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マロングラッセ


 甘味料に浸し、何日も煮る。

 ことこと、じっくりと、弱火で煮る。勿論、焦がさない様に。

 そうやって、あたしはマロングラッセを作っている。


 甘い、とっても甘いマロングラッセ。


 最初は普通の栗なはずなのに、完成した時は中まで甘い。

 食べ過ぎたら、虫歯になってしまうぐらいに。


 こんな風に、あたしも優しい人の面をずっと被っていれば、いつかは中身まで優しい人になれるのだろうか。

 ふと、マロングラッセを作り始めてから、ここ最近思ってしまう。


 優しい人になりたい。

 いつかは中身もそうなれるように、今日もまた優しい人のふりをする。


 優しい人になれるまで、あと何日だろう。



 コトコト今日も煮続けている、鍋の中で栗が転がっていた。




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