れているはずなのに、どうしてこんなに胸が締め付けられるんだろう。
仲の良い友達がいる。昔からモテている事は知っている。イケてるから腹がたつこともあるけど、悪い奴じゃない。――――わかってる。わかってはいるんだ!
やるせない気持ちで感情がごちゃ交ぜになる。行き場のない思いを拳を固く握り絞める事で落ち着かせた。爪が手のひらに食い込んで血が出るくらい握り締めた。
結局、この日二葉さんに真意を尋ねる事も、雪矢との談笑―――俺を置いてのコソコソ話の内容もわからなかった。こんなにモヤモヤするのはさっさと聞かないからだ。自分の性格にも嫌気がさしつつ、重い溜め息だけが辺りを包んだ。
だけど、この数日後、こんな言葉を耳にするなんてさすがに想像出来なかった。
「そもそも三隅の事は好きじゃないし。一条が告白させたんでしょ!」
俺は調子にのっていたのだろう。相合傘やお見舞いなんかで舞い上がって……。二葉さんに好かれているなんてやっぱりあり得なかったんだ。
タイトルとはかけ離れて中身かなりシリアス展開に……。




