第87話 聖銀だ
カーン、カーン、カーン、カーンと音が響く。金属を叩いている音のようだ。
「それでどうやって抗うつもりだ」
「逃げ回るとか」
「それじゃあ勝てないだろう」
「それじゃあ、援護射撃とか」
「出来なくはないが後々問題になるぞ」
「だよね」
ならやられるしかないだろう、だがその事は口には出さない。
「でその事は置いといてさっき渡した金属は何」
「ああ、あれは聖銀だ」
「何それ」
「聖なる加護を受けた銀、のレプリカだ」
「レプリカかよ」
「仕方ないだろう、私の持っている聖剣を参考にして自力で作った物なんだから」
「聖剣を参考にしたって詰まるところ、今メリベルが打ってる剣って」
「聖剣のレプリカだな」
「……………すげぇな」
そういった感想しか出てこない。
「まあすごいと言っても、ある程度の量産体制が整えば軍で使う武器をこちらに変更する予定ではあるな」
「領主様その事は」
「こいつには話して構わないさ、タナカ誰にも話さないよな」
「はい」
「だそうだ」
「分かりました」
「そうだマリア、タナカを殺そうとしたことを謝っておけよ」
「はい、タナカ申し訳ない」
「いや気にしてないよ」
「ならいい」
簡潔に謝られるが、本当にそんなに気にしていないのでどうでもいい。だがそれが終わるとすることがなくなる。だからメリベルが剣を打つ様子を眺める。炉のそばで作業を行っているために汗が多くでているのだがそれも気にせずに作業を行っている。
「そうだ、タナカ今から少しでも鍛えておくか」
「鍛えるってこの狭さでどうやって」
「そうだな」
この部屋はそれなりに狭く、4人いることは余裕なのだが動き回ることはできそうにない。
「だがタナカ剣の振り方はわかるのか」
「剣道やってたから少しは」
「まあそれならいいか、後は心構えとして命を奪うことを躊躇うな」
「この世界に来て何度も」
「銃でだろう、直接は」
「1度だけ」
「なら大丈夫だろう」
そのまま会話が途切れ、沈黙が流れる。その沈黙を遮るように、メリベルの金属を叩く音が響いていた。




