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第95話 おう間に合ったぜ

「さてとみんな休めたか」

「ワシはまだまだ大丈夫だ」

「なんか今のでどっと疲れが出てきたけど大丈夫」

「………問題ないです」

「よしならさっきの行動を繰り返す、罠となるところは何ヵ所も準備してあるからな」

 そう言うとまた駆け出す。だが先程とは違い、龍は追ってくる気配がない。だから先程よりも安全に早く着く。

「着いたはいいが」

「追ってこないな」

 龍を見ると何かを探しているようにも見える。

「何か探してるみたいに見えるんだが」

「片目を撃たれたことで見失ってるのかもしれないな」

「………それに探しにくくなってるのかも」

「それなら呼べば来るんじゃないか」

「よしそれでいこう、タナカ叫んでみてくれ」

「わかったよ」

 龍に向かいできる限り大きな声で叫ぶ。

「ここにいるぞーーー」

 そう叫んだ瞬間、龍がこちらを向く。少し驚く。

「来るぞ構えろ」

 そして猛スピードで突っ込んでくる。気分的には新幹線が自分めがけて突っ込んでくるような感じでかなり怖い。

「引き付けて目を狙え、危なくなったら即にげろ」

 マイヤーはそんな状態でも指示を出している。そうこうしている内に龍がかなり近づいてきた為に伏せる。伏せると同時に銃声が響き渡る。銃声がやむ、つまり通りすぎたと言うことだろう。頭をあげる。

「タナカまだだ」

「ん」

 振り返ると龍が向きを変え、突っ込んでこようとする。また伏せようとするのだが、先程よりも速度が速い。避ける余裕がない。

「タナカ」

 メリベルの声が聞こえるが、避けられそうにもない。あんなものがぶつかれば、余裕で死んでしまうだろう。何となくだがあっけなさを感じる。覚悟なんて決める暇もなく、龍が。

「『ギャyaaaaaaaaaaaaaaaaa』」

 その悲鳴と共に龍の向きが少しだけ逸れ、なんとか避けることができる。いや避けると言うよりもギリギリ助かったと言う言い方の方がいいかもしれない。そして遅れて、1発の銃声が響く。誰かが撃ちどこかに当て向きをそらしたのだろう。誰が撃ったかわからないが、確認する前に塹壕に戻った。

「はぁ、はぁ、はぁ、生きてる、生きてるよ」

「………タナカよかった」

 塹壕に戻りわずかの安全が手に入ると、まだ生きていることを実感する。心臓が激しく鼓動していることがわかる。

「危なかったな、だがこれでいつ襲われるかがはっきりした」

「自分が叫べばいいんだろう」

「そう言うことだ、だが最後の射撃は」

「俺だ、ようタナカ危なかったな」

 その声と共に、長い銃を抱えた男が現れる。

「ササキ」

「おう間に合ったぜ」

 元魔王だ。

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