第27話 ようこそ奴隷商館へ
マイヤーは部屋を出ていく、残っているのは自分達とマリア、リカルドだけである。
「領主様はああ言われてたが、証拠がなければ軍は動けない、また我々は顔が割れてるから君たちで証拠を探しだしてくれ」
「見つかったとしてもどうやって連絡を」
「それに関しては渡したいものがある、おい持ってきてくれ」
「はっ」
部屋の外から女性が1人、武器や道具などをもって入ってくる。その中から箱状の物を取る。
「これだ、領主様が作ったトランシーバーとか言うものだ、これならば外と連絡がとれる、だがまだ試作の段階であり魔力を多量に使用するので気を付けてくれ。これをひとつ預けておこう、証拠を見つけ次第連絡をくれ」
「分かりました、で残りの武器は」
「これは君達への支給品だ、ナイフと銃しかないが受け取ってくれ」
「ありがとうございます、他に何かありますか」
「後はそうだな入るのは2人だけ、タナカさんは中に入ってくれとの事だ」
「はあ」
「以上だ、誰が中に入るか決めてくれこちらも準備してくる、リカルド行くぞ」
「了解」
マリアとリカルドは出ていき部谷に自分達だけが残される。
「で行きたい人いる」
「俺は無理だな、魔術は詳しくないからそれを使いこなせる気がしない」
「すいません、タナカさん魔術はちょっと」
アルフとリズは脱落する。
「なら」
「私も無理ね、室内戦でしょ戦闘になったら魔術師だから近づかれるとどうしようもなくなって」
「………私が行く」
「メリベル、ありがとう」
「………お礼はいい、早く準備していこう」
準備といっても持ち物のS2とナイフは預けてあるので支給されたものを見る。MP7、この世界ではS4とソートオフショットガン、後それらの弾しか使えそうなものはない。
「全部持っていくか」
「………準備できた」
メリベルは全身鎧とライオットシールド、杖、剣を着込んでいる。ライオットシールドは遺跡と呼ばれる場所で手に入れた、かなり頑丈な品で便りになるものかつメリベルもかなり強いのだが。
「これ止められないかな」
マリアさんに準備ができたことを告げ現地へと向かう、場所は町から少し外れた物寂しいところに立つ大きな建物だ。近づいて行くうちに、マリアさんは部隊と合流するということで別れ、アルフ達もヤバそうなら正面から突っ込むからちゃんと生き残れよやら、タナカさん怪我しないようにやら、タナカ、無事に帰ってきてねやらという言葉を受けて別れた。今はメリベルと2人きりだ。
「………タナカ緊張してるの」
「そりゃあするよ、何せ敵陣に乗り込むんだし。メリベルはどうなの」
「………前にタナカに助けられときに比べて、助けに確実に来てくれるヒトがいるからそのときより落ち着いてる」
「そっ、そう」
「………大丈夫、タナカは私が守る」
「いや守られる事態にならないのが1番いいんだけど」
そんなことを話している内に入り口にたどり着く。3階建てほどの建物だ。扉をノックする。即座に扉の一部が開き、男が顔を出す。
「何のようだ」
「奴隷を買いに」
「なら奴隷に渡す酒を寄越せ」
そのような話は知らなかった為か、酒など渡されていない。一応荷物を漁ってみる。何か瓶に触れる。取り出す。酒が出てくる、気分が悪くなっていた時にアルフから渡された品だ。それを見せる。
「よし通れ」
扉が開き、中に入る。その時門番だった男が声を掛けてくる。
「ようこそ奴隷商館へ」




