モンブラン国からの客
「ただいま〜!」元気よくアリーアは言う。グレイスは笑顔で迎える。「おかえりなさい…じゃないわ!
何、何も無かったように過ごそうとしてるんだよ、今朝のこと忘れたのか!?だとしたらあんた馬鹿だろ、
絶対馬鹿だろ!」これが当たり前になってきて慣れてきている自分を殴りたい。「無駄に傷つくなぁ…
いつかは仕事が出来るようになってみせるわ」笑顔で宣言していた。「いつかっていつだよ!って言うか、
そもそも出来る日が来るのか…!?」絶対来ないだろう。全員がそう思った瞬間だった。
その時、ヒールでカツカツと床を歩く音がした。見ると、女性がこちらに歩いてきた。
薄紅色の長い髪をポニーテールにし、まるで獲物を捕らえるかの様な鋭い金の瞳の美女だった。
彼女はアリエル・ヘンリエッタ。マシュマロ大陸に名を馳せた格闘家だ。その美女は深い息を吐く。
「女王、どうしても会わなきゃいけないの?」「同じ格闘家でしょ、仲良しじゃないの?」アリエルは
アリーアに掴みかかった。「はぁ、誰があの猪突猛進と仲が良いって!?そんなわけないでしょうが!」
相当毛嫌いしているようだ。アリーアは若干引き気味だ。「いろいろ大変なのね…」その時…
「アリエル・ヘンリエッタ!!」男の声が聞こえた。それもかなり若い。声の主は門の方から歩いてきた。
金の髪に緑の瞳、浅黒い肌の男と、濃い緑の髪に灰色の瞳、色白の肌の男だった。アリエルは金の髪の
男を睨んだ。「現れたわね…ライアン・グリンデルバルト!」双方は睨み合っていた。「嫌な予感がするわ」
アリーアの言葉にグレイスが頷く。「同じく…」ライアンとアリエルは床を蹴った。驚くほどに距離が
縮まる。二人の拳がぶつかる。「強いじゃない」「当たり前だ!」言葉を返し、後方へアリエルを
蹴り飛ばした。だが、壁の少し手前で踏みとどまった。アリエルの口から血が流れる。蹴られた腹が
痛むが、耐えた。格闘家として、この国の国民として女王の前では恥をかきたくはなかった。弱音を
吐きたくはなかった。アリエルは笑った。「これからが本番よ」その時、アリーアが二人の間に入った。
「ストープ!アリエル、ライアン、やめなさい!」二人は素直に謝った。「ごめんなさい…」「ごめん」
アリーアは二人の頭を撫でた。アリエルは嬉しさを隠しきれていなかった。一方、ライアンはそっぽを
向きながら照れていた。アリーアはもう一人の男に声をかけた。「そこの君、こっちへ」門の近くにいた
もう一人の男は慌ててアリーアの元へ来た。
「うちのライアンが大変申し訳ございませんでした!!」男は勢いよくライアンの頭を自分と同じように
下げた。「お、おい!」




