読んでくれないと解ってくれません。
もっと長く書けたら良いと思いました。
「読んで下さい、御願いしますっ」
Aはそう言って私に頭を下げた。しかし私はAのそれを読むわけにはいかない。
「何故です? 何故読んで下さらない? 差別するというのか、僕はあなたに何をしたっ」
Aは私を低い姿勢のまま上目遣いに見た。顔は怒りの赤に染められ、額には血管が浮き出ていた。歯を強く食いしばり頭が小刻みに震えている。
「 嗚呼ァア!! 何故だぁあ! 僕はこうも苦しんでいるというのにッ! 此の艱難辛苦をあナたはリカイデキルのか?! 読んでくれェえ、御願いだぁあ」
それは出来ない。Aのそれはあまりにも危険だ。解決するには、他の協力者を見つけてもらう必要がある。私が読んだところで何も変わらないのだ。
「ぉお御願いです。よ、読んで下さい」
Aは懇願するように言った。「読んでくれないと解ってくれませんっ」
そうそれを読まないとAを理解出来ないだろう。しかしそれはあまりにも危険である。双方共に危険なのだ。
「読んでくだ下さいッ! 僕を理解してください!」
Aは私にすり寄りうなだれた。しかし、出来ないのだ。
私は首を横に振った。
「そ、うか・・・。そう、か・・・」
一瞬だった。Aは小型拳銃を取り出し自分の頭に撃った。
Aのそれが、飛び散った。Aの脳が。
私は人の心を読める能力者だ。Aは私に能力で自分の心を読んで欲しかったのだ。 しかしAの心の中は危険思想で埋め尽くされていた。同僚がそうとは知らずAの心を読み、発狂し自殺した。
Aは自分を解って欲しかった。自分は誰にも理解されない、と私に言っていた。だから心を読んで欲しかったのだ。しかしもうその心配も要らないだろう。
「ゆっくり、おやすみ」
私はそう言ってAと別れた。
日々精進