第19話 なら行こうか
意識を取り戻す、まだ辺りの様子はわからないが、小屋の作りが簡素だった為か物が飛び散って体に突き刺さるなどと言うことはなく痛みはない、ただ少し重いだけだ。
「重っ」
上の物を確認する。
「リズっ」
「タナ…カ…さん…無事で…すか」
「無事って、リズの方は」
「ごめん…な…さい…動け…そうには」
辺りを見渡す、煙が出ている。火を付けられたようだ。
「わかった少し痛いかもしれないけど少し我慢してくれ」
無理矢理這い出て、リズを引っ張る。
「タナ…カ…さん…私の…事は」
「後で聞くからちょっと待て」
リズを引きずりながら小屋から出る、あの杖を持ったやつは死んだと思ったのか近くにいない。
「助かった、でリズは」
リズを見るが想像以上にボロボロであった、血や煤やらでどうなっているか分からない。
「ひとまず汚れ落として、止血か」
水がないかと探すが見当たらない。武器も道具もない、だから着ているものを破って傷の上から直接縛る。
「なんなんだよあいつらは」
リズの傷に布を巻き付けるとその場に寝かせ武器になりそうなものがないか探した。
「で見つかったのはこれだけか」
小振りのナイフが1本だけしか見つからなかった。
「後分かったのはこんなに騒がしいのに誰も来ないって言うことは村の方もヤバイんだろうな」
ため息しか出てこない、が何に襲われたとしても村の方に行くしかリズを助ける手段はない。
「前回に比べて今回はきつい、前は銃もあればアルフ達もいたしな」
それが今回はナイフが1本だ、もしばれて戦闘になれば必ず負けて死ぬだろう。
「せめてバラバラにとらえられてればいいんだけど」
そう呟くと村の広場の方に近寄る、足音をたてないようにできる限り静かに。
「ひとまず武器がほしいな、どこかにないか」
村に少しずつこそこそと近づく、ある程度近づくと家が見えてくる。家を覗く。そこには行商人とエレナがいた、こちらには気づいていないようだ。辺りを警戒して入る。
「エレナ、商人さん」
「っ、ってあの時の」
「ええまあお久しぶりです」
「よく無事で」
「あっ、いや、まあ、それは置いといてなあ武器ないか」
「商品しかないので」
「後払いでは」
「いえお金の方は緊急事態なので待てるのですが、物がここには」
「そうかならどこに」
「村長の家のそばです」
「ならそこまで行くか、このままなら何時かばれるし、何に襲われたかも知りたいし」
「あれはたぶんですが、奴隷商人かと」
「……またかよ、なに奴隷商人ってこんなことも」
「ええ、まあここ最近ですけどねひどくなったのは」
「人数とかは」
「すみませんよくわかりません、逃げるのに必死で」
「だよな、まあ人数がわかっても武器がなかったら何もできないから。後頼みがあるここから東にいった所に仲間が倒れてるから助けてやってくれ」
「分かりました」
「後エレナは、商人と行動してくれ気づかれないで潜入したい」
エレナは首を振り、自分に抱きついてくる。
「その子私が苦手みたいで」
「分かりました、でエレナちゃんとこそこそ行動してくれよ」
うなずく。
「なら行こうか」




