第27話 割に合わないのだが
取り合えずでっかいクレーターの中心に行く事にした。
クレーターはおそらく銀獅子の最後の咆哮で出来たのだろうという事で自分を納得させた。
だってこれだけの広大なクレーター、まずどうやったか想像つかない。
さらに、自分自身に被害が出るかもしれないのに普通なら自分から使わないだろう。
そして俺は防御に全魔力を費やし銀獅子の咆哮をどうにか防いだ、きっとそうに違いない。
おっ?アイテムはっけ・・・小さっ!?
手の平ほどの小さな銀色の翼と、親指程の招き猫(どう見ても猫ではなくライオンです)×大量。
後者は恐らくワーキャッツの出現量に応じて出てきたのだろう。
早速鑑定してみた。
銀翼のファネ
銀獣王を倒した証。
所持していると空間魔法フロート、シルバーアイ、フルートの使用が可能となる。
フロート・・・空中を歩いたり走ったりできる。高度制限1m。魔力消費ゼロ。
シルバーアイ・・・威圧感が増す。使用後超低確率で新しい種へと進化する。魔力消費ゼロ。
フルート・・・一部の能力・物質を除いて、結界で内外の出入りを防ぎ、結界に触れる物を消滅させる。所持者を中心として半径5mまで任意で範囲拡張可能で最大1分。魔力消費ゼロ、但し一日一回のみ。
招きんぐ猫
所持していると所持数によって所持者の金運UP、又は思いっきり叩き割るとお金が出てくる。
うんっ、翼銀のファネよ、何故ファム+羽っぽい名前なのだ、しかも羽じゃなくて翼だし。
そしてシルバーアイって何なんだー!!!
あれか、ソレスタル・・・思いだせない・・・ああ、宇宙人との対話の為の進化、だったか?
でもあれって・・・あれっ?メタル化?目の色はどうだったっけ?
混同してやがる。
あのアニメ途中までしか見てないから情報としてしか知らないし、ネットでメタルな画像見ただけなので、殆ど忘れたぜ。
まあ使わないからいいや・・・人間辞めたく無いし、超低確率といいながら超高確率で何かが起こりそうだし。
後の二つの魔法はまあまあ使えそう。
でもせめて空を飛べるようにしてほしかった。
しかもなんで高度制限なんてあるんだよ。
そして招きんぐ猫よ・・・つっこみ待ちか?
全部かち割りたい、すっごくかち割りたい。
まあ、リタさんの為に一旦全部持ち帰らないと。
というわけでアイテムを全てしまった。
『何処かで扉の開く音がした・・・』
変なナレーションが頭をかすめたが無視だ。
クレーター内からは壁が見えないので
「よしっ、早速フロート」
・・・浮かない。
歩いてみるおおー空中をおおー空中散歩ー。
数分後、飽きたー、と言うか自由に空を飛びたい。
取り合えず探し出せた扉は一つしかなかった。
先にリタさんに合流したかったのだが、進むしかない、か。
進んで即学移陣を発見したので、学校へ戻った。
さて、迷宮に戻るか部屋に行くか・・・何て迷宮だったっけ?分からないや。
ってことで部屋へ。
部屋にはリタさんは居なかったので、招きんぐ猫を机に置いたところで急に疲れが・・・。
ひどく眠くなったので寝てしまった。
その後、壁の解析班や救助隊、スキン男やリタさんが壁の前で半日ほど待っていたことなんて知る由もなかった。
聞いた話では半日経っていきなり壁が崩れ、中に突入したが何も無かったとか。
事情聴取ではある程度逃げ回っていたら銀獅子が何処かに飛んでいったって事にした。
だって記憶無いし、説明しづらいし、戦利品を調査だとかなんか言われて持っていかれたりしたら嫌だし・・・面倒臭いし。
とある一画にて。
「おいお前ら、作戦を頭に叩きこんだか?」
「「はいっ、お頭」」
