表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/9

蟲が怖い-続-

 今日は大学へと向かう。学内では比較的目立たない部類の人間だ。普通に講義に出て、サボるところはサボって、浅く仲のいい友人と雑談する。そんなこんなで時間が過ぎていく。

 帰りに殺虫剤を買う。炊くタイプのヤツだ。これで部屋から害虫を追い出す事が出来る。しばらくは虫恐怖症も気にしなくて済む。問題は炊いてる間にどこで時間を潰すかだ。ヒトカラだろうか? それともゲーセン? どうしたものかと考えていると、ふと昨日の小部屋の事が気になった。また寄ってみようか? そんな事が頭をよぎる。いやいや、あんな不気味なヤツに話す事などもう無い。

 ヒトカラでいいか。その帰りにメシでも喰おう。そうしよう。そうと決まれば即行動だ。部屋に大急ぎで帰って火災報知器を抑制するカバーをつける。そして近所に殺虫剤を炊く事を告げて心配をかけない様にする。そして部屋を締め切って、いざ着火! そして部屋から即脱出してドアの鍵をかける。


 ヒトカラとメシ、合わせて三時間。充分に殺虫剤は部屋を満たしただろう。後は換気しないと。一応息を止めて部屋に入り、窓を網戸にする。そして換気扇を回す。換気もすぐには出来ないだろうから近くにある古本屋でマンガを立ち読みする。

 そうしてやっと部屋でゆっくり出来る。が、部屋で待っていたのは害虫の死骸の処理だった。こればかりは仕方ない。ハエたたきのトングになってる部分で掴んでトイレに流す。

「ふー。これで一安心だな」

 安心して風呂に入ってネトゲをやってから寝る事にする。これでしばらくは害虫とはおさらばだと信じて。

 風呂に入っていると何か黒い小さな塊が飛び跳ねた。カマドウマか! と思ったが今日殺虫剤を炊いたばかりで害虫は居ないハズだ。よくよく目を凝らして見ると何も無い。気のせいだったかと胸を撫で下ろす。

 風呂から出て冷房の効いた部屋でパソコンに向かう。ネトゲをプレイするのだ。プレイ中に足の上をカサカサッと何かが通り過ぎていく感覚がしてビビる。慌てて足元を見るが何も無い……。

 何か嫌な予感がしてきた。一寸の虫にも五分の魂と言うが……実際に虫の幽霊とか居るとでも言うのか……?

 怖い……。情けないが怖いぞ……。気のせいである事を祈るが……。もし幽霊だったらどうしようか。オカルトに強い友人なんて居ないぞ……。あの小部屋の主人ならどうにかなるのだろうか。気は進まないが話に行くのも手かもしれない。まぁ実際に幽霊だったらそうしよう……。

 もう何もする気力が無くなってしまって仕方なく寝る事にする。怖いので暑いが足元まで布団を被る。せめて潜り込んで来ない事を祈りながらビクビクしつつ浅い眠りと覚醒を繰り返していた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