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読んでくれないと解ってくれません。

作者: ハルメク

もっと長く書けたら良いと思いました。



「読んで下さい、御願いしますっ」



Aはそう言って私に頭を下げた。しかし私はAのそれを読むわけにはいかない。


「何故です? 何故読んで下さらない? 差別するというのか、僕はあなたに何をしたっ」



Aは私を低い姿勢のまま上目遣いに見た。顔は怒りの赤に染められ、額には血管が浮き出ていた。歯を強く食いしばり頭が小刻みに震えている。

「 嗚呼ァア!! 何故だぁあ! 僕はこうも苦しんでいるというのにッ! 此の艱難辛苦をあナたはリカイデキルのか?! 読んでくれェえ、御願いだぁあ」


それは出来ない。Aのそれはあまりにも危険だ。解決するには、他の協力者を見つけてもらう必要がある。私が読んだところで何も変わらないのだ。

「ぉお御願いです。よ、読んで下さい」

Aは懇願するように言った。「読んでくれないと解ってくれませんっ」



そうそれを読まないとAを理解出来ないだろう。しかしそれはあまりにも危険である。双方共に危険なのだ。



「読んでくだ下さいッ! 僕を理解してください!」


Aは私にすり寄りうなだれた。しかし、出来ないのだ。

私は首を横に振った。

「そ、うか・・・。そう、か・・・」




一瞬だった。Aは小型拳銃を取り出し自分の頭に撃った。

Aのそれが、飛び散った。Aの脳が。

私は人の心を読める能力者だ。Aは私に能力で自分の心を読んで欲しかったのだ。 しかしAの心の中は危険思想で埋め尽くされていた。同僚がそうとは知らずAの心を読み、発狂し自殺した。

Aは自分を解って欲しかった。自分は誰にも理解されない、と私に言っていた。だから心を読んで欲しかったのだ。しかしもうその心配も要らないだろう。


「ゆっくり、おやすみ」


私はそう言ってAと別れた。

日々精進

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― 新着の感想 ―
[一言] この作品での読む、という行為を一言で現すなら『崩壊』ですね。台詞が余りにも生きていて、薄く血の気が引きました。
[一言] 僕も時々人の心が読めないか考えたりします。でも、実際読むことが出来たら、とてもつらく人を疑うことしかできないきがします。よろしければ僕のも見ていって下さい。
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