とある冒険者の心の中
実のならない努力は無い。
乗り越えられない壁は無い。
努力をし続ける限り、いつか夢は叶う。
――そうであると信じたい彼がいた。
諦めたら、そこで夢は終わり。
努力の仕方が悪い。
努力が足りない。
頑張りが足りない。
――そうなのかもしれないと思う彼がいた。
現実を見なさい。
このままで良いの?
そんな齢にもなって、まだそんなことを言っているの?
――分かってはいる彼もいた。
貴方には無理。
高望みし過ぎ。
とりあえず生きているんだから良いじゃないか。
――確かにそうだと、納得しようとする彼が、今の彼なのかもしれない。
齢を追うごとに、諦めを促す言葉が頭を掠める。
最近は特に頻度が高い。
そろそろ辞め時か。だけど彼は自分にできることは、コレぐらいしかないと思っていた。
別の他の道があるんだろうけど、その何かが思い当たらないし、見つからない。
それはきっと彼自身が“まだなんとかなる”と思っているからだろう。
だから彼は、“ロイド”は、そろそろ三十代半ばを過ぎようとしているにもかかわらず、未練がましく、幼い頃からの無謀な夢に縋って、冒険者を続けている。
「おっさん、この先は俺たちで行くから帰っていいよ」
そんな彼の思いを打ち砕くように、一回り以上も若いパーティーリーダーが、あっさりとした口調で“クビ”を通告してきたのだった。
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また連載中の関連作【仲間のために【状態異常耐性】を手に入れたが追い出されてしまったEランク冒険者、危険度SSの魔物アルラウネ(美少女)と出会う。そして幸せになる】も併せてよろしくお願いいたします!