第18話 レベルが違うのだが
2話同時投稿その1です。
1話にしようとしたら長くなり過ぎて分けました。
いつになったら入学できるのやら。
それは置いといて、お楽しみ下さい。
正方形の敷地内に、5階建の校舎が十時型に存在し、その交点には10階の八角形の太い柱みたいなのがニョキッと飛び出ていて、頂点は錐型で大きな鐘が中に見えるよう存在する。
5階建の校舎には、医務室や教室、研究室といった部屋があり、10階の柱内には会議室とか図書館とか転移魔法陣(俺が初めて学校に来た時に乗っていた台)とか学内移動用魔法陣(学移陣)等いろんな重要な部屋が存在する。
柱の中心部は吹き抜けとなっており、フローで移動可能であり、十時型の校舎の各端も同じく吹き抜けで、鉄の梯子が念の為付いている。
フローを使った瞬間他の人には識別できなくなるらしく、上を向いて覗く、なんてことは無意味なのである。
この魔法を掛けた人はロマンってものが分かってない奴だ。
正方形の敷地内の全角に5階建の男子寮女子寮が二つずつ、さらにそれらは庶民寮・貴族寮に別れており、1階に学食購買、中央に学移陣+吹き抜けがある。
今いる女子寮の方には、何と・・・魔法が掛っていなかったぁー!
感想なんて言うものか!
部屋のドアはホテル並に所狭しと存在するが、中は(おそらく空間魔法で)拡張されていて広いし、住む人数に合わせて広さ変更できるらしい(寮費はその分かさむとのこと)。
教官達もおおよそ同じ寮に住んでいる。
校舎と寮との間は庭が存在し、学校敷地内への入り口は南側に門と一戸建て二つ分くらの大きさの建物が存在する。
闘技場や集会場等はまた別の場所(別空間と言った方が正しいかも)にあるらしい。
何とも中途半端だ、全部学移陣にしてしまえって感じだ。
ある程度学内を見て回った後、リタさんのスキン男による訓練に参加することになった。
実は来賓者カードの発行が難航していて、学移陣が使えなかったり、部屋を開けることができない為、部屋にいるかリタさんに付いて行くかしか選択できない。
図書館って選択もあるが、学校に入ってからで十分・・・リタさんが一緒にって離してくれなかったってのが最大の理由で、選択肢なんて元から無い。
リタさんはちょっと前に話してくれた内容通りソロでの行動であるが、一応同期の中ではかなり能力的に上位らしく、ある程度の行動は可能で、だけれどやばくなる毎に転移魔法を連発。
転移魔法はかなりのお金が掛かるらしく、今は節約してどうにかやっていけてるらしい。
学校内の教育プログラムについては入学後にパンフを貰えるからと言われ、教えて貰えなかった。
で、最初に俺の大まかな能力を測る為、おふざけなし、魔法無しでスキン男と結局手合わせすることになった。
お互い刃を潰したショートソード・・・って使った事無いっての。
短剣しか・・・短剣も殆ど戦闘で使ったこと無い。
問答無用で仕合が始まった。
仕方ない、取り敢えず相手の斬撃を受けるだけにしよう。
スキン男からして見れば、相手は子供であり、正面から剣を受けようとしただけで、魔法は使えても相手との腕力の差を考えられないまだまだひよっこな初心者だと思ったことだろう。
だが・・・あろうことか、簡単に受け止められたのに加えて、そのまま押し飛ばしてしまった。
「おわっ!?」
「・・・?あれっ?」
スキン男の迫力が凄かったので全力で対応したのだが・・・なんてチートだ。
普段は握力とか普通で、物を握り潰したりすることがないから、戦闘時に力が解放されるのか?
だがここまでとは気付かなかった。
スキン男は転ばずに地面に付けた足で勢いを殺し、再度向かってきた。
数回吹っ飛ばしたら、スキン男はガックリと膝を折り、乾いた声で笑った。
「はははっ、そんな、はははっ、昨日の腹いせに、初っ端から本気で、痛め付けてやろうと、思ったのに、ははは・・・」
なんかごめんなさい?
「リタ~、今日は自習だ~」
そう言ってフラフラとしながら何処かに行ってしまった。
えーと、リタさんにもごめんなさい。
リタさんはというと、笑顔のまま動かない。
どうしよう・・・。
「うんっ、魔法の練習にしようか」
気にしないようにしたようだ。
「リ、リタさんはどんな魔法をよく使うんですか?」
「全般ある程度使えるけど、氷系が一番使い易くて使ってるかな。ユウアちゃんみたいに魔法名のみだと使えないけど」
なんだか言葉に毒が・・・。
白髪のリタさんは魔法全般使えるが、髪から氷系、雪とかの白のイメージ?
似合ってるかも。
そういえば、この前呪文で魔法を使った時あまり上手くいかなかったなあ、何が原因?
ぶっちゃけ、呪文もかなり短めじゃなかったか?
呪文内には、魔法名も存在しないしどうなのだろう。
リタさんは俺を後ろから抱いて、
「世界よ、大地よ、我が白き世界にて制動せよ!」
リタさんの周り半径10mほどの地面が凍り付いた。
「何か置いとけばもっと魔法の威力がわかりやすかったかな?」
やっぱり呪文は短い。
ふむ、俺もやってみよう。
「世界よ、大地よ、我が白き世界にて「だめっ!」制動せよ!」
「ひゃうっ!?あ、危ないっ!呪文は人それぞれなんだから真似ても失敗か暴発するんだよ?教わら・・・まだ習ってないか」
「ご、ごめんなさいっ」
冷気がリタさんを襲ったようだ。
一人ひとり呪文違うのか。
習うまでは魔法名のみのほうがいいかな?
・・・一人ひとり違うのならどうやって学ぶんだ?
まあ、いずれ教わるだろう。
「でも流石に失敗してちょっとほっとしたよ。ユウアちゃんなら使えてしまうかもって「ブリザード」」
反省無し、そして・・・後悔先に立たず。
激しい風の音と共に吹雪が舞い荒れ、闘技場全体が凍り付きだした。
取り敢えず、リタさんを引っ張って学移陣の上に移動。
学移陣の上は魔法の効果も寒さも受けないようだが、何故か魔法も使えない為、外で続いている吹雪を止められなくなってしまった。
リタさんは直立したままで、今だに再起動しない。
心音を聞いてみたが、問題ない。
顔が調度胸辺りなんだからそこに耳を当てるのが一番簡単だっただけで、他意はない。
リタさんでないと学移陣は使えないし、どうしよう。
アイテムボックスは開けたので、サバイバルキットを出してリタさんを寝かせて起きるのを待ったが、起きなかったので学移陣の上でキャンプした。