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3 校長先生の話

「・・・というわけで田目先生が児童虐待(の証拠)に気付きました」


教頭が説明しているが、全然、いや半分くらいしか話しを聞いていなかった





だってほらインテリヤクザがこっちを睨んでいるから!


スゴイ目でこちらを睨んでいるから!




なんか胃が痛くなってきた


もう勘弁してくれ!


そう言いたい




定年まじかの老人にこの仕打ち


本当にやっちゃんだよ・・・







はじめまして


校長の松田です





某小学校で校長をやってます


大事なことなので二度いいます


校長です




ええ、一番偉いんですよ


小学校では


肩書だけですけどね




校長というのは教育委員会うえ小学校したをつなぐ只のパイプ役です


学校外で開催される各種の打ち合わせ等に出て情報を収集したり、通達を受け取ったり、逆にアンケートなんかの提出をするお仕事です


そんなんだから小学校の実権はすべて教頭が握っています




そりゃそうです


外を飛び回っている校長


学校にいて仕事をする教頭


どちらの信頼が厚くなるかは自明です




そのくせ不祥事 ~たとえばイジメだとか~ が起こると責任はすべて校長


謝罪会見をひらいて頭を下げるという、いわばスケープゴートのためだけの存在だともいえます




そんなんだから近年では校長になるのを拒否する人が多発しています


偉くなるのは教頭程度で十分だ


・・・昔は『教頭どまり』が蔑称でしたね




今日は会合に出ても長引かず珍しく夕方に学校に帰ってこられました


だから明るいうちに帰ろうと考えました


働き方改革です





そうしたらノックの後、教頭、学年主任、信任の田目教諭、そしてインテリヤクz、もとい八津教諭が校長室に入ってきました


なにこのドリームチーム


トラブルの気配がビンビンにしました





・・・実際、児童虐待の話でした


当たっても全然嬉しくないです





一番のトラブルは八津教諭、いやもうインテリヤクザでいいですよね


インテリヤクザが睨んでくることでした



どうやら田目教諭が相談したというので教頭が連れてきたようです





めんどうごとに巻き込みやがて


目がそう言っているような気がします




多分、自分の受け持ちの生徒でないとか


学年主任や教頭といった直接の上司でもないとか


完全に無関係なのに引きこまれたというのが理由だと思います





「それでは警察と児相(児童相談所)に連絡を入れましょう」


校長わたしがそう結論付けるとインテリヤクザの態度がさらに悪くなりました





あ、そう言えば天敵でしたね


警察


心底嫌っていて、いわば不倶戴天の敵です


あの一件以来の、です




校長わたしにどうしろというのでしょう


いやどうにもなりませんね





ここは警察にすべて丸投げしましょう


警察じぶんの不始末は自分でとって貰うことにいたしましょう




虐待マニュアルに沿って警察と児相に電話をすることにしました




そうすればみんな校長室ここから出て行ってくれますよね?


一人にしてくれますよね?


早く帰ることはできないけれどインテリヤクザに睨まれるよりはましというものです





<プルル~プルル~>


校長室の備え付けの固定電話の発信音が受話器から聞こえてきます






早く繋がってくれないかな


そんでもって早く校長室から出て行ってくれないかな





ストレスフルな時間が積み重なっていく


ああ、胃に穴が開きそうだ・・・

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