第48話 他にはどんなのが
「そう言えば馬車は」
「はいこのシェルターに入らなかった為に入り口においてあります」
「………タナカ布置いていかない」
「えっ」
「………私の故郷に戻るときまたよればいいんだし」
「それに無い方が人が乗れて移動が速いな」
「なら下ろすか」
「タナカ様、私達が行っておきます」
「頼んだ」
「みんなエレナが目を覚ましたわよ」
そうイリアに言われ、エレナに近寄る。だが自分とアルフを見ると目をそらしイリアに抱きつく。
「エレナ謝りたいことが」
そう言っているのだがイリアの後ろに隠れてしまう。
「タナカあれいない方がいいんじゃ」
「あれって」
後ろを見るとまだそこにはスライムがいた、手を離れるように振る。それに気づきスライムが部屋から出ていった。
「エレナもうスライムはいないわよ」
エレナがイリアの影から顔をだし、見渡すと落ち着く。
「けどまた来るんだったらなれてもらった方がいいんじゃないか」
「だがなぁあれ俺たちには襲ってこないのはわかるが、子どもの時にいい子にしないと襲ってくるモンスターの1つだからなぁ」
「他にはどんなのが」
「他はオークやらゴブリンやらなんだが最近は見ないし、依頼もないから、最近だともうスライムだけになったんじゃないか」
「そういやこっちの世界に来てからモンスターと言えばジャイアントラットとスケルトン、後ドラゴンくらいしか見てないな」
一応すべてと戦ったがスケルトンとドラゴンは操っている者がおり、野生であったのはジャイアントラットだけだ。
「大抵のモンスターは洞窟か遺跡にいるんだが、遺跡はスライムしかいないし、洞窟は簡単に攻略できるところは狩り尽くされただろうし、なかなか行けないところはなかなか行かないから関係ないからな」
「森の中とかはいないの」
「昔はいたらしいが、洞窟よりも気軽に訪れられるからもう狩り尽くされたんじゃないか」
「そうね、森の中にモンスターがいたら、村なんか簡単に襲われるし、襲われないにしても町なんかに買い物にいきにくくなるから、滅びるか町に越すかどっちかになるでしょうね」
「じゃあドラゴンとかは」
「それこそなかなか行けないところにいるか、後は繁殖されたやつだけだろうな」
「それに冒険者しか立ち寄れないよな危険な所だと最悪騎士団が来て全ての入口ふさいで何日間火を燃やし続けて煙入れてるな、そしたら中のモンスターは全滅で、狩り場が1つ減るって訳だ」
「つまりアルフとリズと行った洞窟は」
「運が良かっただけだな」
ある意味安全なんかを気にすると正しいのだが、なんだか妙な気分になる。
「ならジャイアントラットは」
「あれ町中に出るだろう、町中で火を燃やし続けられるのか」
「……なるほど」
つまる所モンスターらしいモンスターはジャイアントラットしかいないみたいだ。
「それでも町から出れば野性の動物がいたり、山賊やらがいたりで護衛の仕事はあるけど、それも減るだろうなぁ」
つまり完璧に不況になりそう、と言うかほぼなっているみたいだ。
「まあ最悪は何でも屋か傭兵とかだろうなぁ」
「それは嫌だな」
「けどタナカ、私たちはマイケルさんの村に誘われてるんだから大丈夫じゃ」
「あの皆さん話がそれているんですが」
リズの一言で思い出す、今はエレナにスライムになれてもらわなければならないのだ。
「と言うかイリアに抱きついたままでいいからスライムに近づいてもらって襲われない事証明したら」
「それが手っ取り早そうね」
と言うわけでスライムを呼ぶ、呼び方はそこら辺に声をかければ出てくるだろう、多分だが。
「何でしょうかタナカ様」
すぐにどこからともなく現れる。現れるのを見るとエレナがすぐにイリアのそばから離れようとするのだがイリアに捕らえられている。
「イリア、と言ってもわかんないかあの包帯巻いてる女性に近寄ってくれない」
「分かりました」
少しずつイリアに近づいていく。
「大丈夫襲われない、私も怖かったけどもう大丈夫になったわ」
必死に逃げようとするのだが離れられないようだ。そしてかなりの距離に近付く。エレナは諦めたのかむしろ自分から近付いていき、触れる。そこまでして襲われないのを確認しるとやっと落ち着いて、むしろ興味に深そうにさわっていく。
「エレナそこら辺で」
「別に構いませんよ」
一通りさわって見てやっとさわるのをやめる。そのタイミングを見計らい、エレナに無理矢理ここまでつれてきたことを謝る。謝り方は前と同じく土下座だが、理解していないのか首をかしげるだけだが、許してはもらえたようだ。そこまでして、やっと遺跡を出発できそうだった。




