第20話 反撃しますか反撃
ナイフを1本だけ持ちこそこそと目立たないところを進む。エレナに何か武器を渡したかったが何もなかった、いや一応剣があったのだが行商人に武装しないといけなかったしそもそも持てなかったし、自分は剣なんか使ったことがなかったので使いこなせそうもなく断った。家の中を漁ることも考えたが、他人の家だし時間もなさそうなので諦めた。なので武装はナイフ1本きりだ。
「ナイフだけか、使えるかな」
エレナが首をかしげる。
「人をナイフで刺したことないから使えるか不安になって」
銃などでは撃ったことはあるのだが、ナイフ、いや自分の手で人を攻撃したことがなくできるかどうか不安になる。
「まあ見つからなければいいか」
足音をできる限り殺し行商人の馬車へと向かう。気を失っていたときに時間がたっていたためか辺りは暗くなっており見つからずに進めていた。だがその為に足元が見えず何かを蹴り飛ばす。ガシャンと言う音が響いたために動きを止めて物陰に隠れる。だが足音が近づいてくる。足音は1つしかない、はずだ、と言うか2人以上いたらナイフ1本じゃ対応できない。ナイフを右手に逆手に持ち直す。だんだんと足音が大きくなる、近付いてきてるのだろう。
「エレナ、目をつぶっててくれ」
うなずきつぶる。足音が大きくなりすぐそばで止まる。だから飛び出し男にタックル。倒れこんだ所に馬乗りになり左手で口を塞ぎ、ナイフを首に。
「くっそ」
目をつぶり、突き刺す。感触だけは肉の塊を包丁で刺したときのような感触がする。そしてそのまま手を横に動かす。手に生温い液体がかかる。それだけで吐き気が込み上げては来るが耐える。目を開く。そこには首をかっ切られて倒れている男が1人、手に嫌な感覚が残っているが耐える、耐えるしかない。
「今倒れるわけにはいかないよな」
その男を抱え潜んでいた所に隠す。そしてついでに荷物を漁る。
「誰なんだよこいつらは」
身元がわかるものはなかった、一応冒険者ギルドで渡される様な指輪を持っていたのだが、これだけあっても使い方が分からない。だから懐も探す。剣やら宝石、宝石の証明書。
「後はこれかグレネード」
この世界に来てからは1度も、元の世界では画像でしか見たことがない手榴弾が懐に入っていた。ただし普通と言う言い方が正しいか分からないがピンがなくどうやって使えばいいか分からない。エレナに袖を引かれる。
「これが何かって」
うなずく。
「これはグレネードって言って中に細かい金属片が入っててそれで相手にダメージを与える、使い捨ての武器かな」
まじまじと見だす。
「まあ使い方が分からないし、早く行かないと行けないから行くか」
腰に新たにつけている袋へと奪い取った品を入れ移動を再開する。
それ以降は誰にも見つからず、また死体に気付かれる事がなく進めた。そして馬車が止めてあるところへとたどり着く。
「警備してる時にこの村に来てくれて助かった」
何台か止めてあり荷台の部分が布をかけられていたが、1度見ていたためかすぐに見当がつく。
「さてと反撃しますか反撃」
アサルトライフルであるS2とそれらのマガジンを勝手にとる。そしてマガジンのひとつを挿し込み、使えるようにしてから銃とマガジンを持ち村長の部屋の2階へと向かう。できる限り足音をたてないようにこそこそと。中には誰もいないようだった、なので辺りを見渡せる大きな窓に近寄る。そこには座らせられているアルフ達や村人それに警戒しているやつらが何人か、そして少し離れて何か騒いでいる男が1人が見える。自分が隠した死体はここからだと暗く見つけられなかった。S2のストックを肩に当て、左手で支える。それから右手で引き金を押さえる。
「そして、セレクターでセミオートにしてっと」
アイアンサイトを覗き込み狙いを定める。
「何人か撃ったらアルフたちの方で反撃してくれると助かるんだが」
撃つ前にまだ他に敵がいないか探す。見当たらない。
「エレナは離れてるか隠れててくれ」
エレナはうなずき少し離れる。それを確認して引き金を引く。




