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第16話 もう少し待ってくれない

 朝起きる、村の警備の1日目だ。警備は村の東側にある小屋の中で行うらしい。また1日中警備を行うために以降の寝泊まりはその小屋で行う。

「でさ」

「なにタナカ」

「アルフとメリベルは」

 その小屋に向かう中にその2人だけはいない。

「アルフさん達は別の場所を警戒するとのことですよ」

「ああなるほど、訓練か」

「でしょうね」

 つまり残りの3人で警備するらしい。

「で仕事内容なんだけど」

「ええ」

「怪しい人の警戒と怪しい物の点検だよね」

「ええそうよ」

「けど前回この村が襲われた時は偽の兵士がいたんだけど、怪しいの基準って」

「警戒しているとしておけば相手もためらってくれるのではないでしょうか」

「だよね、と言うか怪しい物って」

「禁止薬とか毒物とかじゃないかしら」

「見分けられるの」

「……少しは」

「臭いが強ければ見分けられます」

 すごく不安になるメンバーであった。


「暇だな」

「暇ね」

「暇ですね」

 小屋に入り少し時間がたった。が誰も来る気配がない、つまり仕事がない。小屋を見渡す。だが小屋の中を見渡しても、特になにもない椅子が4脚と大きめに開かれた窓が、東側と南側に1つずつ、西側が出入り口で、北側に何もない部屋が1つそれだけだ。

「お腹すいたな」

「タナカ、それ5回目」

「そんなに言ってたのか」

「ええ」

「まじか」

「タナカさん食事はアルフさん達が持ってくるようですよ」

「それは聞いてるんだが、暇なんだよ」

 そんなに暇なら寝たりすればいいのかもしれないが、さすがに仕事中である。

「掃除でもしておくか」

 立て掛けている中折単身銃をとる。ついでに持ってきた荷物から布切れも。そして回りを拭き、針金を使って銃身の中に布切れを入れて拭く。整備の知識がない自分にはこれが手一杯だが、それなりには綺麗にはなるだろう。だがすぐに終わってしまいまた暇になる。ドアがノックされる。

「このドア開けてくれ」

「………食事持ってきた」

「今開ける」

 ドアを開けると食事を持ったアルフとメリベルがいた。食事は黒パンとスープ、それに何かの干し肉だ。それが3つだ。

「あらアルフ達のは」

「食べてきた、夜間の警備があるから今のうちに寝るわ」

「………おやすみ」

 そうして2人は何もない小部屋に入っていく。

「食べるか」

「ですね」

「いただきます」

 食事は出来立てなのか温かく、美味しくいただけた。

「おいしかったな」

「ええそうね」

「じゃあ片付けてきますね」

 リズが食器をもって離れる、この場にはイリアと自分しかいない。

「あのさ」

「なに」

「あの事なんだけと」

 多分結婚のことだろう、少し前に告白された。色々あって先伸ばしになっている件である。ついでに言うとこの世界での命の価値が安いためなのか、結婚は早いらしい。

「答えもう少し待ってくれない」

「えっ、いいけど」

 イリアの方から先伸ばししてくるとは思ってもみなかった。

「ありがとう」

「何かあったの」

「いえ、ちょっとね」

 それ以上はなにも言わなかった。その後リズが戻ってきて、暇な警戒を行い、食事を取りに行き、アルフ達を起こして食べ、小部屋に入り眠りについた。

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