第37話 誰もいないな
朝起きる、今日が出発の日だから少し朝が早い。そして食事を取り出発する。馬車に乗るのはエレナとイリア、他の4人は馬車についていく形だ。ただし荷物がないのですごく楽である。町から出る時、マイケルや救出した8人がいた。
「あっ皆さん今日出発するって聞いて見送りに」
「ありがとう」
「是非皆さん帰り道も私たちの村によって下さい、村人全員でお礼をしたいと思います」
「ああできれば」
8人からも似たように見送られ、町を後にした。
町から出るとなにもない草原が広がっていた。左手にはかなり遠く小さく見えるが丘がある。そしてこの場所には自分達以外誰もいなかった。
「誰もいないな」
「そりゃあ居ないだろ、この道使う人はほとんどいないんだから」
「何でか聞いてもいいか」
「この国の外れだから騎士団もほとんど国境沿いに詰めてて巡回してないから治安は悪くなるし、隣国と戦争になれば戦場はここになるからさらに住みにくい、そのせいでほぼ町や村がないから、まともな行商人は来ない」
「まともじゃない行商人って何だよ」
「違法な品を扱ってる行商人だよ、頭の中を空にする薬やら異常なほど陽気にする薬なんかを扱ってるって聞くな」
「そんなものあるのか」
「いや俺は噂で聞いただけだから」
「薬については知らないけど似たような効果がある植物はあるわよ」
「………それも扱い方が大変な物だったけど」
「あるんだ」
「あるわよ、ポーションの原料だったりするわね」
「そうなのか、でなんでイリア達はそんなことを」
「………学校で習った」
「なるほど」
「タナカさんはどうしてそんな物に興味を」
「何となく話のネタになると思って」
「そうだったんですか」
そんな話をしながら歩いていく。
かなり歩いた気がする、何もないから進んだ気がしないが振り替えると町が小さくなっているので進んでいるんだろう。
「かなり来たな」
「タナカさん大丈夫ですか」
「いやまだ大丈夫」
実はだいぶ疲れている。だがいつもいつもリズに荷物を持って貰ったりしているので、荷物がない今回ぐらいは頑張りたいと思う。それに少しは体力がついたのか、今日は遅れずに着いていけてる。また少しずつではあるが体を休めながら来たのが良かったのだろう。まだ1度も馬車の世話になってはいない。辺りは薄暗くなってきている。
「今日はもう休むぞ」
アルフがそういうとエレナは馬車を道から少しはなれた場所に進め止める。そして自分とアルフは荷台に乗り込み使うものを取り出す。大分慣れたのか準備はすぐに終わる。そしてリズの作る食事を待つ。町からでたばかりなのでメニューは少し豪華だ。町から出たばかりなので、腐ってしまう恐れがある物が調理に使えるためだ。
「エレナが馬が近づいてきてるみたいって言ってるけど町の方から来てる馬なんて誰か見える」
目を凝らす暗いし遠いしで見えない。
「見えない」
「見えねぇ」
「………見えない」
「馬来てるみたいです」
リズだけが分かったようだ。
「そうか来てるなら来てるで少しだけは警戒しとくとして。後寝ようか初めはイリアたちが頼む、おやすみ」
「わかったわ、タナカもおやすみ」
「おやすみ」




