第4話 今後の方向性が決まったのだが
ホントたまに家に男がくるようになったのだが、母様は帰って来るのが分かるのか、俺に見せてくれる笑顔が段々崩れていく。
日常で母様をずっと見てきたからその変化を感じとれた。
そして俺を別の部屋に置いてその男のいるリビングに行き、すぐに二人で家を出て行く。
かなり長い外出で、考えても仕方ないし暇なので、魔法練習してた。
帰って来た後の母様の表情はすごく暗い。
あいつと何をしていたのか分からないが、俺と母様の時間を奪うなんて許せない。
マザコン?
誇って言える!!
今日は母様の機嫌が悪くなってきている。
あいつが来るのだろうし、禁止はされていないから一応どんな顔なのか拝んでやろう。
そうして母様がリビングに行ったのをそっと追いかけて行った。
扉は無いのでそっと覗いてみたら、チンピラとゴロツキを足して二で割ったような中途半端な顔立ちの男が丁度母様を殴った場面だった。
その瞬間殺気を立ててしまって男に気づかれた・・・。
それほど怖い顔では無かったが、体が真正直に震えてしまって動けなかった。
そうしている内に近づいたあいつに蹴られ、第1話冒頭に戻る。
この体で初めて、ではないがベスト3に入る程の激痛で、普通の子供だったら、トラウマものだろうが、前世ではこの程度何度も受けたことがあるから冷静にはなれる。
この体じゃ勝てないのは分かっているから殺気は納めるべきだが、ガキの殺気にキレる?ビビりか?殺るか?
「やめてくださいっ」
考えていたら母様がそう言って男に言い寄ったが、その母を男は殴りつけた。
我慢我慢・・・。
「俺に指図すんじゃねぇ、この奴隷がっ、そいつは商品なんだからしっかり躾けておけって命令しただろうがっ」
もう一回母様を殴った。
がま・・・「母様がこいつの奴隷?俺が商品?・・・はっ?ふざけるなっ!!」っと言いたいが、殺気 立てる毎にこいつは俺と母様を殴りそうなのでぐぐっと我慢していると、母様は反論した。
「買ってもらう予定の貴族は自分で調教したがる方々ですから、ある程度の反抗心は持たせておくべきです。予定通り10歳になったら大金と貴族との繋がりを得られるのですから、この子の躾は任せておいてください」
母様が俺を商品として・・・、いや、でも母様が何時も俺に向ける顔は母としての顔そのもの。
それでも、母様が俺を商品だと言うのならば俺は受け入れられる、かもしれない。
「ふんっ、8歳にする、それまでは待ってやる。それと、攻撃魔法を覚えさせたりしたらすぐに奴隷にして売るし、俺には殺気を向けないように躾けろ」
「あぁぁぁぁ・・・・・・」
母様はしゃがんで頭を抱えて苦しみ出した。
「ふんっ!」
「お母様っ」
男が家を出て行ったのを確認して、しゃがんでいる母様を抱き締めた。
「8歳・・・」
母様も俺を抱きしめ返して幾許か経って母様はそう言った。
8歳で貴族に売られるのかぁ。
でも男である俺って商品としてそんなに価値あるのかなぁ。基本女の子が妾とか性奴隷としてってのはテンプレだが、売り先がキモい奴だったらやだなぁ。
そう考えていると、急に母様に強く抱き締められた。
「ごめんなさい・・・、貴方を・・・」
泣いているようで、うまく聞こえない。
まだ蹴られた痛みが残っていて痛いが、母様の痛みも辛さも何を言ったのかも分かるから、俺も泣いた。
「あと6年位は一緒にいられます。売られてもいつかきっとまた会えます。だからっ、泣かないで、ください・・・」
そう、正確には5年と2季ほど。
いや貴族に紹介される前だな、それまでにあいつをどうにかすれば母様は解放されるはず。
準備期間は十分かは分からないが、奴隷契約についてとかいろいろ調べよう。
主人は奴隷に予備動作らしきもの無しで、苦痛を与えられる可能性が高いから、俺の行動も気をつけなければ。
いつの間にか母様が俺をじっと見つめていた、何か恥ずい///
「貴方なら・・・、そうね、立派な淑女になる為に本格的に教え始めましょうか・・・。」
えっ?淑女???