おまけ これからも頑張りたまえタナカ
「イリア無事だった、よかったよ」
「それはこっちの台詞よ」
「………そうそう、いつのまにか消えるし」
「そうですよタナカさん心配したんですから」
「それで今までどこにいたんだ」
再会に喜んだ後は質問攻めが始まる。
「どこって、えっと」
深く思い返すがぼんやりとしか思い出せない。
「真っ白な部屋にいたような」
「真っ白な部屋だけじゃ分からないわよ」
「自分にだって思い出せないんだから仕方ないじゃん、それはそうとイリア怪我は」
「ないわよ」
「いやないわけないよ、龍に吹き飛ばされたんだから」
そこだけははっきりと覚えている。
「それは、そうなんだけど」
「だけど」
「おじいちゃんが変なものを胸に押し当ててたことしか覚えてないのね、で気づいたら怪我なく目が覚めたのよ」
「う、うん」
「………でもそれを言ったらタナカも怪我ない」
「そうですよタナカさん、聞いた話だと燃え盛る炎の中から燃えながら出てきた後龍の口にてを入れられたそうじゃないですか」
「えっタナカそんなことしてたの」
「………うん、してるのを見た」
「でもその後あれが動かなくなったんだよな」
エレナが激しく頷く。
「いやそれはあの」
怒りに任せて殴っただけで倒せたとは思わなかった。それにしても燃やされたり、噛まれたり、吹き飛ばされたりとよく生きてたよなと思えてしまう。スライム様様だ。
「………それはそうとタナカ忘れ物」
そう言って一本の剣が渡される。決闘のときに使った剣だ。
「………1から打ち直したから忘れ物じゃないけど」
「1からってあれ」
「………武器として使われたからなにも残ってない」
「武器……………ああ」
パイルバンカーの先端として龍に打ち込んでいた。
「それとタナカさん鞘です、作ってみました」
鞘も受け取り腰につける。
「ありがとう、けど使い方が」
「なら教えてやるよ」
「助かるよアルフ、けど使う機会は大分先だしのんびり教えてよ」
「えっ」
「いやあれだけの魔物倒したんだし売れる所も大量に手に入ったんじゃない」
「………………」
「どれだけの価値かわかんないけど、少しくらい依頼受けなくてもいいぐらいは稼げたんじゃないの」
「……あのタナカさん」
「どうしたリズ」
「ひっ、非常に言いにくいんですが…………貰ってないです」
「えっ、貰えないの」
「いやもらえるわよ、貰えるけど」
「………もらい……忘れた」
「そ、そっか……けど取りに行けば」
「そっそうよね取りに行けば」
そこにギルドの職員が来る。空気が軽くなった為か少し嬉しそうだ。受け答えを行うためにそちらを向く。
「あの非常に言いにくいんですが飲食料を払ってください」
「飲食料だって」
「ええ、数日座り込んでいたので見るに見かねて食事などを差し入れていたのですが、さすがに無料にするわけには」
「なら」
振り返ると青ざめた5人の姿が。
「まさか」
「……そのすいませんタナカさん」
「あのつけで」
「わかりましたけど早めに払ってくださいね」
「はい」
ギルド職員は去る。
「おい」
「すまん、ちょっとな」
「やけ食いしてましたね」
「それもお金がなくなるくらい」
「………ごめん」
「はぁ、じゃあ依頼を受けてつけ分払って、自分達の取り分取りに行きますか」
そう言って立ち上がり、受け付けに向かおうとする。だが立ち上がった時に手紙が落ち中身が開かれる。
『これからも頑張りたまえタナカ』
そう日本語で書いてあった。手紙をしまい依頼を探すために歩き始めた。
完結です
読んでくれた方ありがとうございます、またの機会があればよろしくお願いします




