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魔法と異界と転生者  作者: 遊里
第2章 学校前編
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第23話 魔物らしくないのだが




「明日一緒に迷宮に行かない?」


 本を読んでたらそうリタさんが言ってきた。

 何でも一人だと難しくて手伝ってほしいらしい。

 ま、外に出るのも慣れてきたからついて行きますか。




 で、手を繋ぎながらとある教室に向かった。

 何時の間にか手を握られていた、そして振りほどけない・・・。

 教室の中にはスキン男がいたが、スルーしてリタさんに何で教室なのか質問。

 何でも教室内の学移陣から迷宮に行くことができるとのこと。

 それくらいではもう驚きはしない、と思ったのだが・・・


「学校だけで数百もの迷宮があるんだって」


「数百・・・」


「それで、今回のクエストは魔物のドロップアイテムが必要なんだけど・・・」


「だけど?」


「す、進めばわかるからっ」


 学移陣に乗って迷宮に入った。

 おおー!

 5mほどの幅の道が続いていて、天井を含む周り全てが石!

 そして何故か明るくて、曲がり角が直角にあるのが見える。

 人工迷宮って名が相応しい気がする。

 で、スキン男は何故ついて来る?


「はっはー、リタがガキと迷宮に入ると聞いて、罠に嵌まるところが見られるかもしれないんでな」


 何も聞いてないっての。


「リタさーん」


「あはは、教官に相談したら・・・」


 まあいいか。

 少し進むと複数の魔物の反応が。

 そこには、


 猫戦士×3

 猫騎士×3

 猫魔術師×4

 猫プリースト×1


 二足歩行でスケイルメイルを装備し、勇ましく小さな斧を構え、勇ましく敵を見据えるブチの猫戦士。

 二足歩行でプレートメイルを装着し、凛々しく小さな槍を前に突き出し、凛々しく敵を見据える金色の猫騎士。

 彼等の後ろで、二足歩行で黒ローブを羽織り、全てを吸い込むような闇を放つダークワンドを携え、全てを吸い込むような暗い目で敵を見据える黒い猫魔術師。

 同じく後ろで、二足歩行で白ローブを羽織り、全てを見透かすような光を放つクリスタルロッドを携え、全てを見透かすような目で敵を見据える白い猫プリースト。


 可愛いぜ畜生っ!

 普通の猫の1.5倍位の大きさで、戦士系は顔以外どこぞのお供にゃんこに似ている。

 蹴りたくなってきた。

 そしていきなり数が多過ぎ。


「はうっ、やっぱり・・・戦えないっ!」


 可愛くて倒せないらしい。

 わからないこともないけど、ターゲットなのかな。

 よく見たら実は全員震えているので、保護欲がすっごく駆り立てられる。

 ・・・ペットにできないかな?


「ワーキャッツはその愛くるしさと逃げの速さで「ウッドバインド」・・・」


 地面から木の根っこを沢山生やして・・・くそっ、猫だから素早い。

 だが鈍臭い白猫一匹の束縛に成功。

 他の猫達が必死に仲間を助けようとしている。


「ハク、今助けるぞ」


「くそっ、何で、何でハクがっ」


「わ、私達が囮になるからその間に」


「これ硬いっ」


「私を置いて逃げて!皆殺されちゃう!」


「ばかやろう!んなことできる訳ねーだろ」


「・・・束縛したということは直ぐに皆殺しは無いはず」


「束縛されてるハクも可愛い」


「ちょっ、変なトコ触んないで!」


 脳内でそのようなやり取りが続いていた。

 どうしよう。

 ペットは欲しいけど、引き離すのもどうかと思う。

 ・・・全部捕まえよう!


「ウッドバ・・・」


 ワーキャッツは逃げ出した。

 この薄情者ー!


「フルフレイズ」


 逃げていくワーキャッツに放ったのは高速火炎連弾、そして任意の場所でエクスプロードを発生させ る広範囲爆撃魔法である。

 創作魔法の一つ、在り来りだけどね。

 ワーキャッツは避けられなかったようだ。

 あれっ?

 何もアイテムを落とさなかった。


「・・・ユウアちゃんだから気にしたらダメ、気にしたらダメ・・・うんっ。ワーキャッツ自体は沢山出てくるけど、すぐ逃げるしアイテムは落とさないから無視して進めばいいよ。でも、奥にいる目的のワーキャットキングの周りに大量のワーキャッツがいて、手出しできなかったんだよね」


 逃げるって、それでいいのか迷宮の魔物よ。


「おい・・・そいつはどうするんだ?まさか連れて帰るとかか?」


「それ以外に何か?」


「はっはー、無知なる後輩(予定)に教えてやろう。魔物は迷宮の外に連れだそうとすると消滅してしまう。そうだな、倒せないのなら俺がトドメをさしてやろ「カチッ」う?」


 意気揚々と白猫に近付こうとしたスキン男だが、トラップを踏んだようだ。

 スキン男の足元が見事に凍り付き、固まった。

 発動元はリタさん。

 リタさんって結構感情的に魔法を発動させるタイプか?


「ユウアちゃんっ、この子何て名前にする?それよりもどうやって連れ出す?」


 リタさんの目が尋常でないくらい輝いている。

 俺はウッドバインドを操って木の籠(檻とも言う)に白猫を入れた。

 白猫は隙間から顔を出してどうにか逃げようともがいている。


「全く、逃げたら爆撃されるだけだってのに」


 そう言うと白猫は動きをピタッと止めた。

 言ってること分かってる!?

 白猫と目を合わせる。

 白猫はそっと目を泳がせた。

 これは・・・かなり知能がありそうだ。


「入り口から出る、出口から・・・出口って何処に繋がってる?」


「出口は教室に戻れるよ。うーん・・・「「転移魔法?」」


 被ったー。

 在り来りだけどやってみるだけやってみますか。


「だけど私お金が・・・」


「僕って使えるかな?」


「わからないけど・・・お金、大丈夫なの?えーと、多分3万ノットなんだけど・・・」


「ちょっと待てー、使えないし第一転移魔法でも失敗したって例があるっ!」


「お金は・・・大丈夫。使えなかったらリタさんに支払うよ」


「それは・・・うんっ、やってみて」


 二人で戻るため、片手で籠を持ちながらリタさんと手を繋いだ。


「俺の話を聞「リスクール」待てっ!俺を置いてくなーーーーーーー!」


 男の叫びが虚しく轟いた。






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