「いいか、御主人様から高い金貰ってるんだから失敗なんてしたらぶっ殺すぞ」
「「はいっ、お頭」」
「相手はガキだが、気ぃ抜くんじゃねえぞ」
「「はいっ、お頭」」
「それとガキのシンパに学生が多数、そいつが妨害してきたら痛めつけてやれ!遊んでやってもかまわんが殺したら自己責任だ」
「「はいっ、お頭」」
「よしっ、散れ!」
お頭と呼ばれる男だけが居残り、そこに黒い外套を羽織った金髪女性、デコ女が近付いた。
「上手く行きそうかしら?いえ、上手く行かなかった場合は分かっているでしょう?」
「くくっ、今まで失敗した事ありましたかな?」
「あら?ギルドマスターの娘には手を出せないと言って断ったのは誰でしたかしら」
「くくっ、貴女も彼女に直接手を出せないから口を出したり彼女に近づく者に手を出しているのではありませんか」
「ふ、ふんっ!」
「それに、今回の計画は貴女様があの娘をターゲットから遠ざけねば始まりませんから、おっと、ターゲットが動き出したようなのでそろそろいきますか」
さらに別の一画にて。
「最後にもう一度確認するぞ。いいか、敵はSランク10人。力量差は絶望的だが、こちらには数がある。連携して決して無理に倒そうとはせず、また姫に近づけさせず、ナンバー0の屋敷に着くまで時間を稼ぐ」
姫はユウアちゃん、ナンバー0はリタさん(いつの間に?)である。
「敵に動きは?」
「まだです」
「エルリク、ヒュズ、マスタード、アームストラーダ、オスカー、お前達の家族は?」
「もう配置についてもらった」
「あの親父、既に張り切ってるわ。全く、髭の擦り付けを一日許すハメになるなんて・・・」
「無能・・・私は無能・・・」
「見よっ、この筋肉!」
「兄者は三日前から配置場所で本を読んでいる」
「全員OKか、相手は此方SランクSSランクが居るなんて思ってもいないだろうな。だが、今回の目的はあくまでも姫をお守りする事で、敵の撃破は二の次だ」
「ナンバー0より、もうすぐ動くそうです」
「よしっ、作戦開始!」
さて、ようやく神日ラクレハとなりました。
パレードとか何かのイベントがあったようだけれど、殆ど無視して読書生活を満喫しています。
いやー、ラノベっぽい本のコーナーがあってはまってしまいましたよ。
ん?ラノベは読書に含まれない?
ラノベ好き・アニソン好きを履歴書に読書・音楽鑑賞って書くようなものだろう。
そうしている内にあっという間に神日となった訳で、町ではほぼ全員参加のラクレハ祭だそうだ。
お祭り大好きだぜ、しかも何気に生まれて初!
神日に祭りがあるなんて知らなかったぜ。
ふっふっふ、楽しみだー。
そして神日中はリタさんの家にお世話になることになった。
さらに言えば神日が過ぎたら8歳のリタさんの妹と共に学校に入学するって訳だ。
・・・普通の子だといいのだが。
そんな事考えたらダメだ変人確定フラグになってしまう。
気を取り直して、よしっ、出発!
・・・。
・・・。
・・・。
うんっ、無理!
だってさあ、学校前に人がうじゃうじゃいるんだよ。
そして俺は人の魔力を常時感知しているんだよね。
つまり、大量の芋虫が頭の中で常にうごめき回っている感じですごく気持ち悪い。
魔力感知を切ることも不可だった。
そんなぁ、あうー、お祭りがー。
こうして学校で静かに過ごす事となった。
今年内にどうにか間に合いましたー。
前話の最後辺りも少し訂正しました。
これでようやく第2章が終わりで、次回の更新は未定です。
忙しいですし、もしかしたら書き直すかもしれないからです。
まあ食いすぎずに体に気をつけてよいお年をお過ごし下さい。
それではまた来年宜しくお願い致します。