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第68話 タナカ外に連れ出して

 これまでの冒険について話をする。と言ってもそんなに面白い話ではないが。

『そうなんだ』

『そうなんだよ』

『楽しそう』

『楽しいか楽しくないかはおいとくけど、毎日が大変だよ』

『それでも楽しそうだよ、私もそんな冒険してみたいなぁ』

 どこか遠くを見ながら、そんなことを呟いている。

『私ねかなり末期の癌なんだ』

 何も言い返せない、勝手な想像だが血を吐くくらいなのだからいってることは本当だろう。

『だからもう外に出られることはないって思ってたんだ、けど今はその出られないと思っていた外にいるから』

 こちらを見る。

『タナカ外に連れ出して、お願い死ぬ前にせめて外に』

『いやそれ包帯にぐるぐる巻きにされてる自分に言う』

『誰でもいいからお願い』

 目が本気だ、断ることは無理そうだ。

「アルフ、ユキを外に」

『ユキ』

 マイヤーが入ってくる。

『薬だ、何でも効く万能薬だ、こいつを飲めばお前の病気ぐらい簡単になおるさ』

 そう言ってどこからともなく瓶を出す。

『あのマイヤーさん私は』

『何でもいい飲んでくれ』

『はぁわかりましたよ』

 そう言って瓶を受け取り、飲む。

『これでいいんですよね』

『ああそれで』

 マイヤーが彼女をじっと見る。

『なんで、何で治んないだよ。あの薬はチートでもらった万能薬なのに』

『はぁ、あのタナカ早く外に』

「アルフ」

「わかったよ、タナカはどうする」

「痛いけど誰か肩を」

「やっと追い付いた」

 ササキとイリア、それにイリアのおばあちゃんが入ってくる。

「タナカ、薬の効果は」

「聞かなかったみたいだよ」

「くそそうか、あれ以上の効果のある薬はないから」

「でタナカはどこに」

「外に行きたいみたいだから外に」

「そうかじゃあ俺はあいつをどうにかするよ」

「どうにかって」

「いや、俺が戦った魔王と似たような雰囲気になってるからさ、今のうちにどうにかしないと」

「そうか、誰か肩貸して」

 リズの肩を借りて外に出た。歩くのが辛く時間がかかったが。

『外だ』

 久々に外に出たためか感動している。

「タナカふと思ったんだが、お前前にも死にかけたよな」

「そうだけど」

 前に魔王と戦った時にゼロ距離で爆裂弾を撃ち込み、地面に叩きつけられた時のことだろう。あの時は本当は死んでいて女神と交渉して帰ってきたのだが。

「リズに聞いたんだけどその時遺跡にあった変なものに入ってたら治ったんだよな」

「そうだけど」

「それ使えばお前の今の傷もなおるんじゃないか」

 あのとき聞いた話ではあれは確か医療ポッドとか言っていたような。

「それだ」

 効果があるかわからないが試す価値はあるだろう。

「リズササキを呼んできてくれ、それでアルフはユキを運んでくれ」

「どこに」

「自分達が乗って来た乗り物に」

「わかった」

『ユキ遺跡に行こう』

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