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04 組んだ結果

 場所は草原。

 時矢自身レイナがどれくらい硬いのかを知らないので、まずここで小手調べという訳だった。


「じゃあ、レイナが先行で、途中でモンスターが出たら壁役をやってくれ。俺は後ろから攻撃するから」


「はい!」


 事前にやり取りを終えて、草原を歩く。

 しばらくすると時矢にとっては見慣れたスライムが現れた。

 スライムを見つけたレイナはスライムの目の前に立つ。

 仁王立ちで。


「……」


 これには時矢も唖然とした。


「……いや、レイナさんや? 顔とか体とかガードしなくていいの?」


「大丈夫です。攻撃が顔に当たっても蚊に刺された程度しか感じませんから」


 そういう問題かな、そう思いつつも時矢は道中で拾った石を手に持つ。

 それを見たレイナが首を傾げる。


「石……ですか?」


「ああ。どうやら石も所持できるし装備できるみたいでね。できれば剣で攻撃したいけど、剣で近距離から攻撃したら俺にヘイトが向くし、石なら遠くから投げるからそんなにヘイトが向かないかなって。ああ、念のためまず最初にレイナが一度だけ攻撃を当ててくれない?」


 前にパソコンでやったMMOでは最初に攻撃を当てたプレイヤーキャラにヘイトが向く、というのが序盤の雑魚MOBのAIだった。

 もちろん例外もあったけどこいつは違うだろうと時矢は推測した。


「分かりました」


 時矢の言葉にレイナが頷き、何回か素手でパンチを繰り出してようやくスライムにダメージを与えられた。

 しかしそのダメージ量は少ない。

 だが、一度ダメージを与えられたスライムはレイナを優先に攻撃する敵と認識したらしく、ぽよんぽよんと何回も体当たりをする。

 時矢は念のためレイナのHPゲージを見るが、時矢の時とは違ってドット単位でしか減っていない。


「一応聞くけど、レイナは大丈夫か?」


「はい。今のうちに攻撃しちゃってください」


「了解」


 レイナからの許可が出たので、時矢は攻撃を行う事にした。

 今まで通りの投石による投擲。

 時矢の今までの経験上、十回に一回……つまり10%の命中率だ。

 何回かは『miss』表示が出たものの、何回目かでようやくスライムに石が当たり、スライムは多少のGを残して消滅した。


「まあ、草原フィールドなら問題無いか。後はどれだけ先のMAPで通用するかどうかだな……?」


 一人で結論を出した時矢だったが、レイナの様子がおかしい事に気づいた。

 何やら肩を震わせている。


「どうしたんだ、レイナ?」


「……やった、やりましたカゲトキさん! モンスターを倒せましたー!」


 と、ガッツポーズを取りながらはしゃぐレイナ。

 どうやらモンスターを、PTを組んでとはいえ自力で倒せた事がよほど嬉しかったようだった。


「……まあ、こんな感じで。ここであと一回か二回やって、それで慣れたら別のところに行ってみようか」


「分かりました!」


 何はともあれ、時矢とレイナのコンビは上手く機能したようだった。



 何回か試し、レイナが先に攻撃し時矢が投石するというパターンを掴んだ二人は、草原フィールドより少し手ごわいとされている森林フィールドに進む事にした。

 森林フィールドは草原フィールドとは違って全てがアクティブモンスター、らしい。

 ただヘイトが向かうのは

 ・一番近くにいるプレイヤー

 ・最初に攻撃したプレイヤー

 の順らしいので、戦い方はさっきと変わらない。

 森林フィールドを少し歩くと、今度はゴブリンの群れに遭遇した。

 ゴブリンは知恵のあるモンスターという設定という事で手にこん棒等の武器を持っている。


「んじゃ、レイナ任せた」


「はい」


 今までと同じようにレイナが先頭を進み、ゴブリンに取り囲まれる。

 今回は五匹だけだったので五匹全員にレイナがまず攻撃を当てる。

 その段階で全てのMOBのヘイトがレイナに向かい、レイナの周囲にゴブリンが寄る。

 この状態でやや遠くから時矢が投石を始めた。

 レイナにゴブリンの攻撃は当たるものの、レイナは取り囲まれるという状態に少し怯えているもののゴブリンの攻撃自体にはどこ吹く風といった様子だ。

 そこへ時矢が一体一体へ確実に投石を行っていく。

 ここで時矢にとって想定外だったのが、森林フィールドのMOBでも投石一発でゴブリンを倒せた事だ。

 少なくとも、森林フィールドまでなら時矢とレイナのPTでも普通に狩れるという事が分かった。

 そして……。


「カゲトキさん! 私レベルが上がりました!」


 どうやら今のでレイナのレベルが上がったらしく、彼女はかなり喜んでいた。

 そして同時に指先で視線の左上の方を操作していた。


「って、レイナ何やってんのっ!?」


「え、ステータスポイントとスキルポイントの操作ですけど。またVITに振って、スキルはこれにしました」


 レイナ曰く、時矢がいるから攻撃面は大丈夫と思って更にHPゲージを増やそうとしたという事、そして新たに取得したスキルは『プロボス』、効果は使用した対象のモンスターのヘイトを自分に向けるスキルらしい。


(まあ、それなら問題ないかな)


 そうした行動を見た後、時矢もステータスポイントとスキルポイントを一切触ってない事を思い出した。

 どうするか一瞬迷ったが、どっちにしろレイナがいないと時矢はまともに狩りもできないのだ。

 思い切ってまたSTRに振る事にした。

 スキルに関してだが、ほとんどが攻撃力増加だったりダメージの倍加だったりだったので、現状攻撃の当たる確率が少ない、そしてMOBを小石の投石だけで倒せてしまう時矢にとっては意味の無いものだったのでスキルポイントはそのままにしておく事にした。

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