05 装備新調
今回掲示板が出てきます
森林フィールドである程度狩りを行った事で、MOBから手に入れたGで少しは懐が潤った。
これで装備を少し整えようという話になった。
「まあ、俺もいつまでも投石で攻撃って訳にもいかないしな。やっぱり投擲にしてももうちょっと武器らしいものでないと。レイナは？」
「やっぱり盾と、剣か槍が欲しいですね。友人に『タンクの武器って言ったら剣か槍っしょ』って言われたので」
という事で、お互いに一旦別れて最初の町で買い物をする事にした。
レイナと別れた時矢が目指したのは武器屋だった。
防具に関してはそれほど考えていない。
むしろスライム相手ですらHPが1/5も削られるので、MOBの攻撃が当たった時はそれまでだと割り切ったのだ。
それよりは武器屋で投擲できる武器を探す事にした。
前に行った事のある武器屋に行くと、前に会った店員だった。
「いらっしゃい。あ、この前の。調子はどうだい？」
「まあ、何とか狩れてるよ。それより武器を探してるんだけどさ」
「ん？ 剣じゃ駄目なのかい？」
店員は時矢が腰につけている剣を目で指した。
「今は投擲武器かな。タンクが見つかったんでね。モンスターのヘイトが向かわない範囲から攻撃する事になったんだよ。何かいいの無いかな」
そこまで言うと、店員は少し唸った後にとある棚に向かった。
「投擲武器と言えばここらだね。手裏剣、クナイ、チャクラム、色々揃ってるよ。やっぱり日本の忍者だっけ？ そういうのが扱う武器が多いね」
時矢的にはクナイがいいかと思ったが、映画などテレビで見るように回転させないで真っ直ぐに飛ばせる自信は無かった。
ゲームなのだからそこらはどうにかなるだろと思いたかったのだが、念には念を、というものだ。
「じゃあ、手裏剣でいいか。こういうのってモンスターに投げて当たったら消滅したりするのか？」
「今のところ消えたとかそういう報告は受けてないよ。モンスターに投げて使ったとしても後から回収したら何度でも使える。けどまあ、一応十個くらいは持っておいた方がいいんじゃないかな？」
そう意見を貰った時矢だったが、時矢にとって十個というのは数が少なすぎた。
一匹を倒すのに大体十回投擲しないといけないのだから、五匹のモンスターが現れたら平均でも五十個前後は使わないといけない。
数を減らすのはモンスターを状態異常にして確実に当てる事ができる面子になってからだ。
「いや、七十個は買えないかな。在庫はあるか？」
「七十個とは多いね。もちろんあるよ」
そんなに持てるのかという疑問だが、プレイヤーが腰に付けている道具袋に入れたものは視界左上にある所持品欄にストックされる。
石の時に試してみたが、百個以上の数の物をストックする事は可能だし、入れた内容によって道具袋の大きさが変わった事はない。
つまりこの道具袋は魔法の袋みたいなものなのだ。
手裏剣をその数だけ買うと、道具袋に入れる。
すると全てが道具袋に入り、左上の所持品欄に『手裏剣×70』と表示された。
ついでに剣も新調したかった時矢だったが、剣は今の戦法だと使う事はあまり無いのでやめておいた。
「一応聞くけど、手裏剣と石って攻撃力は違うのか？」
「石を投げてたのかい？ ……まあ、アレも使えない事は無いけどね。単なる礫と刃のある手裏剣じゃ殺傷力は段違いだよ。試してみたら分かるけどね」
それを聞いて時矢は安心したと同時に期待感を増した。
石でもゴブリンなど森林フィールドに出るモンスターを倒せるのだから、手裏剣で攻撃するとしたらもっと上を目指せるのではないか、と。
買い物を済ませた時矢は合流場所に指定しておいた噴水の淵に座る事にした。
それにしても……。
「最初はどうなる事かと思ったけど、どうにか狩りにはなったな。後は異常状態を発生させられるスキルを持ってる奴か、同様の魔法を持ってる魔法を扱う奴か。そういうのがいれば何とかなるか」
レイナが壁でモンスターの攻撃を受け、その前後にモンスターに異常状態を仕掛けて時矢が攻撃を行う。
今の状態で時矢にとっての理想の方法だった。
それに時矢も本音は手裏剣ではなく剣で攻撃したいのだ。
そんな考えをしていると、自分の名が呼ばれた気がした。
声のした方に顔を向けてみると、そこには装備を新調したレイナがいた。
体の各部を守っている鎧は前より守っている部分が増えていて、より頑丈そうに見えた。
また左手に盾を、右手に剣を持っているのも以前と違うところだ。
「よう、レイナ。見違えたじゃないか」
「はい。これで私もやっとタンクの基本になれた気がします」
時矢も、防具はそのままにして、武器を新調した事を伝えた。
「今までは石だったけど、これからの攻撃手段は手裏剣になるからもっと攻撃力は高くなると思う。レイナの防御力次第だけど、もっと上を目指せると思う。今日はもう遅いから明日からになると思うけど、明日からまた別の場所に行ってみようか」
「そうですね。私も硬くなった自分を実感したいですし、そうしましょう」
その会話を最後に、挨拶を交わした後にお互いログアウトを行った。
とある情報交換掲示板
26 名前：名無しの冒険者
面白い奴見つけた
多分新人だろうけどスライムに石投げてたｗ
27 名前：名無しの冒険者
原始人かよｗ
武器はどうした武器はｗ
28 名前：名無しの冒険者
一応腰にぶら下げてた
でも石を何回も投げてようやく当ててるって感じだった
29 名前：名無しの冒険者
最初のステ振り間違えた奴か
初心者によくあるタイプだな
石を投げてもそんなにダメ与えるなんて無理だろうに……
30 名前：名無しの冒険者
俺もそいつ見かけたけど、石一回投げただけでスライム撲殺してたぞ
31 名前：名無しの冒険者
ぱーどぅん？
32 名前：名無しの冒険者
いや相手スライムとはいえ石だろ？
マジレスそんな事できんの？
33 名前：名無しの冒険者
おそらくSTR極振りだと可能性はあるんじゃないか？
このゲーム自由度高いし、ただの石でも元々のSTRが高ければそれなりの攻撃力はあるし
34 名前：名無しの冒険者
さっきそいつ見かけたけど、ゴブリンを投石で倒してたぞ、一発で
何か女のキャラが壁になってた
ちなみに石つってもそんなに大きい石じゃなく手で掴めるサイズな
35 名前：名無しの冒険者
ゴブリンを手に持てるサイズの石で撲殺とかｗｗｗ
STR上げすぎだろｗｗｗ
カゲトキとレイナの事はよくある噂程度でだが、話題になっていた。
