第7話 ……そうか
周囲を警戒しつつ、元の場所に戻る。微かな物音すら怖い。
「イリア後どれくらい」
「半分くらいじゃない」
少しずつ戻っていたためか来たときよりも時間がかかっている。もう何もいないのではないのかと言う気が少しずつだがしては来るのだが、かと言って叫んだりする気なんかは全くおきない。
「もうなんに襲われたんだよ、せめてそれくらい聞ければ」
「それが本当に怖かったのかもう寝てるわ」
「……そうか」
なにか言ってやりたかったが、2人もいてこんなに怖いのだ、1人ならもっと怖かっただろうし仕方ないだろう。物音がする、馬車がある方からだ。
「イリア」
「ええ」
そちらに銃を向ける。
「誰かいるのか」
「誰ってなにかしたのか、タナカ」
アルフが出てくる。
「それにしても遅すぎだろ」
「はぁ、なんだアルフか」
銃を下ろす。
「なんだとはなんだ、と言うかその女の子は」
「いや火をつけられるもの探しにいって拾った」
「そうか、ならタナカ拾いにいくか」
「いやイリアと女の子は」
「ここから後少しだから大丈夫だろ」
「わかったわ、先に戻ってる」
イリアが先に戻る。
「よしじゃあ案内してくれ」
「ああ」
特になにもなく、小枝を落とした所で拾い集め馬車のあるところに戻ってきた。そこには下ごしらえを終わっているのか鍋が用意されてあり後は火をつけるだけであるようである。石を使い適当に作ってある囲いの中に小枝をくべ魔術で火をつける。そしてその火で鍋を暖めていく。時間ができた為に少女についての話題となる。
「でこの少女は誰で何なんだタナカにイリア」
「なにかいるような気がして警戒したらこの少女が怯えて出てきた」
「それだけなんですか」
「ええそうよ」
「………つまりなにも分からないの」
「だから起きてもらいたいんだが」
少女を見るが起きる様子は全くない、しかも起こすのが忍びなくなるくらいの顔で寝ている。
「リズ痛々しそうだから包帯巻いといて貰えないか」
「分かりました」
「それと彼女もつれていっていい」
「ええ構いませんよ」
と言うことで彼女も旅に勝手に同伴させることにした、まあ起きて彼女がどうしたいかを聞いたら別れるつもりだが。
「じゃあ食事にしましょうか」
リズがそう言って食事を配る、メニューは安い黒パンに野菜のスープだ。普通のメニューである。
すぐに食べ終わる。
「タナカ私の包帯変えてくれない」
「いいけど」
イリアに頼まれ顔の包帯を変える、包帯の下にはやけどの跡があり、それを隠すために包帯をしている。
「ありがとうタナカ」
「よしそれじゃあ火の番は初めはイリアとメリベル、次に俺とタナカ、最後にリズとマイケルで頼む」
「だそうだ、おやすみイリア」
「おやすみ」
そうして眠りについた。