1 八津教諭の話
最近、子供関係の事件が多いですよね
大人の無関心さというか、無責任さに怒りを感じます
だから書いてみました
大体、殴れば大抵のことは解決するもんです
言ってみて、やってみて、褒めてやっても育たない人ばかりですからね
それが判らない人ばかりだから力のない幼い子供が犠牲になるんです
では開幕です
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「う、訴えてやるっ!」
オレにボコボコに殴られた男が叫んだ
「ああ、やってもらおうか」
二ヤリと笑って言うと男が迫力に押されて黙った
厄介に思えることも殴れば結構解決するもんだな
マジでそう思った
事の起こりは数時間前に同僚の田目教諭から相談を受けたことだった
いや相談というか、明らかに厄介事を丸投げ?
本当に困ったものだ
自分のクラスのことは自分で解決しろよ
そう言いたい
あ、いや失礼
残業させられたからつい愚痴が・・・
仕切り直しだ
オレの名前は八津 剛
教師になって9年目の中堅だ
現在は小学3年生のクラスをまかされている
今日は授業が終わったので、教室でテストの採点をしていた
え?
職員室でやれ?
仕事が降ってくるんだよ
学年主任やら教頭やらから
この前提出した学習計画を修正しろ、とか
研修会があるから出席しろ、とか
アンケートがきているから書いてくれ、とか
だな
世間では学校の先生っていうのは生徒を教えていればいいとか思っているだろう
そんでもって夏休みやら冬休みやらは遊んで暮らしている
それは嘘
全然違う
生徒を教えるのは教師の仕事の1/10くらいだ
後は書類仕事
年間計画に季節ごとの中間報告
年度の最後には1年のまとめの報告
家庭調査票の回収と問題児のひきつぎ
運動会の計画と人員配置
生徒への指導要領と怪我等の緊急時の予防対策と発生時のタイムスケジュール
終われば問題点とその改善の提出
中間、期末テストの問題作成と添削
そして通知表の作成とコメントの記入
教室をはじめとする各部屋の責任者としての戸締りと防災の確認と掃除の点検
ついでに机やいす、カーテンなどの備品の修理や購入
突発的に入る各種の研修会への参加とレポートの提出
モンベ(モンスターペアレンツ)からの苦情の対応
1つ、あるいは2つの部活の顧問を押し付けられ、競技のルールの勉強から毎日の練習の監督と試合の引率
学年主任を押し付けらr、いや、なると各クラスの担任のフォローが追加される
当然関係する書類は書いても書いても無くならない
1個提出すると新たに2個が現れるという不条理
まさに次から次へと現れる
当然学校では終わらず家に持ち帰り、毎日日付けが変わるくらいまで書く始末
いやそれでも足りなくて土日が潰れる、だな
ブラック企業なんて目じゃないブラックさ
毎年、ノイローゼで何人かは辞めていくのは公然の秘密だ
教師になった初年度で幻想は見事に打ち砕かれた
・・・よく死なないな
ああ、一応言っておくが教師や先生ではなく教諭が正しいからな
まあ、絶対ってわけではないので判りやすいやつをその都度使えばいいぞ
念のため一応、言っておく
まあ、そんなわけで余計な仕事が増えないようにわざわざ教室でテストの採点をしていたというのに、わざわざ仕事を増やしにきてくれちゃったよ
同僚の田目教諭が
「ああっ?」
凄んだオレは悪くない(はず)