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第41話 はぁ

 朝起き、食事をとり、野営地を片付ける。そしてすべての荷物を馬車に積むと出発する、のだがエレナが怖がってしまっている。まあ仕方がない、遺跡から帰ってこれる冒険者は少なく帰ってこられたとしてもそれは浅く入ったか、無茶なことをしたか、それとも単純に腕がいいかだけで奥まで入らなくてはならない自分達とは全然違っている。1番なついているイリアが慰める。

「大丈夫よ、私達何度も遺跡に入っているから」

 本当のことなのだが、エレナは信じようとしない。当たり前なような気がする。そんな入れば死ぬような所に何度も入ってる冒険者がこんなにも弱くはないだろうし、お金も持ってないわけがない。アルフが前に出て話しかける。

「仕方ないならここに置いていくか」

「アルフ、あなた」

「仕方ないだろ、今は急いでるんだ動く気がないなら置いてくしかないだろ」

「………アルフそれは」

「俺は捕まりたくはないんだ、だろうタナカ」

「……っ、ああそうだな」

「タナカ」

「………タナカ」

「リズはどう思うんだ」

「私は……タナカさんにしたがいます」

「だとよ、ならここでお別れだなエレナ」

 エレナは首を横に振る。

「なら早く準備しろ、行くぞ」

 アルフが背を向ける。エレナは涙ながらに馬車に乗り込む。そして出発する。


 移動中の空気はすごく重たいものだった。だからと言ってよくすればいいものでもない。ひどい話がアルフによって作られたこの空気によって自分達、主にエレナは進んでいた。だが怖いのか馬車がゆっくりと進む。だから外から見たら気楽そうに見えただろうが実際は酷かった。そんな中でアルフが話しかけてくる。

「タナカ悪かったなさっきあんな所で巻き込んで」

「いや自分こそ、あれは自分が言い出せばよかったよ」

「いやお前じゃダメだろう、もっとひどいことになる」

 そこにリズが混ざる。

「タナカさんさっきはどうしてあんなことを」

「エレナを置いていかないために仕方なく」

「そうそう、急だったけどちゃんと乗ってくれて助かった」

「乗るって何に」

「ああ、エレナ怖がってただろ、だから俺が恨まれてもいいからどうにかして前に進むしかなかったからあんな突き飛ばすようなことを言ってみたんだ」

「でその考えに賛同して、どうにか多数決な感じになればって思ったんだけど」

「そう…だったんですか」

「えっ、リズも賛成してたから気づいてたんじゃ」

「すみません、気づいていませんでした。ただタナカさんの意見にしたがっただけです」

「いやそんなことしなくても」

「私はタナカさんの奴隷なので」

 その事をすっかり忘れていた。

「あ、ああそうだったね」

「それで事前に相談とかは」

「急すぎてなかった、いやぁ気付いてくれて助かった」

「何だかんだで付き合い長いしな」

 1番はじめの冒険はアルフに誘われて、そこから一緒に冒険をしている。だからこの世界で1番付き合いが長いと言っても過言ではない。

「なら早く謝ればいいのでは」

「そうしたいんだけど、そうするとまたエレナが遺跡を怖がっちまうからな、つくまで謝れねぇよ」

「そうなんだよな、だから遺跡に入って謝るまでこの空気の重さに耐えるしかないよな」

「だよな、そして謝った後の残る2人が怖そうだ」

「はぁ」

 ため息の中進んでいくと、洞窟が見えてきた、馬車でも入れそうな大きなものだ。これはその遺跡なのだろう、やっと着いたのだった。

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